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ボッチ・オブ・ザ・デッド  作者: 骨肉パワー
二章 細川雄二 「選択肢の果てに」
24/32

第24話

 20××年4月1日 12時00分

 

「1時間ほど休憩時間を取ります。時間になったら指定のバスに戻ってください」


「……ん?」


 引率の講師の声が青年の耳に届く。


(そうか。結構時間が経っていたみたいだな)


 青年がスマートフォンの画面から目を離し手元の学生証を見つめる。そこには大きな文字で「細川雄二」という名前が印字されていた。


「何か飲み物でも買いに行くか」


 学生証を財布へと仕舞い雄二がバスの外へと出る。


「なんかさ、店内で喧嘩してるやつがいたよな?」


「ああ!血とかも出てたみたいだし、事件とかになるんじゃねえの?」


(…?)


 自動販売機のコイン口に金を投入しようとしていた雄二の手がピタリと止まる。


「……」


 他の学生の会話に注意を払いつつゆっくりと金の投入を続ける雄二。


「あれじゃね?酒とか飲んでたんじゃねえの?」


「いやいや、いくらなんでもアルコールであんななるかぁ?」


「バカ!お前も度数の高い酒飲めば分かるって!マジでぶっ飛ぶぜあれはよ~」


(こんな場所で喧嘩?…それも出血するレベルの?)


 ガタッ!という落下音と共にカフェオレが取り出し口へと落下する。


「……」


 無言でその缶を手に取る雄二。


「……」


 普通の会話。普通の現象。だというのに、雄二はかつて感じた事もないレベルの不安感を感じていた。


(いやいや…別に普通の日常だろ)


 やけに渇きを感じていた喉元にカフェオレを流し込む雄二。程よい糖分とカフェインが雄二の緊張を解していく。


「ふう…」


 空になった缶をゴミ捨て場へと持っていく。缶を捨て、空いていたベンチへと腰を落とし、再びスマートフォンを取り出す雄二。


(早く帰りてえな)


 ゲームを続ける内に雄二が感じていた不安感も薄れていく。


(そうさ。現実なんてこんなもんだ。結局人生ってのはただの暇つぶしなんだよ)


 イヤホンを取り出し再び周囲の状況をシャットアウト。休憩時間ギリギリまで雄二は外界との関りをシャットアウトする事を決めた。


 

 20××年4月1日 12時55分

 

「休憩時間終了です!全員元のバスへと戻ってください~」


「…ん?」


(もう時間か)


 慌ててバス内部へと走る雄二。


「えっと、確かこの席だったよな…」


 雄二が三回程席が間違ってないか否かを確認しようやく席に腰を下ろす。


「…ふう」


 荷物を下ろし窓の外の光景を見ていると講師の出発の声と共にバスが出発した。


「…んん…ふわああああ……」


 10分ほどで雄二は堪えきれないレベルの睡魔を感じていた。


(糖分を摂取したせいか?クソ眠い…)


「まあ、どうせ到着まで時間はかなり掛かるんだ…寝る…か……」


 そして雄二は睡魔に抗う事はせず、心地の良い眠りの世界へと落ちて行った。

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