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「それで何のようだ?」


「さっきはよくも邪魔してくれたな!」


「あと少しで初白と……」


 あぁ、ただの八つ当たりか……。

 大方、初白を口説こうとでもしていたのだろう。

 まぁ、あの様子じゃ相手にもされてなかっただろうが……。

 一年生とは言え、男子生徒四人に囲まれているというのに、俺も高弥も落ち着いている。

 自分でもいうのもなんだが、もう少し焦ってもいいような気もするが……。


「初白と……初白をデートに誘えたのに!!」


「は?」


「デート?」


「そうだよ! 恥ずかしいからこいつについてきてもらったんだ! それなのに……それなのにあんたが邪魔するから!!」


 涙を浮かべながらそう言う一年生の一人、恐らく彼がこの中のリーダー的存在なのだろう。

 大柄で筋肉質、鍛えているのがよくわかる。

 

「大島君の邪魔しやがって!」


「大島君に謝れ!!」


「お、おいお前らやめろ! なんか恥ずかしいだろ……」


 なんだこいつら……。

 面白い奴らだな。

 なんか憎めないな。

 俺がそんなことを考えていると、大島は俺に言葉を続ける。


「聞いてるぜ! あんた中学の時、女子に酷いことをしてたんだろ!」


「今度は初白さんに何をする気だ!」


「この鬼畜!!」


「なるほどな……お前は初白が好きで、そんな初白がよくない噂が流れている俺と一緒にいたから、心配になったってことか……」


「そうだ! アンタ、初白に何をする気だ!」


「何もしねーから安心しろ、邪魔して悪かったな。じゃ俺は帰る」


「あ、じゃあ僕も」


「そうか、わかった、気をつけてな………ってそうじゃねぇ!!」


「なんだよ、もう話は終わっただろ?」


「いや、そうだけど! 終わったけど! こういう展開だとなんかひと悶着あるだろ! あんたがキレるとか!!」


「いや、俺はそういう面倒臭いのやだ」


「僕も面倒なのは嫌いかな?」


「いや! なんか無いのかよ!」


「別に? 帰っていいか?」


「後輩からここまで言われてるのに!?」


「じゃあなんだよ、お前らは俺達と喧嘩したいのか?」


「い、一応そういうことをするのかと思っていたんだが……」


「じゃあ、俺の負けでいいから喧嘩はなしで……それじゃ」


「あ、おい!」


 俺と高弥は大島に背を向け、ため息を吐きながらその場を後にする。


「やれやれ、まさかあいつのおかげでこんな風に絡まれるなんて……」


「まぁ、初白さん可愛いから、仲良くしてる平斗に嫉妬したんじゃない?」


「嫉妬って……俺がいつあのアホと仲良くしたよ」


「僕からはそう見えたよ」


「はぁ……あのアホ、なんで好きな奴に勘違いさせてんだよ……」


「ん? 何か言った?」


「別になんでも……ほら、さっさと行こうぜ、なんか腹減った」


「じゃあ、今日は何を食べていく?」


「毎回外で食べるのもなぁ……」


 俺と高弥はそんな話をしながら、学校を後にしてファーストフード店に向かった。


「さて、何食べる?」


「そうだなぁ……ポテトと……」


 ファーストフード店にやってきた俺と高弥は、メニューを見ながら何を食べるか悩んでいた。

 毎回ではないが、俺と高弥はよく学校の帰りに何かを食べていくことが多い。

 このファーストフード店にも良く来る。

 

「お、新作のシェイクか、これも頼も」


「じゃあ、僕もそれにしようかな」


 俺たちが何を食べるかを決め、レジに向かうと目の前に背の低い女の子が並んでいた。

 その女の子の後ろ姿に俺は見覚えがあった。


「おい」


「あたっ! きゅ、急にな……って先輩!? それに真木先輩!!」


 目の前に並んでいたのは初白だった。

 初白はチョップをかました俺を睨んだ後、隣の高弥の事を見て目をキラキラさせる。


「なにやってんだよ」


「と、友達と寄り道……です」


「こんにちは、初白さん」


「こ、こんにちわ!」


 初白は顔を赤く染めながら、高弥に視線を向ける。

 俺の方には一切目を向けない。


「おい、お前のせいでさっき一年の男子に絡まれたんだが?」


「え? そうなんですか? ウケますね」


「おいコラ小娘、上級生に対する礼儀を教えてやろうか?」

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