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60話★ 違いとダークホース

 質問はあるか?と尋ね、それから、質問する時は手をあげてね!とも伝える。


 すると、カイトくんがすっと手を挙げた。少し真剣な顔をしている。


「じゃあ、カイトくん」


「レベッカ……先生は、隣国から来たんだろ?どんなところか教えて欲し……下さい…」


ちょっと先生っていうのに照れてるのが可愛い。あと、敬語に慣れていない感じも。


「詳しくは授業でもするけれど、じゃあ、少しだけ。そうだなぁー、この国のように魔法はないかな」


「え、そうなのか !?」


 思わず素で驚くカイトくん。ひとつ開けて隣に座るレーベもリルも驚いた顔をしている。


そっかー、魔法ないのは珍しいかぁ。カイトくんたちは魔法を使えるわけじゃないから、あまり身近じゃないと思っていたんだけれどなぁ、魔法。


「ええ」


「お貴族様も使わないのか !?」


さらに食い気味に尋ねるカイトくん。


「ええ、使わないわ」


「じゃあ、どうやって、農地の管理とかするんだ ?記録魔法とか使わないのか ? 見回りは ?誰がするんだ ?」


矢継ぎ早に質問を重ねるカイトくん。なるほど、この国では、貴族は魔法で農地管理などをしているのか。


「どうって……普通に手書きで、かな? 見回りは領主が直接行ったり、従者が行ったりすると思うけれど」


「そうなのか……。面倒じゃないか ?それに変だぞ」


 変……変かぁ……。


んー……。カイトくんにとっては、貴族は魔法を使って当たり前なんだものね。でも、変って言わせちゃダメよね……。


 ちょっと長くなるけど、伝えるか……。


「スミス王国ではそれが普通だからなぁ。当たり前って思っていることだから、面倒とかはないんじゃないかなー?ふふ、価値観が違うってこういうことだよー」


そう私が言うと、リルが、


「……環境が違えば考え方も違う……」


とボソリとした声で言った。


「そうだね、リル。カイトくんは、外国について興味があるんだよね?」


「うん」


「他の国について学ぶ時に気をつけて欲しいことがあるの」


「なんだ?」


「自分の知っていることと違えば確かにちょっと不思議に思うかもしれない。でも、他の国の文化……は難しいか……その当たり前と思っていることにはこれが良くてこれがダメとかはないんだって思って欲しい。自分のものと違うから、それは変なんだって思うのは良くないって、先生は思うな」


「う、うん?」


 カイトくんはよく分からないと言うように首を傾げながら頷いた。そうよね、ちょっと難しかったかな。簡単に……簡単に…か。


「例えばね、そうだなぁ……カイトくんは犬と猫、どっちが好き?」


「え、俺!? 猫……かな」


 いきなり振られた質問に戸惑いつつも答えるカイトくん。そりゃそうよね、いきなり何言ってんだこいつって思うよね。


「そうなのね。じゃあ、リルは?」


「……猫です……」


「そっか、じゃあ、レーベは?」


「え、僕!? 僕は、犬だよ!」


 レーベが目をぱちぱちして答える。


このクラスは猫派が多いのね。私もアンディ様も猫派だし。レーベがいてくれてよかった……。


「カイトくんもリルもレーベも答えてくれてありがとう。じゃあ、ここでひとつカイトくんに質問!」


ぴんと人差し指を立ててカイトくんを見る。


「レーベは犬が好きだけれど、猫が好きなカイトくんはこれを変だと思う?」


 すると、カイトくんはレーベの方へツイっと視線を向けたあと、ふるふると首を横に振る。


「ううん、思わない。だって、好きなものは人それぞれだろ」


よかった、これでおかしいって言われたらどうしようかと思った。


「そうよね?……当たり前って思ってることについてもこれは一緒だよ? 人それぞれ」


そこまで言うと、カイトくんは、ハッとした顔をした。


「あっ……」


もう大丈夫そうだ。

最後にもう一度尋ねる。


「違うことは変なこと?」


「ううん、変じゃない」


カイトくんはそう言って笑顔を見せてくれた。


「よく出来ました、ありがとね。 リルとレーベも手伝ってくれてありがとう! えーっと、長々と話してしまってごめんよ〜。質問コーナー再開するかー」


 語りすぎた…でも、大切なことだから。


「他に質問はある?アンディ先生でもジェニー先生でもウィル先生でもいいよ?」


 そう言うと、リルは下を向いて視線を逸らし、それからちょっとこちらをちらりとみて、また逸らす。


これは……したいけどできないって感じかな……?


 無理強いする気はないけれど……。人数が3人か……。ならば、大丈夫かも?


「リル、どうかした?」


と尋ねると、リルははっと驚いた顔をした後、ふるふると首を横に振って、その後、下を向いてしまった。


 あ、尋ね方、悪かったかも。怒っているように聞こえた……?申し訳ない……。


「ごめんね、怒ってるわけじゃないよ?尋ねづらかったら、後で聞いてくれてもいいよ!」


 そう言うと、リルはコクンと小さく頷いてから、少しだけ微笑んでくれた。申し訳ないよ……。ごめん、リル……。


「じゃあ、僕、アンディ先生に質問なんだけれど〜、あのねぇ〜」


 レーベがそう言う。私は、そっと後ろに下がり、反対にアンディ様が前に出る。


そのまま続けようとするレーベ。


 手を挙げてから話してくれたらいいな……。発言する時は手を挙げてからっていうのは、多分最初の基本。


さっきカイトくんが手を挙げて答えてくれたからこれで、通じるはず……!そう思い、


「レーベ……!」


小さく声をかけ、こちらを向いたレーベに小さく手を挙げる仕草を見せる。すると、レーベは、はっとした顔をして、ビシッと手を挙げた。


 可愛い。


 少しずつ学校の形式に慣れてくれるといいなぁ。


「はい、レーベくん」


ニコッとアンディ様が笑って指名する。


「あのねぇ〜、アンディ先生は、何色が好き〜?」


か、可愛い。何その可愛い質問。


「僕? 僕はね、青色かなー。母上が渡してくれた物があるんだけれど、それが青色だから」


 へぇ、青かぁ。お母さんが渡してくれたものって何だろう?


そんなことを考えていると、リルが控えめに手を挙げるのを見えた。


おっ…!


「じゃあ、リルちゃん」


 アンディ様がそのまま指名する。リルは、小さく頷いてから、小さな声で、


「……アンディ先生は、好きな人はいますか……」


真顔で凄いこと尋ねてきたっ!?しかも真正面からその質問!?


「…えっ!?」


アンディ様も目を白黒させている。


リルってある意味ダークホースかも。

謎の犬派猫派……。上手い説明が思い浮かばなかったんです……。そして、リルちゃんはすんごいことぶっ込んでる……。レーベは可愛いですね、うん。


次回は……また出来次第投稿させて頂きます、よろしくお願いします!



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