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ボッチ・オブ・ザ・デッド  作者: 骨肉パワー
一章 大川誠二 「終わりの始まり」

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第12話

「おあああああああ!!」


 誠二が階段付近のゾンビへ向かい全力で走り出す。

 

(最終チェックだ。白目、骨の露出、血塗れの腕、青白い顔。ゾンビ確定だ)


「くたばれ!!」


 誠二がシャベルを右斜めに振り上げ男の顔面に振り下ろす。グチャッとした手ごたえの後、ゾンビがよろよろと後退を始めた。フラフラと階段の手すり付近を彷徨い、そのまま落下。再び嫌な音が誠二の耳元に届く。


「……」


 誠二が素早く周囲を確認。幸いにも男以外のゾンビの姿は確認できなかった。


「これは…チャンスかもしれないな」


(とりあえず、各部屋を探索してみるか?)


 誠二の部屋は奥部屋の206号室。二階にはあの少女の部屋を除けば残り4部屋。ゾンビの有無を確認するだけでも価値はあると誠二は判断した。


「…行くか」


 誠二が204号室、203号室と警戒しつつドアを確認していく。


(どこもしっかり施錠されてるな…ホームセンターでピッケルでも買っておけばよかったか)


「ん……?」


 ピタリと、201号室の手前で誠二の足が止まる。


(中に誰か居るのか?)


 わざわざ自分からトラブルを起こす必要性はないと誠二は判断し、誠二は下の階の捜索を始めた。


20××年4月3日 12時00分


「ゾンビなのか人間なのか。どっちか分からなかったな」


 自室に戻ってきた誠二がそう呟く。仮に人間がそこに住んでいた場合、短時間でもその場に留まれば確実にトラブルになってしまう。


「リスクを冒してでも確認しとくべきだったか?」


 安全な室内に再び戻ると、途端に外出は面倒になる。モヤモヤとした気持ちを抱えつつも誠二は昼飯の仕度を始めようとしていた。


「電気はまだ使えるが…まあ予行練習とでも考えるか」


 事前に用意しておいたカセットコンロを使い誠二が軽い料理を作り始める。作っている料理はレトルトカレーと豚汁だ。そのままでは野菜が足りないのでジャガイモや玉ねぎなども過熱しルーの中へと加えていく。


(体に良い食事ってのは重要だ。しっかりと食べて免疫力を高めておかないと)


 栄養バランスを考えつつも冷蔵庫からエナジードリンクを取り出しゴクゴクと飲み干し始める誠二。


(これは糖分の補給だ。…あとストレス発散)


「ふいいいいい!やっぱ炭酸飲料は定期的に飲みたくなるよなぁ!!」


 誠二の部屋にはパンデミック前に箱買いしていたエナジードリンクが溢れかえっていた。誠二自身も理解している事だが、エナジードリンクの過剰摂取は体に良くはない。2日か3日に1本程度が丁度いいのだ。しかしこの日誠二は既に4本目の缶に手を伸ばそうとしていた。


「…いや、流石にこれ以上はマズイか」


 名残惜しそうに缶の側面を撫でつつエナジードリンクを冷蔵庫へと仕舞う誠二。


(最近独り言が増えてきたきた気がするな)


 パンデミックが起きた日以降、誠二は基本的に24時間警戒態勢を続けていた。積み重なったその疲労は確実に誠二の精神を削り始めていた。

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