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あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
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(25) ウィルベリーと通行証

「に〜、鶏?」

 ファミラが上を向きながら応える。

「りす。」

 ルオが応える。

「スイカ、です。」

 カノムが応える。

「『です』!? いや『か』か・・・。う〜ん・・・菓子パン? ・・・あ!」

 ファミラが再び応えるが、出した言葉に気づく。


「『ん』が付いたのでファミラの負けだな。」

「ぬぐぅ・・・。」

 ファミラが頬を膨らませる。

 

 ウィルベリーへの道は山道だが、一帯に<聖術>の結界を張っており、魔物や魔獣と出会うことは全くない。

 始めは移動中、3人全員が無言だったが、ファミラが無言で気まずいからと、しりとりを始めた。結果、言い出しっぺのファミラが全敗した。


「あ、そろそろだ。」

 ルオが目の前の木をみてそう言った。

「どゆこと?その木が目印なの?なんの変哲のない木だけど・・・。」

 ファミラは他の木と全く変わらないので、ルオの言っている意味がわからなかった。

「ファミラさん、多分この木に魔術がかけられているとおもいます。しかもかなり高度な魔術です。」

「え!? 全然それに関係する魔力とか感じないけど?」

「それほど高度な魔術なんだ。特定の対象にしか認知されない魔術が木にかかった魔術を隠してる。魔術の<重ねがけ>だね。」

 ルオが木に触れると、魔力の光が一瞬見えた。


「魔術って重ねがけができるんだ。改めて魔術って凄い!」

 ファミラは木にかけられた魔術を見て、感心した。


「それじゃあ、ウィルベリーに着いたら、3回目の授業をしますか。授業の始めに<魔術言語>のテストを、その後は魔術の応用<重ねがけを>説明するっていう感じで。」

 ルオの授業は思い付きで始まるのようになった。


「じゃ、早速ウィルベリーに入りますか。確か()()()()()()()()()()()()()()()()()()・・・。


 ポゥ


 ルオが木に魔力を慎重に注ぐと、木が光だした。


「うわ!?木が光った!?」

 ファミラは驚き、反射で後ろに下がった。

「いえ、光っているのは木ではありません。魔術の<痕跡>です。」

 驚いているファミラに対して、カノムは冷静だった。

 カノムはウィルベリーは知っているが、行き方は知らない。しかし、こういうのは慣れていると言うかのように、顔一つ変えずに魔術の<痕跡>をじっと見ていた。


「ルオ、一つ聞いていいですか?」

「何?」

 カノムは光ってもなお、魔力を注いでいるルオに質問した。するとルオは顔だけをカノムの方に向けた。


「ウィルベリーってどんな町ですか?山の中にある<自由都市>であることは家庭教師から聞きましたが、実際のところどんな町なんでしょうか?」

「うーん・・・。難しいな。なにせ山の中にある都市だからな。都市の景観は<天空王国(レクテ)>と似てるけど、都市の周りが異様なんだよな。人の手が全く入っていない山に都市があるから。」

 ルオは木に魔力を注ぎ続けながら答えた。


「まだ魔力が必要なの?」

 ファミラが恐る恐る聞いた。ファミラは魔術を見たことがあまり無いのだろう。

「もう、<痕跡>は見つけた。で、今は出入口を開けているところ。」

「え?」

 ファミラの頭上の上にハテナマークがポンっと現れたかの様に見えた。

「まさかこの木の中にあるの!?」

「ううん。この木に掛けられているのは<()()()()>だ。特定の人間の魔力を注ぐと発動するんだ。簡単に説明すると、入ることを許された者のみがもつ専用の通行証かな?」

「私たちは、入れますか?()()()を持っていませんが・・・。」

「大丈夫。街に転移した後に検問所で少し質問に答えるだけだから。OKだったら多分()()()がもらえるはず。」

「それならばよかったです。」


「あ、もう転移されるよ。2人とも、俺に掴まって。」

 魔術の光が段々と大きくなり、3人を包み込んでいった。

 



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