第21話
「はあっ…!はあっ…!」
(そうだ!そのまま追いかけて来いこのマヌケ野郎が!)
「ごあああああああああああ!!」
「…っ!!」
誠二の背後に巨大ゾンビが迫る。
(この場所は地面がぬかるんでるから転びやすい。足の踏ん張りが効きづらいからな。つまり大きな力を使わずとも落としやすい)
誠二がタイミングを計る。そして今度は逃げるのではなく全力で巨大ゾンビの左斜め方向に狙いを定め全力でタックルを喰らわせる。
「この…クソボケが!!」
「ごああああああああああああ!?」
地形を利用した誠二の攻撃により巨大ゾンビの体が川へと転落する。水深はそこまで深くはない。だがそれでも、それが重さを持つ物体であるのなら水が持つ大きな抵抗から逃れる事はできない。
「ごああああああああああああああ!!」
巨大ゾンビが無理やり地上へと戻ろうと水中を進み始める。だがその動きは当然鈍い。その隙を見逃すような誠二ではない。
「はっ…!自慢の筋肉も物理法則の前では無力ってわけだ!!」
(これで優雅にクロールでもされたら流石にヤバかったが、どうやらこいつにそこまでの知能は無かったようだな)
「ごああああああああああああああ!!」
「さ~てと。これでお前は詰みだ。お前みたいな化け物でも水中じゃ全力は出せないって事が証明されちまったからな」
誠二が灯篭の下に置かれていた白いブロックを手に取る。
「こういうタイプのブロックはよく公園とかでも見かけるけどマジで恐ろしいよな?」
「ごああああああああああああああ!!」
「重さってのはそのまま攻撃力になる。昔っから思ってたんだよ。もしもこんなものが頭上から落ちてきたらヤバいよな~ってな!!」
「ごああああ!?」
誠二が落としたブロックが巨大ゾンビの頭部に直撃する。
「ごああああああ!!ごああああああ!!!」
「映画だとこれで画面が暗転していつの間にか敵は死んでましたっていうのが定番なんだが…現実はそうもいかないか!!」
誠二が2つ目のブロックを手に取り落とす。
「ごああああああああああああああ!!」
頭部がひしゃげその頭骨が露出してもなお巨大ゾンビの動きは止まらなかった。
(完全に頭部を破壊しないとこいつは止まりそうもないな。ついでに窒息死も有効かどうか確認する必要もあるか)
誠二が3つ目のブロックを手に取りまだ壊れていない頭部の部位を狙い落とす。
「ごああああああ!?」
「お前の頭が潰れるのが早いか、それとも体が動かなくなって溺死するのが早いか…」
誠二が4つ目のブロックを手に取る。その目は完全に据わっていた。
「安心しろ。お前が死ぬまでたっぷりとコンクリートブロックをプレゼントしてやるからよ……」
 




