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 とは言ってもこのアルバイトにはまだ疑問がある。

 お嬢様の護衛とは言われたもののやっているのは一緒にゲームをするくらいだ。

 もっと他に雑用とかしなくていいのだろうか?

 てか、山ノ内さんは?


「ただいまもどりました〜」


「あ、やっと帰って……って何食ってるんですか!!」


「ん? アイスですけど?」


 やっと帰って来た山ノ内さんは手にカップアイスを持っていた。

 この人は業務中に一体何を食ってんだよ……。


「私にも……」


「もちろんお嬢様の分もございますよ」


 そう言って山ノ内さんはポケットから別なカップアイスを取り出し、お嬢様に手渡す。


「ありがと」


「いえいえ、では私もあー……」


「待て」


「いてっ……何をするんですか?」


「業務中にアイスなんて食って良いんですか? 怒られますよ」


「怒られるもなにも、雇用主が許可してますから」


 そう言いながら山ノ内さんはアイスを食べる光音の方を見る。

 いや、光音も注意しろよ。

 この人使用人だぞ……。


「良いのか光音? 使用人こんなんで」


「……別に私は困らない」


「まぁ……そうだけど……この人には金を払って働いてもらってるわけで……」


「業務は問題なくやってくれてる……」


「そ、それはそうだろうけど……」


「全く、新参者が古参に意見とは……随分偉くなったものですね」


「いや、その態度は普通におかしいだろ」


 山ノ内さんはそう言いながら、部屋のソファーで寝転びアイスを食べながらテレビを見始めた。

 いや、この人本当にフリーダム過ぎないか?


「はぁ……なぁ、何かして欲しいこととかないのか? 金はもらってるんだ、それ相応のことはするぞ?」


「………貴方は護衛のために居る……居るだけで十分」


「ま、まぁそうだけど……なんかこう、何もしないで金を貰うのは……」


「大丈夫……うち、お金持ち」


「いや、知ってるけど……」


 なんともこの金持ちというのは、心にも余裕を持っているようだ。

 とはいえ、毎日毎日お嬢様がずっと部屋の中に居るんじゃ俺が雇われた意味が無い気がするんだがなぁ……。


「なぁ、夏休みの間家から出てないのか?」


「ん………多少は出る」


「多少かよ……」


 マジで俺が居る意味ないんじゃね?

 とはいえ、高額なバイトだしここでやめるのももったいない。

 

「あ………」


「どうした?」


「明日……外出る」


「え? そうなのか?」


「あぁ、お嬢様明日は登校日でしたね」


「ん………」


「なるほど……そういうことか」


 てことは、城崎さんも明日は学校か。

 というか、俺は学校までもしかして同行しなくちゃいけないのか?

 

「もしかしてですけど……明日は俺も行くんですか?」


「当たり前じゃないですか、明日は朝7時にお屋敷に来て下さい」


「マジかよ……」


 夏休みに学校に行くのかよ……しかも朝早くに……。

 まぁでも俺が勉強するわけでもないしな。

 お嬢様学校なんて普段は見れないし、見学するつもりで行こう。


「くれぐれも言っておきますが、他のお嬢様方に粗相の無いようにお願いしますね」


「わかってますよ、一応常識はあるつもりなので」


「まぁ、一般常識のある男性でも女性を前にすると狼になりますから」


「貴方は俺が何をすると思っているんですか……」


「………怖い」


「何もしねーよ!」


 やっぱりこのバイト疲れるわ……。

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