(17) 隠し部屋と疑問
飛竜は目的地まで止まらず真っ直ぐに飛んでいる。さっきまでいた森からは段々と離れていく。
「そうそう。あなたの荷物はこの<収納型魔術具>にまた入れてるから、心配しないで。あ、まだあまり喋っちゃだめよ。それよりも、一体どこに向かっているのかしら?早くルオの傷を治さないといけないのに。」
「・・・、多分あの少年の隠れ家だと思います。洞窟が見えてきたので。」
回復してきた魔力で傷を修復しているルオは答えた。
「そう。ていうか、地の隊長と知り合いなの?」
「そうですね・・・。」
ルオは助けてくれた少年について考えていた。脳裏に浮かぶ彼の顔や姿はあの時と全く変わっていない。
「あ、着いたみたい。」
ルオが言った通り、飛竜が着地した場所は洞窟だった。
「今は歩ける?」
「魔術で傷口が一応塞がったので大丈夫です。血が足りなくてフラフラしますがね。」
洞窟内に魔物の気配は無く、洞窟内には所々に松明が置かれてあった。道中蝙蝠などの暗い場所で生きる生物が現れたが、敵意はなかった。
「えっと、どっち?」
だいぶ奥に進んだ時、2つの分かれ道に遭遇した。どちらも先が見えず、行き止まりなのかも分からない。
「僕の記憶上ではこっちです。」
「あら、ありがとう。助かるわ。」
2人は途中の分かれ道で、ルオの記憶した道を進んでいった。
「ここが隠れ家なのね。随分とそれらしい扉があるじゃない。」
ようやく隠れ家の入り口とされる開き扉の前に着いた。扉には不思議な模様がついており、中央には何かの文字を記入するようなボタンがあった。
「ルオわかる?」
「はい。これは多分・・・。」
ルオは迷わず、ボタンを押していった。最後のボタンを押した時、扉が青くひかり、扉の真ん中に青い線が走り、自動で開いた。
「さっきの文字なんて読むの?」
「神代語で<大地は全てを語る>です。」
「へぇ〜、まさに地の隊を表しているのね。」
隠し部屋はまるで大きな図書館のようだった。低い天井にぶつかる高さの本棚が奥まで続いている。奥には1つの寝台や、机、椅子、台所などの生活に必要な家具もあった。
「地の隊長さんはここで何日か泊まっているのかしら?」
「多分そうだと思います。」
「って!ルオは何しているの!? 勝手に人の物触ってるけど!?」
ルオは部屋の引き出しを開け、何かを探していた。
「あいつは医者の端くれでもあるから、ここら辺に救急箱があるはず・・・。あ、あった!」
引き出しの中から大きな救急箱が出てきた。少し埃かぶってはいるが、中は綺麗なままだ。
「あいつも僕が怪我人であることはわかっているはずだから、多少使っても許してくれる、はず!」
「なんだか嬉しそうだね。」
「あ、うん。まぁね。」
出会った少年は間違いなく、あいつであろうとルオは思った。しかしそれによって疑問が浮かび上がる。
(なんであいつがここにいるんだろう。だってあいつは・・・・)
「ルオ?」
「あ、えーっと、まさかあいつと再会するなんて思わなかったから。」
「もしかして弟さん?」
「確かに僕とあいつの年齢を見たらそう見えるけど、違うんだ。あいつとは腐れ縁で悪友みたいなものかな?」
「悪友か・・・。いいじゃない、友人に年の差なんて関係ないものね。」
(年の差っていうわけじゃないんだな。どういうことなんだろう。)




