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 俺はこの人を甘く見過ぎていたのかもしれない。

 ずっと、ストーカーの最低男と思っていた俺の考えが、目の前でどんどん変わっていく。 

「なんだよ……格好良すぎだろ………」


 俺はそう呟きながら、意識を失った。



「はぁ……重い……」


 あの後、俺は大学生の男達に二度と悟達に近づかない事を約束させ、悟を背負って街中まで来ていた。

 俺の後ろには捕まっていた女子達と悟の取り巻きが付いてきている。


「たく……お前ら、ちゃんと初白に謝れよ」


「……は、はい」


「わ、わかりました……」


 ちなみに初白は先程目を覚ましたらしい。

 少し頭が混乱しているのか、なんで自分がそこに居たのかも良く覚えていないらしい。

 今は念の為、高弥に大島と一緒に病院に連れて行ってもらっている。

 変な薬品も嗅がされてたし、何かあったら大変だからだ。


「どれ、じゃあ俺はここで、おい男二人、悟を頼むぞ」


「は、はい!」


「わ、わかりました!」


「おう……あ、あと目が覚めたらちゃんとさっき俺が言った事を伝えておけよ」


「わ、わかってます……でも……本当に良いんですか?」


「俺が良いって言ったら、良いんだよ」


 俺がこいつらに話したのは、今日の出来事を誰にも話すなという話しだ。

 もしも噂が大きくなって、先生の耳にでも入ったら面倒だしな。

 

「じゃ、またな~」


 俺はそう言って、悟達の元を後にした。

 もう一人の後輩の様子も見に行かなきゃいけないしな……。



「ん……ここは……」


「あ、目が覚めた?」


「あれ? 真木先輩? どうして? それにここは……」


 私が目を覚ましたのは病院だった。

 何でも一時間ほど寝ていたらしい。

 なんで私が寝ているのか、よく覚えて居ない。


「あ、あの……一体何が?」


「あぁ、君は襲われて変な薬を嗅がされて眠ってたんだよ、幸いなんとも無いそうだよ」


「そ、そうですか……」


 そう言えば何かを嗅がされてから意識を失ったような……そうだ!


「あ、あの! 大島くんは大丈夫ですか!?

 私を庇ってくれて……」


「あぁ、彼も大丈夫だよ。打撲や擦り傷は凄いけど、骨が折れたりとかはしてないって、今は手当をして貰っているよ」


「そ、そうですか……よかった……」


 私を助けてくれた大島君は無事のようだ。

 よかった、私が最後に彼を見た時はもうボロボロだったから……。

 私がそんな事を考えながら安堵していると、病室のドアが開き、島並先輩が入ってきた。


「よっ」


「あ、先輩……どうしたんですか?」


「どうしたって……君を助けたのは……」


「あぁ、お前が襲われたって高弥から聞いてな……大丈夫か?」


 島並先輩は何かを言いかけた真木先輩の口を塞ぎ、私にそう尋ねてきた。


「だ、大丈夫です……珍しいですね……先輩が私の心配なんて……」


「たまにはな……それに高弥と大島に話しがあったからな」


「なんだ、私はついでですか……」


「まぁな、そんじゃ高弥、少しいいか?」


「あ、あぁ……良いけど……」


 真木先輩と島並先輩はそう言うと病室を出て行った。

 念のため今日は親と一緒に帰るように島並先輩に言われ、私はお母さんに電話して病院に迎えにきて貰った。

 なんでこんな事になっているのかと、お母さんは私を心配して色々聞いてきたが、真木先輩が全部説明してくれた。

 私もそのとき、事の顛末てんまつを知った。

 まさか、悟君がそんな事に巻き込まれてたなんて……。

 あんな事をされてこんな事を言うのはなんだけど、悟君達も大変だったんだよね……。 詳しくは聞いてないけど、悟君を脅していた大学生はなんとかなったらしいけど……一体どうやってなんとかしたんだろう?

 詳しい事に関しては、真木先輩も大島君も教えてくれなかった。

 島並先輩はさっさと帰っちゃうし……。

 明日、詳しく聞いてみよう。

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