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 初白が高弥の連絡先を聞いてから一週間が経った。

 相変わらず初白は高弥にアプローチをしていない。

 何事もないまま、一週間が過ぎ、俺はいつも通りの生活を送っていた。

 そんなある日だった。


「ねぇねぇ、いいじゃん」


「いやよ、私アンタに興味ないもん!」


「そんなこと言わないでさぁ~」


 目の前で初白が何やら柄の悪い一年生二人に絡まれているのを発見してしまった。

 偶然中庭を通って、自分の教室に戻ろうとしたのだが、運悪くこの状況に遭遇してしまった。

 正直、知らない奴だったら知らん顔で通り過ぎるところなのだが、知ってるやつなのでたちが悪い。


「はぁ……なんで最近あいつと関わることが多いんだ……」


 俺はそんなことをつぶやきながら、初白のところに向かう。

 

「おい、アホ。さっさと教室戻れ、授業の時間だぞ」


「あ……先輩……」


 俺はそう言いながら、初白の腕をつかんで引っ張っていく。

 男子生徒たちは黙ってその様子を見ていた。

 そして、学校内に入ったところで俺は初白の手を離した。


「たく、何やってんだよ」


「別に先輩に助けてもらわなくても、なんとかできましたもん」


「あっそ、まぁ色々気をつけろよ、何があったのかは知らねーけど」


「なんですか先輩? 私を助ければ好感度上がるとか思いました? 残念ながら先輩への好感度は現在地を這っているので、上がったとしてもようやく他人と同じレベルの好感度です」


「お前は少し俺に対して感謝とかしろよ。まぁ、いいや、早く教室行けよ」


 俺は初白にそう言い、その場を後にする。

 

「あ、先輩!」


「ん? なんだ?」


「あ、いや……その……」


「なんだ? 俺も授業なんだが」


「や、やっぱりなんでもないです! さ、さっさと私の前から消えて下さい!」


「お前はちょいちょい失礼だな……」


 一体何なんだったのだろうか?

 まぁいいや、そんなことより俺も教室に急がないと……。

 俺はそんなことを考えながら、自分の教室に戻って行った。





「はぁ……」


 結局聞けなかった。

 先輩のあの噂は結構有名だった。

 私、初白蓮花は先ほど助けてもらった先輩の後ろ姿を見ながらそんなことを考えていた。

 友人から聞いた先輩の噂は結構有名だった。

 まぁ、そうは言っても恐らく噂に尾びれや背びれが付き、みんな言ってることはバラバラだったけど……。

 だから私は先輩に聞きたかった。

 昔何があったのか。

 知らない仲でもないし、何より私の好きな人の親友だ、何があったかの事実確認くらいはしたい。

 そんなことを私が考えていると、授業開始のチャイムが鳴ってしまった。


「あ! やばっ!!」


 私は急いで自分の教室に戻って言った。





「え? 初白さんが?」


「あぁ、なんだか柄の悪そうな奴らに絡まれててな」


「へぇ~だからさっきは遅れてきたのかい?」


「まぁ、そんなとこだ……って、何んだよ、人の顔ジーっと見て」


「あ、いや……なんだかんだ言いながら、平斗は初白さんに優しいよね?」


「んなことねーよ。知ってた奴だから、素通りするのもなんかいやだったんだよ」


「へぇ~普通はそんな状況の女の子と関わるのも嫌だと思うけど?」


「寝覚めが悪くなると思っただけだ、さて帰るか」


「そうだね、今日はどこか寄っていく?」


「あぁ……そうだなぁ……」


 俺達が放課後何をするか話しながら、廊下を歩いていると、急に一年生らしき男子生徒数名が俺達の前をふさいだ。

 よく見ると、先ほど初白に絡んでいた奴らだ。


「おい一年、そんなとこ居たら邪魔だぞ」


「あんた、二年の島並だろ? ちょっと顔貸せよ」


「はぁ……なんでこう先輩に敬意を払わない一年が多いんだ……」


「どうするの? 平斗」


「いや、帰るよ。面倒いし」


「ちょっ! 待てコラ!」


「いいから来いって言ってんだよ!」


「はぁ……なんで俺は最近一年に絡まれることが多いんだ?」


 俺は仕方なく、一年生達の要求に従うことにした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白くて一気に読めました(●´ω`●)次回も楽しみに待ってます(≧∇≦)b
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