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「でも、初白さんって良い人そうだよね?」


「そうか?」


「うん」


 お?

 これはひょっとしたら、ひょっとするんじゃないか?

 なんか知らないけど高弥は初白に興味を持ってるし、あと一押しじゃないか?

 なのにあいつはなんで高弥に連絡を入れないんだ?

 折角協力してやったっていうのに……。


「ま、顔は良いよな、顔は……」


「可愛いよね、一年の中でも人気らしいよ」


「だろうな、正直俺はどうでも良いけど……」


「……ねぇ、まだ中学の時の事……気にしてるのかい?」


「……別に、でも俺はもう気が付いたんだよ……俺はモテないって」


「……僕はそんな事無いと思うけどな」


「気を使わなくていいぞ、俺はお前みたいに顔が良い訳じゃないからな」


「人間顔だけじゃないと思うけど……」


「何? 人間の顔じゃない?」


「いや、そんな事言ってないよ……あの時、僕は平斗のおかげで……」


「おい」


「え……」


「もう、やめようぜその話は……」


「ご、ごめん……」


「いや、俺が忘れたいだけだ、お前が謝る事じゃない」


 俺は高弥にそう言い、飲み物を買うと言って一階の自販機に飲み物を買いに向かった。


「あ……」


「ん?」


 一階の自販機に行くと、偶然にも初白が居た。

 初白も飲み物を買いにきていたようで、財布を持っていた。


「先輩も飲み物買いにきたんですか?」


「あぁ……」


 なんだか初白と話すのは久しぶりな気がする。

 俺は初白が飲み物を買い終わった後に、自販機にお金を入れ、何を飲もうかと考える。

 今日の気分は何となく炭酸水だったので、俺は炭酸水を購入する。


「えぇ、先輩それただの炭酸水ですよ? 甘くないやつ」


「だから良いんだよ、さっぱりしてて俺は好きなんだ」


「大人がお酒を割るのに使うためだけにあるんじゃないんですか? 炭酸水って」


「俺が何を飲もうが、お前には関係ないだろ」


「えぇ……甘くもない炭酸なんて飲んで何が楽しいんですか?」


「別にいいだろ……それよりお前、高弥にメッセージ送ってないのか?」


「ま、まぁ……そうですけど……」


 初白はそう言いながら、俺から視線を反らす。

 

「お前なぁ……折角俺が協力してやったんだから、何か適当に連絡とってみろよ」


「で、でも何って送って良いか分からないし……」


「そんなもん適当でいいんだよ、今日はいい天気ですねとか送っとけ」


「そんなのただのおかしい人じゃないですか、先輩馬鹿ですか?」


「先輩にそんな言葉使いのお前はおかしい人ではないのか?」


 そんな事を俺が初白と話していると自販機に一年生の女の子数名がやって来た。


「あ、蓮花ちゃんここに居たんだ!」


「うん、飲み物買ってたのー」


 どうやらこの女の子たちは初白の友人らしい。

 俺はなんだか居心地が悪くなり、そーっとその場から離れる。


「あ、先輩!」


「じゃあな」


 初白に別れを告げ、俺は自分の教室に戻って行く。




 私の名前は初白蓮花はつしろ れんか、今年高校に入学した一年生だ。

 私には好きな人が居る。

 その人は格好良くて、優しくて、いつも優しい笑みを浮かべている、学校一の人気者だ。

 私がその人と出会ったのは入学して間もなくのことだった。

 その日、私が多目的室の場所がわからなく困っていたところをその人が優しく案内してくれた。

 その時から私はその人の事が気になり始め、どんどん好きになっていった。

 でも、その人は学年問わず女子から人気のある学園の王子様。

 私みたいな一年生を相手になんかしてはくれない。

 それでも私は諦めきれず、その人と仲良くなるべく、その人について色々調べた。

 どうやらその人には唯一仲の良い男友達が居るらしく、私はその人に協力を頼んだのだが……。

 残念ながら断られてしまった。

 でも、その人は断りつつも少しだけ手助けをしてくれた。

 捻くれ者で全然優しくない先輩だけど、なんだかんだで私に手を貸してくれた良い人だ。

 しかし、私はクラスの友達からそんな先輩の嫌な噂を聞いてしまった。


「ねぇねぇ、蓮花ちゃん……あの先輩と知り合いなの?」


「え? うん、少し話す程度だけど……」


「悪いことは言わないから、もう関わらない方が良いよ?」


「え? どうして?」

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