表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
16/60

(15) 魔術師と<魔喰の剣>

 自分の背中に白い翼が生えている。そうレイグは言った。しかし、自分自身が見ても何も無い。変化があったのだとすれば、怒鳴った時に()()()()()()()()()()事だ。その後魔力はすぐに元に戻った。


「今見ても、意味は無いよ。もう<知の羽>は消えたから、君はただの人間に戻ってる。」

 瞳に光が灯されていないレイグはそう言った。

 

 <知の羽>とは一体・・・。それに自分が一瞬人間ではなかったのか?

 訳のわからぬ言葉を聞き、頭の中で整理しようとするがなかなかうまく整理できない。血が出過ぎたせいで頭に血が回らないのだろう。段々と視界がぼんやりとしてきた。

(あれ? 俺ひょっとして死ぬのでは? それは嫌だ。とにかく魔術で回復を・・・。嘘だ!出来ない!? どうして!?)

 傷口に魔力を込めようとしたが、魔力は集まらない。それどころか身体中の魔力が減っている・・・!。

 その様子を見たレイグは、笑った。しかし瞳に光は戻らないままだ。


「どうやらその様子じゃ、魔術で回復もできなくなったみたいだね。よかった、隊長の助言通り<魔喰の剣>を持ってきて正解だったよ。ごめんね、魔力を吸っちゃって。」

 

 魔術師は魔術の源たる魔力が無くなると、魔術師として戦うことはできない。

 ルオは一般人よりも多めに魔力を持っているが、上級魔術を数発撃てる程度の魔力しかない。<魔喰の剣>は上級魔術分の魔力を吸うので、ルオの魔力は残りわずかになっている。もう回復するための魔力は無い。


「君は教会の()()()()()()()()()()()()()()()だから、君が死んでも誰も知らない。せいぜい行方不明扱いになるだけだよ。」

「はぁ、はぁ・・・。」

 ルオは何か言おうとするが、声も出せなくなり、荒い息を出すことしかできなかった。


「さようなら。」

 レイグはただそれだけを言い、大剣を横に構え、ルオの首を()()()()()()。しかし、それは()()()()()()。空から降ってきた1()()()()()によって。


「私の魔術の先生を殺すのはやめてもらえないかしら? 副隊長さん?」


 キンッ


 剣と剣がぶつかり合った音がルオの耳元に届いた。それと同時に聞き覚えのある、猪突猛進で真面目で、優しい、あの声がした。


「なぁにが森で読書よ! こんなところで迷子になってどうするの! すんごく心配したんだから!」

 ()()()()()()()()()()()()()()()の騎士が、ルオを護るように前に立っていた。


「・・・ファミラ・・・。」

 どうしてここに! という言葉が後に来るはずなのに、力が出ないせいか、彼女の名前を言うだけだった。

 そんな絶賛大量出血で力も出せない重傷のルオを見て、ファミラは驚いた。


「ちょっとちょっと! すごい深い傷じゃない!? なんで魔術で回復をしないのよ!?」

「そちらの騎士の持つ剣が、切った相手の魔力を吸う剣なんです! おかげで魔力はコップ一杯ぐらいしか残ってません! ・・・いてて。」

 さっきまで声を出すのも辛くて出せなかったのに、ファミラがきた途端大声が出た。傷口に響くが・・・。


「ファミラさん、どうしてあなたがその罪人を護るのです? 彼は死ぬべき()()()なのですよ?あなたも死にたいのですか?」

 レイグは剣を向ける相手が同僚だとしても、何も動じなかった。反対にファミラの剣は、上司を前にして震えていた。


「・・・。副隊長、彼が()()()ならば、私は()()()()()()()()です。私は<禁書>以上の禁忌です。それに、私を騎士団長に許可を得ず勝手に殺したら、あなた達は処刑されますよ?」

「・・・ファミラ?」

 こんなにも元気で明るい少女が<禁書>()()()()()!?

 ルオはまだファミラのことを何も知らなかった。彼女の正体は一体何者なのだろうか?


「それがどうしたの? 実際に君が死んでも、騎士団長にはどうやって死んだのかわからないんだよ? 僕たちは君が死んだ時の言い訳は、罪人が暴走して、それを止めようとした君が、罪人に殺されたって報告するだけだよ。」

 レイグはファミラの衝撃的な発言にも全く動じず、しかもルオを使って、彼女の死も偽装すると言うのだ。


「くっ・・・。じゃぁ、やるしか無いみたいだね。ルオ! 下がってて!」

「待って!ファミラ!」

 ファミラは勢いよく足を踏み込み、レイグの剣目がけて走って行った。レイグは大剣を構え、迎撃の準備をした。

 自分はただ叫ぶだけで、何もできない。ルオは悔しくて、拳を強く握った。魔術を撃ったとしても、あの大剣に魔力を吸われてしまうだけだ。



「はい、そこまでぇ〜。2人とも武器を下ろしてください。()()()()ですが、命令で〜す。」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ