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あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
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(11) 迷子のルオと魔物の巣

 獣の鳴き声が聞こえる。風が吹き草木がザアァと揺れている。木々の隙間から出ている日差しは眩しく、思わず目を瞑ってしまう。辺り一面は木と草で、宿()()はおろか()()でさえも見当たらない。おそらく森の中に完全に入ってしまったのだろう。


「あれ?おかしいな?向こうに行ったはずなんだけど、元に戻ってきた。えーっと、じゃぁあっちかな?いやさっき通ったかな?ていうかここどこ?」


 ルオは森の中を行ったり来たりとしているが、一向にも宿屋に帰れない。そう、ルオは()()()()()()


「俺、迷子か。どうしよう、<魔術連合>の本部で迷子になった時よりもまずい。あの時は人がいたけど、今回は誰もいない。」

 ルオは自分が迷子だと自覚すると落ち着きがなくなり、次第に焦っていった。

「あれ?<魔力感知用魔術具(ぐるぐる眼鏡)>の魔力感知モードをオンにするのってどうやるんだっけ?あ、この赤いボタンか! うわっ!緊急自爆モードになった!? こんな機能もあったんだ。って、やばいやばいやばい!停止しなきゃ! て、停止ボタンはこの青ボタンだ!」


 ドン!


「うわっ!。 ・・・あ、眼鏡が緊急停止しちゃった。2時間経たないと作動しなくなった。」

 1番迷子から脱出できる、頼み綱を失い。ルオは途方に暮れた。


「あぁ、俺の人生は森で迷子になって餓死で終わるのか。」

 

ーーー1時間前ーーー


「この辺り一体に突然発生した魔物の巣があるのですか?」

「そうなんですよ。おそらく()()()()その巣から出てきたものだって、うちの用心棒さんが。」

 野外授業が終わった後、ルオは公国の情報を求め宿屋の従業員に色々なことを聞いていた。

 従業員曰く、最近公国の国境間の警備が厳しいのは、公国付近で強力な魔物が出るからだという。確かにあの<ランドドラゴン>は()()よりも強かった。


「それでなんだけどさ、一等星魔術師さん。ちょっと見てきてくれない?もしできれば駆除して欲しいんだけど・・。」

(やっぱりそうなりますよね。)


 一等星魔術師。<魔術連合>で得られる資格の一つで、最高位の魔術師に与えられる称号。とは言っても、資格取得条件が “高度な魔術を一つ以上使えることができる“ なので、意外とあっさり最高位になることができるので、それほど高い地位ではない。

 しかし、それは魔術師の認識であり、それ以外の人にとっては<教会騎士>の上級幹部と互角の強さと()()()()()()()。魔術師の強さは資格では分からないのだ。


「分かりました。安全第一で捜索してきます。」

 ここで断ると一等星魔術師としてのプライドがギャーギャーうるさいので、断ることができなかった。


「あれ、ルオ、どこ行くの?」

 エントランスロビーで必死に魔術言語を暗記している、ファミラが声を掛けた。


「森で読書をしてきます。」

 流石にファミラの()()()()で一緒に行こうとは言えないので、嘘をついて1人で行くことにした。


ーーー現在ーーー


「ファミラーーー!助けてくださーーーい!」


 ルオのSOSは虚しく森の中で響き渡るだけだった。



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