表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/148

59話★ いざ、開校!

 ついに!!やって来ました!!開校日!!!


 私は朝からとても張りきっていた。今日から私の学校がスタートするからである。


朝起きた時から目に見えてルンルンだったのか隣にいたリリに微笑ましいものを見るような目で見られた。少し恥ずかしい。


でも、嬉しいんだもの。仕方ないわよね。


 それに加えて、胸が早鐘を打っていて、それでいて少しキュッと摘まれるような心臓が浮くような気分になる。そして、少しチリっとしたような痛みもある。心臓が自分のものではないように、脈打っているのだ。多分これは緊張だと思う。


 開校は8時半。今の時刻は7時半だからまだ1時間もあるというのにこんな状態だ。これだったら、始まったら本当にどうなるのかな。私、死んだりしないかな。


私はそんなことを思いながら、自室にある椅子に座っていた。


 胸の当たりに右手を置き、キュと強く握る。落ち着かない。大丈夫だよ、何とかなるよ、と自分に言い聞かせるがそれは気休めでしかない。


 どうしたら落ち着くんだろう!!


そうしていると、お腹まで痛くなってくる始末。こちらもキュッと誰かに掴まれたような、キリキリとした痛みだ。


「落ち着かないわ」


ふぅっとお腹の空気を出し切るように小さく息を吐いて痛みを逃がす。お腹に力が入っていると少し痛みが抑えられる気がする。


「お嬢様、大丈夫でございますか」


 最初は微笑ましそうに見ていたリリだったが、さすがに心配になったのか少し眉を下げてそう尋ねる。


「大丈夫よ……多分」


「お嬢様、お手を」


 リリがそう言い、私の前に手を差し伸べてくる。私が手を伸ばすと、リリはその手を優しく握った。リリは少し目を伏せて、


「大丈夫です、大丈夫ですよ」


 と優しい声で囁くように言ってくれる。


「リリ……」


「あれだけ頑張ってきたのですもの。きっと大丈夫です」


そっと私の手を撫でると、私の目を見て優しく微笑んでくれた。その瞳を見ていると、少しだけ心臓が静かになる。


「頑張れる気がするわ。ありがとう」


 そうよね。それに、する前からこんな風だったらダメよね。


宣伝もしたし、きっと来てくれるはず。


そう思い、すぅーっと大きく深呼吸をした。


 ★★


 時刻は8時20分。始業10分前だ。

私は学校に着いていた。中には、アンディ様とウィル先生、そして、ジェニーがいる。


生徒は、ジェニーの弟であるカイトくんと、教会の孤児院からレーベくんとリルちゃんの2人が既に中にいた。


まだ、3人か。


もう少し来るかなぁ。


と思い、待っていたが……。


 8時半になっても、これ以上人数は増えなかった。


 それから、少しの間待っていることにしたが、しばらく待っても増える気配はなかった。


 ………。


 サーっと血の気が引いていくのがわかる。緊張とは違う意味で心臓が脈打つ。頭がザワザワとするような感覚。


このまま、人は集まらないのかな……?


世界が変な方向に歪んで見える。


「レベッカ、大丈夫?」


その時に視界に現れるのはアンディ様。そうだ、みんなにも手伝って貰ったのに……。このまま失敗に終わるの……?


 アンディ様の方を見ると、心配そうにこちらを見つめている。他のみんなも心配そうに眉を下げていた。


「あ……」


 前を見るとレーベくんもリルちゃんもカイトくんもこちらをじっと見ている。


そのみんなの瞳を見て、はっとする。


だ、ダメだ、ダメだ!!


生徒の前では明るくいなきゃ!こっちが暗かったら伝染しちゃうよ!!先生は明るさと冷静さ命だよ!個人的な見解だけれど。


 それに、誰も来なかったわけじゃない。3人も来てくれた。


この後のことはこの後考えよう。

今は目の前にいるみんなのことを考えるべき。


暗くなるのは後でもできる!

解決策を考えるのも後でもできる!


 胸に右手を当てて目をつむり、それからゆっくりと目を開ける。さあ、笑顔で!


「始めちゃおうか…!」


できうる精一杯の笑顔を浮かべて言うと、みんな、頷いてくれた。


 それから、ニカッと笑って生徒たちに好きな席に座っていいよ!と伝える。早い者勝ちだぞー?と付け足すのも忘れない。


少々令嬢としては宜しくないかもしれないけれど、学校では令嬢の仮面外しちゃうから、気にしないことにする。


私の言葉に生徒たちは、ぱああっと顔を輝かせて席につく。可愛いなぁ。


 生徒たちがお気に入りの席を見つけるて座るのを見計らって、私は黒板の前へと立つ。


「じゃあ、1時間目ーといっても、私のせいでもう始まっちゃってるけどー…ごめんよ〜。よし、何はともあれ始めますー!まあ、まずは、みんな、元気?」


そう尋ねると、レーベくんははーい!と大きな声で返事をし、リルちゃんは小さくこくんと頷き、カイトくんはこちらをじっとみたまま頷いた。


「お、みんな返事してくれて嬉しいよ!ありがとね。ちなみに、私も元気ですよ〜」


そう言いつつ、ちらりと横を見ると、アンディ様とウィル先生がポカンとした顔をしていた。ジェニーとリリはあんまり驚いていないようだけれど。


いつもの私と違うからびっくりしてる……?


驚かせてごめんなさい、前世で、教育実習に行ったりインターンシップに行ったりしていた時、こんな感じで生徒と接してました……。


授業は楽しい方がいいよね!明るい方がいいよね!の精神でした。


なんて思いながらも、話を進める。


「まあ、今日は初回ということでー、自己紹介やらこの学校についての説明やらをしていきたいなって思ってまーす。あ、たまーに質問するから答えてよー?」


 3人の顔を順繰りに真面目そうな表情を装って見つめる。


 質問するのは、生徒に集中力を保たせるためである。ずっと聞いてばっかりだと飽きちゃうもんね。私だってずっと聞きっぱなしはいやだもん。


「まずは、私の自己紹介をします! ここにいる3人は知ってるかもだけれど、ええっと、私の名前はレベッカです。レベッカ先生って呼んでくれると嬉しいな。よろしくー」


 ニコッと笑って言うと、パチパチパチと少ないながらも拍手が聞こえた。


「じゃあ、次はアンディ先生にも自己紹介してもらおうかなぁ」


そう言いアンディ様の方を見ると、アンディ様は柔らかい笑顔を浮かべて、黒板の前、私の隣へとやってきた。


「アンディ・マークだよ。よろしくね?」


 ご令嬢が沢山いたら一瞬で気絶しそうな麗しい笑顔で自己紹介をする。ここにご令嬢がいなくてよかった。


 それから、ジェニーとウィル先生も自己紹介をする。2人は先生はしないけれど、多分ここに出入りすることが多いから知ってもらった方がいいと思ったからだ。


「私たちに質問はある? なんでもいいよ!聞きたいことがあればどうぞ!」


一日目集まったのは、3人でした。少ないですね……。

これには色々理由があって……。


次回の更新は、出来次第投稿します!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ