無風
火水地?
青い木々のように 声をたてずに
身を潜めていられるのも
赤い舌のように あれよあれよと 舐めあげて
灰と塵へと焦がしていけるのも
黄色い峰のように 機を待って
腰を据えていられるのも
刻がくれば だれよりも疾く駆ける
その脚をもっているからこそ
大輪が つぎの一輪を
遠く離れた地で咲かせられるのも
翼が ちからいっぱいのはばたきで
空へと舞うことができるのも
日ごとに満ち欠けながら 夜空に灯る輝きが
覆いかぶさる厚い雲を払えるのも
季節と生まれで 名前とありようを変えても
いつか どこからか吹いてくれる
その一陣があるからこそ
林火山
花鳥月
風なしでは 理も世も うまくは運ばぬ