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「初白さん、何にする?」
「え、えっと私は……」
「高弥、俺はいつものな、席とってくるから注文頼むわ」
「あぁ、良いよ」
「あ、じゃあ私も……」
「お前は高弥と居ろ!」
「うぅ……はい……」
あいつ、初っ端からやらかしたから、弱気になってやがる……。
何が蓮花ちゃんのトーク力だよ……。
俺はそんなことを考えながら、席を見つけ先に座って待っていた。
レジの奥にある席なのでレジの様子は見えないが、初白は上手くやっているだろうか?
そんなことを考えてから数分後、二人は注文した商品を持って席にやってきた。
「お待たせ、はいいつものやつね」
「ん、サンキュー。あい金」
「ありがと」
俺は高弥に商品の代金を渡して、商品のドリンクを受け取る。
高弥はいつも通り俺の席の前に座り、初白は高弥の隣に座った。
「んで、俺はなんでここに呼ばれたんだ?」
「え? 別にいつもの事じゃないか」
「いや、俺はお前が大事な話があるって言われたから来たんだが?」
「あぁ、あれは嘘だよ」
「帰る」
「まぁまぁ、少し落ち着いて、ゆっくり三人で話でもしようよ」
「あんな真剣な顔で言うから何かと思えば……はぁ……」
まさか、高弥の嘘だとは……。
まぁ、いいや。
これ飲んだら、俺はさっさと退散するか……。
「そういえば、初白さんと平斗はなんで仲が良いの? どんな経緯で仲良くなったのかな?」
「えっと……そ、それは……」
高弥が笑顔で初白にそう尋ねる。
そんな高弥の質問に初白はどう答えて良いかわからず、アタフタしていた。
まぁ、こいつが俺に近づいたのって、平斗に近づくためだしな……。
「もしかして平斗が好きなの?」
「いや、それは無いです、絶対無いです」
間髪入れずに、初白がそう答える。
本当の事なのだが、なぜかムカつく……。
「高弥、アホなことを聞くな、俺が女からモテるはずないだろ?」
「そうかな? 僕はあんまりそうは思わないけど」
「お前が一番知ってるだろ? 俺は生まれてこの方彼女なんて出来たことはおろか、女子から嫌われてるんだから」
「本当の平斗を知ったら、結構モテると思うけど」
「そんなわけあるかよ」
「確かに、先輩って結構面倒臭そうですもんね」
「お前にだけは言われたくないな、初白」
てか、高弥は一体何を考えてるんだ?
なんで初白と俺を一緒に?
やっぱり、いきなり二人っきりはきついのか?
俺がそんなことを考えていると、俺は足元に何かがぶつかる感覚を感じた。
どうやら斜め前の席の初白が俺の足を自分の足で蹴っているらしい。
どうやら、何か自分に話題を振って手助けをしろというサインらしいが……地味に痛いな……。
「あぁ……初白、お前確か高弥に聞きたいことがあったんじゃないか?」
「え? 別に無いですよ」
なんなんだこいつ……。
なんで俺が話題を振ってやったことに気が付かない!
やっぱりこいつはアホなのか!?
これじゃあ協力してやっても意味無いじゃねーか!!
俺は初白の足を蹴り、俺の意図に気が付くようにサインを送る。
「いっ! ……あ! あぁ! そういえば私、真木先輩に聞きたいことがあったんです!!」
ようやく気が付きやがったな……。
まぁ、いいやこれで上手く会話が繋がれば……。
「ま、真木先輩って休みの日とかは何をして過ごしているんですか?」
いいぞ、ようやく普通の会話っぽくなってきた!
「休みの日かい? そうだなぁ……平斗と一緒にいることが多いかな?」
「へ、へぇ……そうなんですか……」
なんでこっちを見る……別に変なことじゃないだろうが、友達と休日に遊びに行くくらい……。
「ほ、他には?」
「他に? そうだなぁ……平斗とゲーセン行ったり、買い物行ったりかな?」
「へ、へぇ……」
だからこっちを見るな!
なんだその複雑そうな表情は!
いつも一緒にいること知ってるんだから、いちいち驚くなよ!
あと、いちいち俺の顔を見るな!




