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58話◎ 闇と画策

今回はちょいと短めです……

 うす暗く静かな世界。


 カーテンの向こう側はこの国らしく麗らかな春の日がひろがっているというのに、隔てたこちら側の部屋の中はどんよりとした雲のような色をしている。


そんな部屋の主である女は、部屋の中にある机に座り、その部屋を体現したように俯き、黒い闇を纏って見える。


それに対するようにその者が着ているのは太陽の光が反射したような赤のドレス。


闇と赤が対比してなお一層不気味に見える。


「あいつさえいなければ……」


 小さく小さくブツブツとつぶやく声。


「あいつさえいなければ、私は停学なんてされなかったのに」


 王立魔法学園は貴族の学園。体裁をどんなものよりも気にするような貴族が多くいる場所。そんな学園に在籍していながら停学処分を受けた。


学園から拒否を受けたのだ。体裁も何もあったもんじゃない。それは、家の面目もこの令嬢の面目も潰れたことを意味する。


謹慎を明けて学校へ行ったとしても笑い者だ。


「許さない」


 女はガタリと立ち上がった。


ドレスより幾分かピンク色が混ざったような明るい色彩の糸がはらりと顔にかかる。女の風貌はこんなにも明るい色なのに纏う空気は陰鬱だ。


 その時、カーテンの方からパサリと音がし、部屋の中へ入ってくる。真っ黒な物体が一瞬闇を割ったが、また、部屋には闇がもたらされる。


 その物体は、黒い伝書鳩だった。


 伝書鳩は女の座る椅子の前にあった机にふわりと音もなく降り立つ。


しかしこの伝書鳩には手紙が括り付けられてはいなかった。


「報告」


 女が短くそう言うと、伝書鳩はすっと口を開く。


「ゴメイレイドオリ アノ オンナ ノ アトヲ オイマシタトコロ ガッコウヲ ツクル ト イッテイマシタ」


黒い伝書鳩がそう告げる。


「ふーん……あの子、学校なんてつくるんだ……」


 女はニィッと器用に口の端だけを上げて笑うと、くるりと踵を返す。


 赤いドレスがまた、暗闇の中にふわりと揺れた。

さてさて、一波乱起こりそうな予感ですね

暗雲立ち込めてます……


この子は誰か…つたわってますかね(心配)

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