番外編✤応援隊の活動(カイト視点)
俺、カイト・オルティスはある晴れた日に、無理矢理強引に引っ張られる形で家の前の庭に連れてこられていた。
近くにいるのはリリさんとアンナさん、そしてねぇちゃん。
円形のテーブルのようなものの周りに並んで座っている。ちなみに俺の右隣はねぇちゃんで、その隣がリリさん、そしてアンナさんだ。
メンバーを見てわかる人もいるかもしれない。そう、これはねぇちゃんたちの『レベッカ様とアンディ様応援隊』の活動である。
俺もメンバーに入れられたらしいので、ここに引っ張ってこられたのだが、正直居心地は……いいとは言えない。
そんな俺の様子は微塵も知らないようなとても溌剌とした明るい笑顔でねぇちゃんが口火を切る。
「今日は集まって頂きまして恐縮です。これから応援隊の集会を始めようと思います!」
ニコニコした笑顔で話すねぇちゃんはとても楽しそうでいいが、それに俺を巻き込むのはやめてくれ。
「今日の議題は、ルカさんのことです」
「ルカさんですか?確か学校を管理して下さる方のことですよね?」
アンナさんが首を少し傾けて尋ねる。そう言えばこの人はあまり学校では見たことがない。というか、先程初対面の挨拶をした。明るく元気そうな笑顔が特徴な人だ。
アンナさんの問いにねぇちゃんはコクリと頷く。それからねぇちゃんは一人一人に目を合わせ、見据えるようにした後、
「はい、その方です。最近見ていて思ったのですが、ルカさんはレベッカ様のことが好きですよね」
断定で言い切った。思う、とかではなく、ですよね、と。
そ、そうなのか……!?あの目付き悪くていつも睨んでるようなルカさんがレベッカ先生を……?想像できねぇ……。
そして、そんなねぇちゃんの言葉にアンナさんとリリさんもうんうんと頷いている。
あ、もしかしてこれは既習事項?戸惑っている俺を他所に話はどんどん進んでいく。
「それでですね……」
「今後どうして行くか、ということですね」
ねぇちゃんの言葉を継ぐ形でリリさんが言う。アンナさんもうんうんと首を縦に振っている。
どうして行くかって?なにを?どれを?
そう思ってねぇちゃんに問いかけると、ねぇちゃんはばっとこちらに顔を向ける。それはもう勢いよく。その顔は瞳が輝いていてとても楽しそうだ。
ちょっとその顔が怖い。俺のねぇちゃん、なんか……元気だな。
「決まっているじゃない!レベッカ様と誰の恋を応援するか!だよ」
決まってるのかよ、さいですか。というか、当人同士のことだから放って置いたらいいんじゃねぇかな……と思うのは俺だけ?
そう思って口に出すと、ねぇちゃんは俺の肩をガシッと掴む。そのあまりの勢いに俺は椅子から転げ落ちそうになるが、幸か不幸かねぇちゃんに肩を掴まれていたおかげでなんとか落ちずにすんだ。
「何を言っているの、カイト!私たちはレベッカ様のよりよい幸せのために活動する応援隊よ!もちろんレベッカ様の気持ちは第1だけれど、その気持ちが実現するように精一杯応援するのよ!」
ギューッと肩を握られてちょっと痛い。そして、その爛々とした目もちょっと怖い……。じっとこちらを見てくるねぇちゃんに少したじろぎながらも頷く。
「な、なるほど……」
「だから、私たちはレベッカ様の幸せとレベッカ様の素敵なところを言いあうためにここに集まるのよ」
「は、はぁ……」
結局はレベッカ先生を褒めよう会ってこと……か?なんかよくわからんが、俺があまり口を挟まないでいた方がいいということだけはわかった。
その後も話し合いはなされたが、結局「レベッカ様が幸せなら何でもいいや」に落ち着いた。
うん、何も変わってなくね?……これは言っちゃダメなやつか……?
そんな会合の後は、何故か身体がぐったりしていた。
よくわかんねぇ会合だったな。まあ、みんなレベッカ先生が大好きなのは伝わったが。
楽しそうで何よりだが、俺は今後遠慮したい。
ずっと書きたかったんです、応援隊の皆様。
熱量MAXの3人とそれに振り回されるカイトくんでした。
応援隊の活動は今で言うファンクラブ?とか推しを愛でる会?とかのような役割りですねぇ。
そして、気になって調べたんですが、「さいですか」って方言だったんですね!初めて知りました。面白いのでそのまま使うことにしました( *´艸`)
さて、番外編はこれで終了です!
お待たせしました!次から第3章にはいります!!
どうぞよろしくお願いします!
お楽しみに!




