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「あぁ、すいません」


 俺はそう言って茜さんに背を向ける。

 

「茜さん」


「な、なんだよ変態!」


「今って楽しいですか?」


「え……」


「俺と貴方が出会ったのもこんな暑い日だったなって思って……」


「そ、そういえばそうだな……お前、確かその時も私の胸見てたろ?」


「い、いやあれは……」


「やっぱりお前は変態だ」


「だから誤解なんですって!」


 上手く話を逸らせたと思ったんだが、全然駄目だったな。

 はぁ……この人男勝りな性格してるくせに胸とか足見られるのは嫌がるからなぁ……やっぱり茜さんも女性ってことか。


「でも……」


「え?」


「そうか……もう一年なんだな」


「そうですよ、茜さんも随分丸くなって……」


「あぁ!? それはなんだ太ったって意味か!」


「いや、俺は性格のことを……」


「言っとくけど私結構痩せたんだからな! 嘘だと思うなら見てみろ!!」


 茜さんはそう言ってパーカーのジッパーを下ろして、俺に体を見せて来る。

 いや、さっきまで見るなって言ってたじゃん……。

 てか……こんなことを思ってはいけないのかもしれないが、やっぱり大きいなぁ……。


「あ、あの……わかりました……」


「わかれば良いんだよ、わかれば」


 茜さんは満足そうにそう言ってパーカーのジッパーを開けたまま腕を組む。

 いや、それはあの……男子高校生には刺激が強すぎるのですが……。


「えっと……茜さんやっぱり赤が似合いますね」


「なんだよ急に」


「いや、その……水着が」


「え? なっ!」


 茜さんはようやく自分の今の姿に気が付き、顔を真っ赤にしながらパーカーの前を閉める。


「変態!!」


「いや、あんたが勝手に開けたんでしょ!!」


 茜さんは顔を真っ赤にしながら真奈美さんの方に行ってしまった。


「まったく……茜さんにも困ったもんだ」


 俺は茜さんが居なくなった後、パラソルの下にビニールシートを敷きそこに座った。

 日差しが強いので日陰に入るだけでも全然違う。


「天気が良いのは良いが、暑いなぁ……」


 ぼーっと海を眺めていると、泳ぎの勝負をしていた大島と悟が海から上がってきた。

 ほぼ同着に見えたが、二人はなんだかまた言い争いをしている。

 きっとどっちが早かったで揉めてるんだろうな。 

 あ、篠崎が悟と大島のところに入っていった。

 なんだかんだであの三人は仲良いな。


「し、島並さん……」


「ん? あぁ、城崎さん」


「よ、よかったらどうぞ、水分補給大事なので……」


「あぁ、ありがとう」


 俺がぼーっと海を眺めていると、後ろから青色の水着を着た城崎さんがやってきた。

 腰にはパレオを巻いていて、清楚なイメージの城崎さんに良く似合っていた。


「水着似合ってるね」


「え!? あ、ありがとうございます……嬉しいです」


「それにしても暑いねぇ〜天気が良いのは良いことだけど」


「そ、そうですね……」


「そういえば初白達は? 一緒に来たんじゃないの?」


「あぁ、蓮華ちゃんはもう少し準備をしてからくるそうです」


「そうなのか、何をそんな準備することがあるのかねぇ」


「お、女の子は色々大変なんですよ?」


「そうなの?」


「はい、日焼け止めを塗ったり、えっと……色々処理したり」


「まぁ、確かに城崎さんは肌綺麗だし、焼けたら困るもんな」


「え!? き、綺麗ですか?」


「あぁ、綺麗だよ」


 透き通るような白さとはまさに城崎さんの肌のことだろう。

 こんな子が道場で道着を着て汗を流しながら鍛錬に励んでいるとは知っている人間で無い限り思えないだろうな。

 でも、なんで今は顔が真っ赤なんだろう?

 暑いのかな?


「城崎さん大丈夫? 顔真っ赤だよ?」


「へ!? あ、はい! だ、大丈夫れす!! じゃない…です!」


 いかん熱中症かもしれん。

 なんかろれつが回ってないし。


「大丈夫? 少し横になる?」


「ほ、本当に大丈夫です!」


「じゃぁ水飲んで、顔真っ赤だよ?


「じゃ、じゃぁ海で冷やしてきます!!」


「え?」


 そう行って城崎さんはパレオを脱いで海に向かって走っていった。

 急にどうしたんだろう?


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