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1話 ‐入学式編‐



 携帯のアラームで目が覚め、上体を起こす。

カーテンの隙間から日差しが入り、段々と意識が覚醒していく。


早速、カーテンを開けるためベッドから体を起こし、カーテンを開けた。今日の天気は晴天。最高の入学式日和だ。


今日はいよいよ高校生活の始まりといえる日だ。俺は胸を(おどら)らせながら新しい制服に袖を通し、今日の持ち物を再確認する。


机には辞書並みの厚さがある【サルでもできる友達大全】が置かれており、その本にはびっしりと付箋が張られている。 



「次こそは、朝会ったらおはようが言えて、楽しくワイワイできる気の合う友達を作るんだ!」



鏡に写る自分のにやけ顔をみて、学校ではもっと最高な笑顔にしなくちゃと意気込む。ついでにと、鏡の前で全力で笑顔の反復練習をしていく。



「か、完璧すぎる・・・」



鏡に写る自分の親しみやすい笑顔をみて最高のスタートダッシュを切れると確信した俺は、リビングに行き朝食を作る。


ちなみに、家族は海外出張中で、家にいるのは俺だけだ。お金の面に関しては、口座に親からお金が毎月振り込まれているので生活に問題はない。食事を終え、少し早いが、学校に行くことにした。




 家を出るのが、早かったこともあり人通りが少ない通学路を一人歩いていく。



「そこの君っ!」



すると、後ろから声をかけられた。その声はやけに凛とした女性の声だった。振り向かないわけにもいかないので後ろをゆっくりと振り向く。


そこには同じ制服を着ている、長い後ろ髪をポニーテールにしている女子がいた。失礼かもしれないが、女子にしては身長が高かく、肩には竹刀袋(しないぶくろ)が掛かっていた。剣道をやっているということはその竹刀袋を見て一目瞭然(いちもくりょうぜん)だった。


そんな剣道女子が、僕に何の用だろうと考えたがわからなかった。もしかして、本の効果がさっそく体から(にじ)み出ているのではないかという小学生のような発想に至った。



「いきなり声を掛けてすまない、その歩き姿。何か鍛錬でも積んでいたのか?」

「(すごいよ!あの本!いきなり効果出てるよ!しかも相手は女子だ!)」


いきなり女子の友達ができるかと上の空だった俺は、相手が何と言ったのか、ほとんど聞き逃してしまった。



「(鍛錬・・・試験の事か!)」



多分というより確信に近く、試験の事を言っていたのであろう。今日から入学する長鳳(ちょうおう)高等学校はそこそこ偏差値が高かったため、試験も難しかったのだ。しかし、試験が難しかったと普通に言うのは、恰好悪いと思ったので平静を装い無難に答えた。



「それなりには」

「・・・やはりそうか。今日から、長鳳高等学校に入学する剣崎 蘭(けんざき らん)だ。部活は剣道部へ入部しようと思っている。これからよろしく頼む」

「(綺麗なひとだな~)お、俺は、空 廻流(から まわる)です」



剣崎さんが握手するため右手を出してくれたのでこちらもその意図を理解し、握手をしようとしたその瞬間だった――



「こちらこそよろしっ――」



一歩踏み出した直前、靴の真下にあった石に気付かず転びそうになり、バランスをとるため、握手をするはずだった手を後ろに大きく回した。結果、転びそうになったがギリギリ耐えることができた。


やっと友達ができそいだというのに、最初から恰好悪い所を見せてしまったと思うと少し恥ずかしい。ここは笑って誤魔化そうと思い顔を上げる。



「ははは、危なかったですね」

「・・・」

「?」



そこには、先程の位置より数歩ほど後ろに下がりよろけている剣崎さんがいた。加えて、左手にはいつの間にか竹刀が握られていた。なぜ竹刀を握っているのかはわからない。


しばらく沈黙(ちんもく)が続き、様子を伺っていると、俺の方を見てブツブツと何かを言っているのが見えた。肩が上下にブルブルしているため、石に(つまず)いたところを見て笑っているのかと思った。



「それよりも・・・父上よりも・・・」



多分笑っているであろう剣崎さんに、【サルでもできる友達全書】で読んだ【p11 友達が笑ったら共感して一緒に笑おう!】といのを参考にすることにした。



「ははは!ほんと、恰好悪いですよね!」

「・・・道場でだ」

「?」

「次は負けんーー」



何かを言って去ってしまった剣崎さん。出来れば一緒に入学会場へ行きたかったのだが、急ぎの用があるのなら仕方ない。まだ時間もあるので、ゆっくり学校へ向かうことにした。

意味の分からない描写があったと思いますが、意図してやってます。次回は剣崎 蘭視点でストーリーの深堀りをしていきます。

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