81話★日常
3章開始しますー(*´ω`*)
よろしくお願い致します……!
「あ、ちょっと、ディラン!?」
ジェニーの驚いた声が教室に響き、その後、逃げるようにわーっと駆けていくディランが見える。
学校の生徒数が増えてから、とても賑やかになった。
特にディランはイタズラ好きで、しょっちゅう教室内を騒がせている。それも、年相応のイタズラが多く、ああ子どもらしいなと思えて可愛くもあるが。そして、彼のイタズラは主にジェニー宛が多い。まあ、だからと言って他の人にしないというわけじゃないけれども。
いまさっきも、職員室との区切りであるカーテンのほつれを直すためにジェニーが、靴を脱いで椅子の上にのぼっていたのだが、その靴をディランがシュタッと素早い動きでとっていったのだった。
イタズラはある程度許容されるべきだが、本当に悪いことはちゃんと止めるし、怒ることはしないとね、というのが私のイタズラに対する持論である。
あと、いじめに繋がるようなイタズラは許容できないよ、うん。本人が嫌がってたらそれはもういじめだから。
でも、ディランはそのラインを結構見極めているらしく、本人が嫌そうなことはしない。多分この世界の子ども達が働いているからだろう。妙なところで大人びている。それはいい事なのか悪いことなのか。
多分この世界では、身分が上になるにつれて子どもらしさが増すと思う。貴族は子どものうちから働くなんてことはないからね。まあ、全員が全員って訳じゃないけれど。
「こら!ディラン!!」
ジェニーがそう少し大きな声で言うと、ディランは肩をすくめてジェニーの方へやっていく。
「ごめん、先生ー」
全く悪びれた様子が見えない。多分ジェニーが怒っていないことをわかっているのだろう。ディランは、そのまま靴をジェニーのもとへ持っていく。
「ディランは懲りないわね……」
でも、イタズラ、私はされたことないんだよね。あまんじて受けるつもりでいるのに。もちろん悪いことに対して怒りはするつもりだけど。
……これは、悪役顔効果……?
悪役って損なのか得なのか
なんて思いを抱きながら、私は自分の授業準備の作業をしつつその様子を見ていると、レーベの文字練習に付き合っていたカイトがディランとジェニーのもとへやってくる。
「ディラン、お前また先生怒らせてんのかよ」
「怒らせてはねぇもーん」
カイトの言葉にディランが少しむくれたように言う。
「あんま姉ちゃん……いや、ジェニファー先生を怒らせんなよ。嫌われんぞ」
「え、き、嫌われる……!?」
チラチラとジェニーの方を見ながら言うディラン。
「大丈夫よ、ディラン。私はあなたを嫌いにはならないわ。ちょっとイタズラが過ぎるところもあるけれど?」
ジェニーは、ポンポンとディランの頭を撫でてそう言う。ジェニーはディランを弟を見る目でみていると。ジェニーに撫でられたディランはどこか嬉しそうだ。
「あ、じゃあ、先生!俺、その作業手伝うよ!」
「え、ほんと!ありがとうー」
「いいってことよ!」
明るい笑顔を向けるディラン。意気揚々と手伝いを始める。なんか、こういう所を見ると子どもらしいなぁって思うよ。
さあ、私は次の準備をしないとね。次は人数が増えてから初めての学活だ。前々から言っていた係活動を決めようと思っている。
ちなみに種類は、
・学級代表 2人
授業前の挨拶や、その他クラスをまとめてもらう予定だ。
・図書係 5人
主に図書室の貸出処理や図書室の整備などを行う。図書業務は大変なので、5人体制にした。
・美化係 4人
教室及び学校内の美化に務める。
・広報掲示係 4人
これから作品などを作ったりもする予定なので、それを教室に掲示したり、何か広報ごとがあれば伝えてくれる役割だ。
の5つだ。
午前クラスと午後クラスがほぼ半々の人数、つまり15人ずつなので、それぞれのクラスで係を決める予定である。
まずは午前クラス!
さぁて、準備頑張るか!
★★
結論から言って初の学活は上手くいかなかった。原因としては、私の進行予定と生徒理解が甘かったことである。
私はこの学活で、話し合いの練習にするために、私たち先生はあまり介入せず、なんの係をしたいか生徒たちに話合わせることにしていた。
一通り話し合いの仕方を説明し、実際にやってもらったのだ。
3人の時から話し合いはしていたから、カイト、レーベ、リルに話し合いの進行を任せれば大丈夫だと思っていたが、人数も増えたしそれぞれの意思がぶつかることも多く、まとまらなかったのである。
人気のある係とない係の差が歴然となったし、みんな意見を曲げるのが嫌でそのまま喧嘩になってしまったりもした。
それで、このままじゃダメだと私とジェニーが割って入って、なんとかその場をおさめたのである。
結局係決めは保留となった。
そんな感じで1時間目が終わったから、その後の授業も何となく雰囲気が悪かった。
午前組の授業が何とか終わり、今は午後の授業との合間。学校内に生徒は誰もおらず、ジェニーも仕事があるらしく申し訳なさそうな顔と心配そうな顔をして学校を出ていった。
私はひとり、誰もいない教室で、窓から外を眺めながらため息を吐いたのだった。
そのとき、
「レベッカ嬢」
「うへあ!?」
1人のはずなのに、声が聞こえてきた。唐突な声掛けに思わず素で驚いてしまった。変な声が口から漏れる。令嬢らしさ?……きっとどこかに落としてきたんだ、多分。知らんけど。
私の言葉に、先程の声の方から、吹き出したような笑い声が聞こえた。それはもう、言葉にするなら「あははは」と大笑いである。
そして、この声の主には憶えがある。教育大臣家のご子息で、この学校にも力を貸してくれている、わたしの指導教諭的な存在、ウィリアム・ルキア先生である。
「ウィル先生……」
「ごめん、ごめん。驚かせた?」
振り返ると、水色の髪をさらりと靡かせた麗人がいた。思った通りの人物である。謝っているけれど、なんか悪びれない様子でクスクスと笑ったままだ。
そんなウィル先生をじーっと少し睨むと、またクスリと笑われた。解せぬ。
「どうかされましたか?」
このままでは埒が明かないので、私からそう尋ねると、ウィル先生は私の隣に並び立ち、
「なんか浮かない顔してたから、どうしたのかなぁって思ったんだよー」
「心配して下さってありがとうございます」
「ううんー。僕に力になれることはある?相談くらいなら乗るよー。伊達に何年も教師やってないし?」
そう言って笑ってくれるウィル先生に少し心が落ち着く。相談……してみてもいいかなぁ。
「実は……」
文がまとまらなくてだいぶ大変でした苦笑
そんな感じで3章始まりますが、どうぞ宜しくお願い致します!




