俺は凛とした君が忘れられない。
俺の名前は阿部 愁斗
高校1年生だ。そして
今は告白をされているところだ。
「愁斗くん!
私と付き合ってください!!」
「···本当にごめん。君とは付き合えない。」
「···どうしてなの?私のこと嫌い?」
「そういうことじゃないんだ。
ただ忘れなれない人がいるんだ。」
そういうと彼女は泣きながら
「お···お時間···を取らせてごめんな···さい」
といい走っていった。
決してあの娘が可愛くないわけじゃない。
性格が悪いわけでもない。
ただ俺は···忘れなれない。
突然だが
俺には幼馴染みがいる。
でもだいたい中学校にまでなると
もう仲良く喋る関係ではなくなっているものだと思う。
かくいう俺もそうだった。
中学1年生ぐらいまでは仲がよかった。
今では喋ることすららない。
···てか喋れない。
···でもなにか最後に言っていた気がする。
また会おうね的な。
あんなに楽しかったのに、好きな人の最後の言葉を忘れている。
俺はクズだな。
「もし今の今まで仲良くしてたら
青春がとっくに始まってたんだろうか。」
などと意味のない考えを巡らしながら
俺は学校裏から生徒玄関までいく。
この学校は私立星翔学園。
星翔学園とはいわゆる超難関高校だ。
ここの制服をきているだけで
「あの制服ってもしかして星翔学園じゃない?」
「あれが···星翔の生徒···。」
などといわれるぐらいすごい。
俺の登校時間はギリギリなので
朝練が終わった生徒たちが生徒玄関に溢れかえっている。
「今日も疲れたー。」
「誰か汗拭きシートかしてー。」
などといってる生徒たちには見向きもせず
俺は生徒達をスラスラと避けながら革靴をぬぎ
上履きをはく。
今日も誰にも当たらなかった。
俺の数少ない特技だ。
そして俺は俺が考えた自分の教室1年4組までの
最短ルートを歩く。
こういうときいつも思う
なんで1年生が階段を一番登らなければならないのかを。
先輩が登れよ。
なんで5階まで1年生がいかなきゃならんのだ。
先生の前で絶対ゆわない悪態を心のなかでつく。
「あれ?」
階段を登っていると
降りてきた女の子が急に止まって
顔をかしげながらこっちを見てる気がする。
多分俺の勘違いだ。
他に人がいるんだろう。
てかまだ3階かよ。
なぞに階段登るの遅い時あるよな。
着いた。
扉をあけすぐに席に座る。
扉に一番近い席というのは
教卓に近いし、人も多く通るから
はずれと思うかも知れないが
なにせ俺は目が悪いし、
人が通るのはもうなれたので
俺は気に入っている。
窓に寄りかかれるのもいい。
「おはよう。今日はHRギリギリに来たな。
ってことは告白?」
「おはよう。違うよ。布団が俺を離してくれなかったんだ。」
いつもは、はやく来ている娘の席が空席なのをみてなにかを察したようで
「つまり2度寝だろうが。」
「そうともいうな。」
今話している隣の席の七三分け茶髪のイケメンは
阿部 竜斗
名字が同じって理由で中学のときに
仲良くなった。
結構のコミュ強で
竜斗のおかげでぼっちを
回避できた。
まじでありがとう。
ちなみに髪染めは校則違反。
「てかさぁ愁斗。」
「なに?」
「さっきから可愛い女の子がお前のこと廊下から見てない?」
「竜斗をみてんじゃなくて?」
「あぁ。確かに俺イケメンだしな。」
ちょっと太平洋にしずめたくなったが
確かに竜斗は正統派なイケメンだ。
彼女もいるらしい。
「でもお前もそれなりだし
可能性はあると思うんだが。
「もし俺だったとしても、俺はあの子以外にかんがえられないよ。」
「また幼馴染みか。
それ中学校の話だろ?
立ちなおれって。」
「そんなこと言われてもな。」
「愁斗、告白じたいはされてんのに
幼馴染みをひきずって断ってるからなぁ。
青春が始まんないよ?」
「俺はずっとあの子を待ってんだよ。」
「まぁいいけどさ。
あ、それでさぁ··」
キーンコーンカーンコーン
ガラガラガラガラ
生徒達が続々と席に座る。
「なっちまったかぁ。
もうちょっと喋りたかったなぁ。」
竜斗が悲しそうな顔をする。
俺はハハと笑って前をむく。
泣きそうだ。
竜斗はあんないいかたでも俺の事を真剣に考えてくれてる。
イケメンで性格もいい。
非の打ち所がないな。
扉が開き先生が入ってくる。
「はーい。皆さんHRの時間だ。」
この背が高く気の強そうな女の人は飛鳥先生。
英語の教師でなかなかに容姿がよくて生徒人気がたかい。
「特に今日はなにもないから
本読み開始。」
「「「えぇー。」」」
「文句いうな。はよ読め。」
この学校は毎日10分間の小説を読む時間がある。
皆からは不評らしいがこれまた俺的には
気に入っている。
単純に本が好きだからだ。
今日もってきたのは···
あれ?
持ってくる本間違えたな。
これ多分妹のだ。
だって題名が
幼馴染みとの付き合い方
っていうラノベだもんなぁ。
ラノベも読まないわけじゃない。
ていうか妹に読ませられる。
···感想をかたる友達がいないらしい。
さすが我が妹だ。
だが幼馴染みか···。
この単語を見ると
あの子を思い出して悲しくなる。
黒髪ロングの笑顔の可愛い女の子。
また···喋りたいな。
他の人の呼んでいる本を見てみる。
意外とラノベはあるらしい。
なら恥ずかしくはないな。
読むか。
10分後
···気になる。
続きが気になる。
普通に面白かった。
俺は読むスピードが以上にはやいので(数少ない特技の一つ)
ちょうど盛り上がるところで終わってしまった。
続きを読みたいが次は授業だ。
諦めて準備をするか。
キーンコーンカーンコーン
4時間目の授業がおわった。
「やっと終わったみたいな顔をしてるな。」
「だってこの学校レベル高いからさ。
休憩できる昼飯は重要。」
「確かにな。」
「おーい、竜斗ー。一緒に弁当食おうぜー。」
竜斗に陽キャからの招集がかかる。
「じゃ俺いくわ。」
「おう。」
竜斗はコミュ強なので
いつもは陽キャと昼を済ます。
なら俺は誰と食べるのかというと
「食堂へいこうよ。愁斗。」
「おう。」
この子の名前は
桜 瑠璃
いかにも女の子らしい名前だが男だ。
だが小柄で顔も可愛く声も可愛い。
最初に見たときはボーイッシュな女の子だとおもったほどだ。
俺の人生をやすらげてくれる天使だ。
「なんでジロジロみてるのさ。
はやく行こ。」
「あまりにも可愛いもんで。」
「はいはい。」
といいながら教室を離れようとしたとき
「阿部 愁斗君ですか?」
「は、はい。そうですけど。」
いきなり女の子に喋りかけられた。
階段で見たのと、廊下から見てた子だ。
髪型はよく知らないが多分ボブヘアーっていうやつで茶髪。
めちゃくちゃ似合っている。
スタイルもそれなりに見える。
「ちょっと付いてきてください。」
「え?あぁ···。」
瑠璃はなにかを察してきずいたら
いなくなっている。
すごいなあいつ。
「いきますよ?」
「···はい。」
なぞの圧をかんじて
はいと言ってしまった。
付いていっていると
結構視線をあびる。
可愛い子と冴えない男子が一緒にいたら当然か。
視線をあびるのは嫌いなので
はやく終わらせたい。
女の子は後ろからしか見えないので
わからないがどこか不機嫌そうだ。
なにもした覚えがないんだけどなぁ··。
初対面の人に告白とかもありえないだろうし···。
俺は2階にある図書室に来ていた。
はじめて来たが結構種類がある。
今度借りにこよう。
···じゃなくて
「なんでよんだんですか?」
「それよりさっき一緒にいた
可愛い女の子は誰ですか?」
「···あぁ。瑠璃は男ですよ。」
理解するのに時間がかかった。
なぜそんなことを聞いたのだろう。
「ふぇっ!?
そうだったの!?」
「は、はい。」
いきなり口調が柔らかくなったな。
あと恥ずかしいのか少し顔が赤い。
「あ、ごめんね?
呼び出した理由は愁ちゃんに文句を言うためなの。」
愁ちゃん?
その名前で俺を呼ぶのは世界でたった
一人しかいない。
俺は微笑みながら
「もしかして爾志?」
この娘は満面の笑みで
「そうだよ。
久しぶりだね。
2年ぶりかな。」
爾志 玲奈
もう一人の幼馴染みだ。
元気で可愛い女の子。
中学1年生のときから
ぱったりあわなくなった。
笑顔は昔のまんまだな。
「久しぶり。
まさか爾志がこの学校にきてたなんて。
で、どうしたの?思い出話でもするの?」
爾志は微笑みながら
「思い出ばなしもいいけど、
今日は愁ちゃんに文句を言いにきたの。」
···え、文句?
どういうこと?
久しぶりにあったから積もる話があるとかじゃなく?
とりあえず内容を聞いてみるか。
「ちなみにどんな文句?」
「まだ凛ちゃんのこと忘れなれないの?」
俺の心臓が跳ねる。
「···爾志にいわれるとは思ってなかったよ。」
「愁ちゃんさぁ··。
学校に入学してすぐなのに結構モテてるらしいじゃん。」
「まぁ、うん。」
「そのときの断る理由がさぁ。
忘れなれない人がいる。
らしいね?」
「うん。」
「それは凛ちゃんのことだよね?」
「···うん。」
「じゃあ愁ちゃんのことが好きな私はどうしたらいいの?」
暗い雰囲気から
一気に明るくなった気がした。
「それはどういう···」
爾志はムスッとした顔をしながら
「私はあなたが心配なの。
このままじゃ愁ちゃんは青春が始められない。」
「いつかは忘れているかも···。」
まだムスッとした顔で
「ほんとにそんなこと思ってる?」
「······。」
何も言えない。
「まだ凛ちゃんが帰ってくると思ってる?」
「植物人間は帰ってくる可能性が···。」
「帰ってきたとしていつなの?」
「それは···わからない。」
「この際だからいうね。
私は···あなたが忘れなれない。」
時が止まったような気がした。
ほんの一瞬だけ君しか見えなかった。
でもそれは一瞬。
すごく真剣な表情をしていて
とても冗談とは思えなかった。
「でも···それでも···。」
「ここまで言ってもだめなのかぁ。」
「ごめん。」
爾志は自信満々に
「ならこれからあなたに凛ちゃんを忘れちゃうくらいの青春を味あわせてあげる!!」
読んでいただきありがとうございます。
ダメな所
直してほしい所などあれば
ドシドシお願いします。