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「うふふ……」


 私は自宅に帰ってきて、ニヤニヤが止まらなかった。

 その理由は、好きな人との関係が今日一気に縮まったからだ。

 先輩が一緒って知ったときは、空気読めよとか思ったけど、実際はそんなことどうでもよくなるほど、私は真木先輩とお近づきになれた。


「土曜日楽しみだなぁ~何を着て行こうかなぁ~」


 私はベッドに寝転がりながら、そんなことを考える。

 まさかこんなに上手くいくなんて思ってもいなかった。

 これもまぁ私の力ね!

 私ってかわいいし!

 そんな私にとっては上手く行き過ぎた一日だったが、一つだけ気になることがあった。

 それは帰りの間際に先輩を睨んでいたあの女の人だ。

 他校の高校の制服を着ており、かなりの美少女だった、まぁ私の方が可愛いけど。

 何かを話している様子だったけど、一体何だったのだろうか?

 しかも、真木先輩はすごく怒っている様子だったし、島並先輩はなんだか表情が暗かった。


「あの人……誰なんだろう?」


 真木先輩の話だと、島並先輩のあの噂に大きくかかわっている人とということはわかるのだが、一体あの人と何があったのだろうか?

 正直、島並先輩には全く興味はないけど、真木先輩とのことをなんだかんだで協力してくれてるし、少し気にはなってしまう。

 それに、みんなが言うほどあの人は悪い人だと思わない。


「一体……何があったんだろ?」


 真木先輩が彼氏になるんだとしたら、仲の良い島並先輩とも今後は付き合って行かなきゃいけないだろうし、少しくらいなら力になってやらないこともない。

 まぁ、島並先輩に何があったのかは知らないけど、真木先輩にとって島並先輩は大切な友達みたいだし、それなら私も島並先輩とは仲良くしていかなきゃいけないし。

 私はそんなことを考えながら、ベッドに寝頃がる。

 入学してからもう二か月、私の学園生活は恋愛という面においては順調だ。



 思いがけない再会をした日の翌日、俺は廊下を歩いていた。

 しかし、俺はこの廊下を歩いたことを激しく後悔した。

 放課後の廊下、一年生のフロアには人が少なく、一年生の教室脇の廊下を俺は一人で歩いいていた。

 高弥は何やら用事があるとかでどこかに行ってしまい、今日は一人で帰宅していた。

 しかし、その廊下で俺は聞きたくないことを聞いてしまった。


「初白さんって、調子乗ってない?」


「あぁ~わかる~」


「なんか男子に媚び売ってる感じがさぁ~、しかもあの二年のヤバイ先輩に媚び売って、真木先輩に近づこうとしてるらしいよ?」


「マジで? あのビッチ、男なら誰でもいいのかよ」


 おそらく一年の女子だろう。

 まぁ、女子によくある陰湿な陰口だな。

 あのアホなら、他の女子から疎まれても仕方ないだろうな。

 俺はそのままその場を去ろうとした、しかし彼女たちの次の一言が俺をその場にとどめた。


「しかもあいつ馬鹿でさぁ~教室にスマホ忘れてんの~」


「マジ? それ初白さんの?」


「うん、そう。ねぇねぇどうする?」


「え? どうって?」


「もちろん! あの女のスマホの中身を見て弱みを握ってやるのよ!」


「いやいや、スマホにはロックが……」


 なんか前も似たような展開があったような?

 俺はそんなことを考えながら、教室の外の廊下で聞き耳を立てていた。

 てか、あのアホでも流石にロックの番号は変えてるだろ。


「簡単に開いたわ、ロックの番号全部1だったし」


 アホかあのバカ!

 マジでどうしようもねぇな……。


 俺は深いため息を吐き、教室の中に入っていった。


「失礼、君たちちょっと聞きたいんだけど、初白蓮花のスマホを知らないか? あいつ、教室に忘れたらしいんだが」


「げっ……」


「うわっ……」


「おえ……」


 おい、最後の奴。

 なんで吐き気を催す!

 そこまでか!!

 俺は相変わらずの俺の嫌われ具合にため息を吐きながら、話の本題を伝える。

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