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ボッチ・オブ・ザ・デッド  作者: 骨肉パワー
一章 大川誠二 「終わりの始まり」
19/32

第19話

  20××年4月4日 15時20分


 始末した男二人の銃器を回収。拳銃を手に境内に踏み込んだ誠二。

 

「お…おいおいおい……」


 その足がピタリと止まる。


「なんだ…こりゃ?」


 目の前に広がる光景は誠二の想像を超えたものだったのだ。


(あれは…繭か?物凄い数だ……それにあの巨大なやつはいったい)


 普段は給水場として使われているその場所には1つの巨大な繭が巣くっていた。そしてそれを起点にしているかのように小さな繭が建物内部まで無数に続いていた。


「…っ!?」


 カサカサという微かな音に反応し誠二が慌てて身を隠す。


(何の音だ…?)


「……」


 寺の正面からやや離れた場所まで移動し建物内部の様子を確認する誠二。


「…蜘蛛?…それにあの形状の繭は…まさか……」


 人間の子供程の大きさの蜘蛛が次々と繭から這い出てくる。そして勢いよく目の前に吊り下げられていた餌を食べ始めたのだ。骨が砕ける音と共に見慣れた赤い液体が繭か滲み出てくる。


「うえぇ…」


 人間が食料として捕食されている。その光景には流石の誠二も険悪感を顕わにしていた。


(そうか。さっきの二人組はこの光景を見て引き返してきたのかもしれないな)


「これは…もうダメかもしれないな……人間は」


 事態は既に人間一人でどうにかなるレベルを大きく超えていた。


(水場はあの巨大な繭に抑えられてる。屋内には巨大蜘蛛。こちらの武装は拳銃2つにクロスボウと鉈か。どう考えても無理だな)


 当初の予定から大きく現状は変わってしまっている。敵はゾンビだけではない。未知の敵と戦うためには情報が圧倒的に不足していた。


「撤退だな。正面から突入するならショットガンか機関銃でもないと無理だろ」


 誠二は早々にこの場から離れるべきだと判断した。


「水の問題は何か別の形で解決しな…いと…な…?」


 何となく給水場の方向を見た誠二。その顔が次第に強張っていく。


「…冗談だろ……」


 巨大な繭が地面へと落ちる。そしてその中から化け物が姿を現した。異様に発達した手足に血管が蠢く筋肉。醜悪に歪んだ土戸色の顔。全長は2mを大きく超えている。小さな巨人とも呼ぶべきその化け物の迫力に誠二は息を飲んでいた。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「…っ!?」


 大音量の雄たけびに誠二の姿勢がよろける。そしてそこで音を出してしまった事が誠二にとって命取りとなった。化け物の視線が誠二が隠れている場所へと向かう。


「くそが…!!」


 誠二が全力で物陰から外へと飛び出し走り出す。


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「はっ!?」


 逃げ出した誠二を化け物が追う。人外の身体能力を十全に発揮したその全力ダッシュでだ。


(走れるのか!?くそっ!こういうタイプが居るかもしれないという可能性を失念してた。このままだと追いつかれて殺されるぞ)


「ふざけやがって!!変異体か何かかお前は!?」


 走りながら拳銃を取り出し化け物へと照準を定める誠二。そして1発、2発、3発とその太い足を狙い発砲した。

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