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62話✣ わかりやすい心 (ウィル先生視点)

初めに謝っておきます、ごめんなさい。

前回、次回予告詐欺しました……。

 休み時間に、ディちゃんとレベッカ嬢、そして僕は教室の真横に位置する職員室へと来ていた。生徒たちは図書室に興味が惹かれたようで、休み時間になった途端、元気よく駆け出して行った。


 子供は元気がいいのが1番だけれど、危ないからと注意をするのを忘れない。ジェニファー嬢が一緒について行ったから多分大丈夫だが。


 気にするべきはこの、目の前で、目に見えて落ち込んでいるこの学校の先生にして創立者、レベッカ嬢である。


「はぁぁ……」


 思わず大きなため息を漏らすレベッカ嬢。今まで生徒の前だからと耐えていたのであろうということがわかる。


 心の内を出さなかったのは、先生であった故なのか公爵令嬢であった故なのか。そこの所は分からないが、僕達の前で見せるということは、それなりに僕達は信頼されているらしい。


「レベッカ、大丈夫?」


ディちゃんがレベッカ嬢の顔を覗き込んで尋ねる。


「はい、何とか大丈夫です。でも、思ったより落ち込んでいます……」


「そっか……」


 俯いて落ち込むレベッカ嬢。そんなレベッカ嬢に、ディちゃんはなんの躊躇いもなく、レベッカ嬢の頭に手をのせる。そのまま優しく撫でた。大切な宝物を見つめるような、暖かい視線を向けている。


慈しむようなディちゃんの視線から、ディちゃんの気持ちが痛いほど伝わってくる。


純粋で暖かな、恋心。

優しく相手を包み込むような、恋心。


 ディちゃんは変わったと思う。元々何でもある程度こなす器用な子であるのは変わらないし、優しいのも変わらない。


 でもそれは、それには、ディちゃんの心の底からの願望……心を揺り動かすような何かはなかった。優しいけれど相手に踏み込むことは決してない。


 自分の中に入ってきてほしくないとでも言うようにどこか一線引いているようなところがあった。当たり障りがない、と言ったら正しいかわからないが、そんな雰囲気だった。


しかし、今は……。

この、レベッカ嬢に向けられる視線は……。


心の底から大切にしたいという溢れるような温かさが感じられる。


 本当に変わったよね。そして、これはきっと何にでも一生懸命な全身全霊をかけて物ごとに挑むレベッカ嬢の影響だと思う。


「大丈夫だよ、何とかなるよ。というか、何とかするよ」


 だって、ディちゃんは優しくはあったけれど、こんな甘い、とろけるような、それでいて決意に溢れるような声音で話す人じゃなかった。


「これから改善策を考えればいいよ。初めてのことに失敗は付き物だから、ね?」


 ディちゃんが言うと、レベッカ嬢はふんわりとした笑顔を浮かべた。


「ありがとうございます! 」


それは、多分反則だと思う。


「……っ……! 」


 ほら、ディちゃんが戸惑っている。というよりは照れている。


「ほんとこういう所、ずるいよね……」


「アンディ様? 」


「なんでもないよ」


 こんなにわかりやすいのに、なんで本人は気づかないんだろうか。目に見えてわかるのに。


僕は、ポンっとディちゃんの肩を叩く。


「まぁ、頑張るんだよ、ディちゃん」


「ありがとうございます、ウィル先生」


 苦笑するディちゃんに少し同情する。


「とりあえず、放課後、職員会議、する?」


 ディちゃんは切り替えるようにそう言った。自らの恋心はまだ隠しておく気なのだろう。


 気高き美しい恋心、そんな心を持てているディちゃんが少しだけ羨ましくなったのは僕だけの秘密だ。だって僕は、そんな綺麗な恋心なんて持てていないから。


「はい。原因を探らなきゃですね」

ありがとうございました!

書きたいシーンが沢山ありすぎてなかなか話がすすみません……!ごめんなさい…!

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