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80話◎国王と側近 (ロン視点)

今回もちょいと短めです。

そして、スミス王国(レベッカの祖国)での今の話です。

「なぜ上手くいかないのだ!!」


 スミス王国の国王、フラン様の声が謁見室に響き渡る。ついで、バン!と書類を床に叩きつける音も。


 つい先程まで各国の使者が絶えずやって来ていたのだ。その使者たちの言葉は決まっておなじ。経済支援は難しい。このままの状況なら我が国はそちらとの繋がりを切る、と。


「あのアッカリー公爵はどうしているのだ!?貿易はあの者の仕事だろう!ちゃんと仕事をしているのか!?」


 怒りの矛先は貿易担当でもある、外交省のアッカリー公爵の元へといく。それはそうだ。外交担当は彼なのだからこの状況を何とかするのが仕事だ。


 彼は一体何をしているのか。


 それに一様に使者たちは「アッカリー公爵の為と思ってこれまで支援してきましたが……」等とのたまったのだ。訳がわからない。我が国王陛下に楯突く気なのか、あの公爵は。


 隣にいた宰相トーマスがフラン様を宥めるが、フラン様の怒りはおさまらない。宰相の方をキッと睨みつけると、


「クレアのことも侮辱されたのだぞ!」


と怒りをぶつける。使者はコソコソと先程まで一緒にいたクレア様をみて何やら話していたのだ。他国の王妃を侮辱するなんて言語道断だと俺も思う。それも国王陛下の大切な方だと言うのに。


「あのレベッカがよかっただのなんだの。小さい声で呟いているつもりだろうが、聞こえておるわ!あんなやつのどこがいい!!」


 だが、レベッカは有能だったのは紛れもない事実だ。確実に国王の手助けになったであろう。クレア様は国王のお気に入りで、確かにとてもお美しく、愛らしい。そして、民にも愛されるだろう。王妃としてとても素晴らしい。


 国を動かすには少しだけ力不足だということを除いては……。


 誰か傍について仕事をする人がほしい。例えば……そう先程から名前が上がっているレベッカなどは影で支えるのにはもってこいだ。


 そこで、俺はいいことを思いついた。ここ最近、レベッカが生きているという噂が流れてきている。それならば……


「陛下……」


 そう呼ぶと、フラン様はイライラしたような顔をしたまま「なんだ?!」と言う。お美しい顔が歪められているのは、大層いたわしい。この人には幸せそうに笑っていて欲しいのだ。


「御前失礼します。もう少し近くに行ってもよろしいでしょうか」


「かまわぬ」


 許可を貰い、フラン様のところへ行くとその耳元に呟いた。


「レベッカが生きているという噂があります。側妃に迎えてはどうでしょうか」


「はぁ!?何を言っておる!!私の妃はクレアだけだ!!」


 もちろんフラン様に愛する方がおられるのにほかの女と関係を持てと言うつもりは毛頭ない。激昂するフラン様をなだめ、「少し落ち着いてください。話は続きがあります」と声をかける。


「もし、そうすれば仕事を全てレベッカに押し付けることが出来ます。妃となったからと言って、別に愛する必要はありません」


 そう言うと、フラン様の顔が明らかに変わった。興味を持ったようにこちらを向く。


「……ほほう?」


 その表情に俺も表情を緩める。


「御子もクレア様との御子がお生まれになれば、必要ありませんから、清い関係のままにすればいいのです」


「契約関係だけにすればいいと?」


 その問いに頷く。


「はい。そうすれば、仕事は彼女に任せてしまえば良いでしょう。彼女もあなたを好きなのですから喜んで拝命しましょう」


 途端、フラン様のお顔がニヤッとした笑顔に変わる。いつもの自信たっぷりの、俺の好きな表情だ。そうだ、フラン様にはこうやって自信たっぷりでいて欲しい。


「私とクレアのために働くということだな。愛する私のためならあいつも本望だろう。それに仕事をくれてやると言うのだ、喜んで飛びつく。そして、あれの父親であるアッカリー公爵も側妃になったと聞いたら喜ぶだろうし、国のために働くだろう」


「はい。レベッカは仕事だけはできますから、愛らしく美しい王妃様が侮辱されることもございませんし、お仕事が減りますからもっとご一緒にいられましょう」


「……レベッカがまたクレアをいじめるといけないからレベッカの宮は北の端を与えてやろう。……よし、ロン、いい案だな。礼を言う。噂の真偽を即刻確かめよ」


 北の端とは、ここ中央の宮殿から少し離れたところに立つ離宮のことだ。今は誰も使っていないが、以前は罪を犯したり危険だと判断された高貴な方を住まわせるための宮殿として使われていた、と聞く。


 そんな宮殿だとしても元々そのような利用目的で作られたわけではないので、貴族用だし、ある程度豪華で美しい宮殿だ。一般市民になって国外追放された身であるレベッカだったら泣いて喜ぶだろう。


「仰せのままに」


 恭しく頭を下げると、直ぐに俺は動き出した。必ずや国王陛下のためにいい報せを持ってまいります。

これにて、第2章が完結となります!!

このあとは、番外編を数話はさんでから第3章へ行きます!!


読んでくださる皆様のおかげでここまで書くことができました。ありがとうございます!!どうぞこれからもよろしくお願いしますヾ(*´―`*)ノ


✤人物紹介✤

◎ロン・ハース

スミス王国国王フラン(元レベッカの婚約者)の側近。かなりの切れ者であるが、フラン命であり、彼のためならなんでもする。(彼に関することに対してはちょっと馬鹿になる?)

登場人物紹介でチラリと出てきている彼ですが、本編では初登場です。(もしや忘れ去られているかも?)


◎トーマス・ミシア

これまた久しぶりの登場です。

スミス王国の宰相で、3歳の娘がいる。


……フラン国王とクレアさんについては紹介……大丈夫ですかね?必要であれば、仰って下さるか登場人物を遡って頂けると嬉しいです。




番外編も3章もよろしくお願いしますー!!


そして、ブックマーク、評価、感想、お待ちしておりまーす!来るかわからんけど、言うだけただや!笑

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