表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/228

72

「ただいまぁ~瑠華ちゃ~ん! お父さんが帰ってきたよぉ~………って……誰?」


 なんか凄いテンションでダンディーなおっさんが帰ってきたぞ。

 俺は立ち上がり、城崎さんのお父さんに挨拶をする。


「あ、初めまして自分は……」


「なぁ!? ま、まさか……瑠華ちゃん……この男が……」


「あ、はいそうです、道場の島並さんです」


「どうもです」


「や、やはりそうか……そうだったのか……」


 城崎さんのお父さんはワナワナと肩を振るわせながら俯き、俺の肩を強く掴んできた。


「よ、ようこそぉ……城崎家ぇ………」


「は……はい……」


 いや、怖いんだけど!

 なんでこの人血涙してるの!?

 俺何かした?

 行動と言葉があってないんだけど!!


「よ、良くきてくれたぁ……さぁさぁ……食事の続きをしてくれぇ……」


「は、はい……」


 なんなんだこの人……メチャクチャ怖い。

 てか、なんでメチャクチャ俺の事見てるの!?

 そしてなんで隣に座るの!

 なんで笑顔なの!


「………」


「……あ、あの……何か………」


「あぁ……済まないねぇ……」


「い、いえ……」


 ガン見!?

 なんで!?

 怖いんだけど!

 俺本当に何かした?

 謝るからそんな怖い目で見ないで!!

 俺は隣から感じる強い視線を感じながら、食事を続ける。

 なんで城崎さんのお父さんはこんなに俺を見てるんだ……。


「ご、ご馳走様です……じ、時間も遅いですし、俺はそろそろ……」


「待ちたまえ………」


 俺が食事を済ませて立ち上がり、帰ろうとすると、突然隣から城崎さんのお父さんがそう言ってきた。


「まぁ、家も近いのだろう……良かったら風呂に入っていくと良い……うちの風呂は広くて足を伸ばせるぞ」


「あ、い……いや、流石にそれは……」


 流石にこれ以上はこのお父さんと関わりたくない。

 そう思った俺はお父さんからの提案を断り、そのまま帰ろうとした。

 しかし、追い打ちを掛けるように城崎さんが笑顔で俺に言う。


「そうですよ、折角ですから入って言って下さい」


 悪気は無いのは分かっているが、ここでのその言葉は迷惑だ。


「あぁ、そうだ……背中を流して上げよう……さぁ……来なさい」


「え? あ……いや……その……」


 なんでそうなる!?

 なんて事を思っていると、俺は城崎さんのお父さんとお風呂に入ることになってしまった。

 

「なんでこうなる……」


 確かに城崎さんの家のお風呂は広かった。

 平気で四人は浴槽に入れてしまいそうだった。

 広くて足も伸ばせてゆったり出来る空間なのに……なんで俺はこんなにも恐怖を感じているのだろうか……。


「………」


「………」


 気まずい……そして怖い……。

 一体この人は俺にどんな感情を抱いてるんだ?

 まずその血走った目をやめてほしいのだが……そんな事を言えるはずもなく、俺は大人しく湯に浸かる。


「……君は……うちの瑠華ちゃんとはどういう関係なんだ?」


「え? あぁ……道場の門下生と……えっと……指導者でしょうか?」


「そうか………恋愛感情は無いんだね?」


「え?」


「無いんだね!!」


「あ、ありませんありません!!」


「そうか……」


 なんだこの人……急に凄い怖い顔で聞いてきたぞ……まさか、この人は俺が城崎さんを狙っている男だと思っているのか?

 それならここは、お父さんに俺が城崎さんに取って無害な存在である事を示さなくては!



「あ、安心して下さい、自分は娘さんには興味はありませんから」


「貴様喧嘩売ってるのか!! うちの超絶可愛い娘に興味が無いとは貴様本当にオスかぁぁぁぁぁ!!」


 いきなり般若のような形相で怒り出す城崎さんのお父さん。

 どうしろってんだよ!

 なんて言ったらセーフなんだよ!

 こえぇぇよ!!

 

「はぁ……はぁ……済まない……取り乱してしまった……」


「い、いえ……」


 帰りたい……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ