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「そうか……それにしても大丈夫だったのか?」


「あぁ、全然手ごたえが無くてね。でも平斗もきをつけてくれよ」


「わかってるよ」


 平斗はシャワーを浴びながら僕の話を聞いていた。

 平斗の体を見ると痣や切り傷だらけだった。

 きっと竹内さんと相当過酷な稽古をしているのだろう。


「それで高柳さんを狙ってる黒幕についてだけど……」


「わかったのか?」


「いや、正直確証はまだないよ、でもやるとしたらあの男しかいない」


「誰だ?」


柳健三(やなぎ けんぞう)


「誰だよそいつ」


「この人物を説明する前にまずは高柳家と柳家について説明しないとね」


「ややこしい話は勘弁だぜ?」


 柳家とは高柳家の分家に当たる。

 江戸時代末期に別れ、それ以降は本家は分家に仕事の一部を手伝わせ、高柳家は日本でも有名な財閥となっていった。

 しかし、本家を憎む分家の人間は古くからいた。


「それが原因かは分からないけど、柳健三は高柳家の当主の事を相当憎んでいるようだ」


「なんでだよ? 身内だろ?」


「だからだよ、昔から分家と本家は分けられ、分家は本家を立てるための踏み台でしかなかったようだ」


「じゃぁ、その柳って家の奴はそんな状況がいやで光音を誘拐しようとしたのか?」


「可能性はあるだろうね、もしかしたら高柳家の所有する財産が目的なのかもしれないけど、他にも面白い話を聞いたよ」


「なんだ?」


「高柳家の奥さん……二人目だって話は聞いてるか?」


「え? まさか……そんな……」


「光音ちゃんはその時の奥さんの子だ」


 平斗はシャワーを止め俺の方を見て尋ねる。


「その奥さんと柳家に何の関係があるんだ?」


「柳健三の妹なんだよ、最初の奥さんは」


「え……じゃ、じゃぁその奥さんは?」


「……亡くなったらしい」


「え……」


 その事実に平斗は驚いていた。

 無理もない、僕も驚いたのだ。

 光音ちゃんと僕より関係が深い平斗が驚かないわけがない。

 

「病気だったらしい」


「何年前の事だ?」


「もう十年以上も前さ、きっと光音ちゃんも幼かっただろう」


「……でも、それと誘拐と何の関係があるんだよ?」


「あぁ、柳健三は妹が死んだのを高柳家の当主が責任だと思っている」


「死んだ原因は病気だろ?」


「そうなんだが……」


「なんだ、何かあったのか?」


「……実は、助かる方法が無かったわけじゃないらしいんだ。手術を受ければ助かる見込みもあったらしい」


「じゃ、じゃぁなんで……」


「それが分からない。でも柳健三はそのことが原因で高柳家の当主を恨んでいるらしい、しかも再婚までしたんだ、怒って当然かもね」


「あの人が……そんな事を……」


「事実は分からないけど、これが真実だよ。そして、なんでこの件に警察が関与しないのかもわかった。あの当主はこの事をあまり表沙汰にして大事にしたくないらしいんだ」


「身内の不始末を身内が付けようとしているわけか……」


「あぁ、そう言う事みたいだ」


 今の高柳家の当主からもこの話を聞いてきた。

 あの当主はこのことをすべて事実だと言った。

 あの当主が何を思ってそういう選択をしたのかは分からない。

 でも、あの当主の顔はなぜか悲し気だった。


「……まぁ、理由はどうあれ、光音が危ないのに変わりはない」


「じゃぁ、話した通りに?」


「あぁ、その柳とかいう男のとこに行く」


 まぁ、この話を聞いても平斗はそうすると思ったけど。

 でも今回はかなり相手がヤバイかもしれない。

 本当に強くなってもらわないと困るかもね。


「はい、タオル」


「お、サンキュー」


 僕は平斗にタオルを手渡し、声をかける。


「恐らくあっちも本気だよ。だから覚悟はしておいてくれ」


「お互い様だろそんなの」


 平斗はそう言って笑みを浮かべた。

 


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