プロローグ
鬱蒼とした緑が生い茂る森の中。
面倒臭い学校が終わり放課後にクラスメイトのみんなとめいいっぱい遊んだあと、俺は必ずここを訪れていた。
そんな森の中で寝っ転がっていると木々の間からちらちら除く陽の光が少し眩しくて思わず目を閉じる。
次に目を開けた時に俺は知らない場所に立っていた。
「どこだここ?」
そろそろ帰ろうと思って歩き始めた道は普段とは違う道だった。
ここはいつも遊んでいる裏山のはずなのに道がひとつも分からない。
「そろそろ帰んないと母ちゃんに怒られるのに」
時刻は夕暮れ、夏とはいえお日様が見えなくなるのにはそう時間はかからない。
「どこなんだよ!ここは!」
普段から遊んでいるはずの場所なのに一つとして道がわからないのと、日が暮れるという焦りが少年を苛立たせていた。
走ってあっちこっち探すがいつもの帰り道にはたどり着けないでいた。
そうしてだんだん周りが暗くなっていく頃、開けた場所に出た。
そこは大きな泉がある場所だった。
まだ沈みかけの夕日の光を反射してキラキラと輝いている。
「こんな場所あったっけ?」
何度もここで遊んでいるのにまだこんな知らない場所があったとは、と少し感嘆に浸っているとちゃぷちゃぷと横から水音がするのが聞こえた。
気になってそっちに目を向けるとそこには中学生の俺にとっては刺激的な光景があった。
そこには少女がいた、少年と同じほどの年齢に見える。
ただ問題はそこじゃなかった、少女は水浴びをしていたのだ。
それも一糸纏わぬ姿で。
少年が慌てて口をパクパクさせていると少女が少年の存在に気づく。
少年は慌てて逃げ出そうとして転けてしまう。
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…」
それが少年だった俺こと佐山星流と女神フィリアとの邂逅だった。
この時は俺は思いもよらなかった。
ここが自分が元いた世界とは違う世界なのだと…。