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3話★国外追放

評価、ブックマーク、ありがとうございます!


励みになります!頑張ります!!

準備やなんやらをしていたら時間はあっという間に過ぎ、2日後。

私は、生まれ育ったこの国を出るために馬車に乗ろうとしていた。お父様とお母様が見送りに来てくれている。


お父様もお母様も目に涙を溜めて、私を抱きしめる。


「元気でな……幸せになるんだぞ」

「レベッカ……」


もう一生会えないかもしれない。

そう思うと、涙が込み上げる。


でも、いつまでもこうしている訳にはいかない。零れる涙をすっと拭い、それから令嬢らしく、ニコッと笑ってみせる。最後は笑顔で別れたい。


「お父様、お母様もお元気で……」


私が笑顔になると、お父様とお母様もぎこちないながらも笑顔を向けてくれる。


お父様とお母様からすっと離れて、リリとアンナと共に馬車へ乗り込む。

中へ続く階段を1段登ってから、振り向く。


「きっと、またお会い出来ますよね?」


例えそれがどれだけ無謀なことか分かっていても、そう聞きたかった。

頷いて欲しかった。


私がそう笑顔で言うと、2人は少し驚いた顔をしてから、


「ああ、会えるとも」


と笑い返してくれた。


それから、馬車へ乗り込み、そのまま後ろを振り返らず馬車を発車させた。

悪役令嬢ってこんな辛い役どころなのね。ゲームをしていた頃はそんなこと微塵も考えなかったけれど。


だって、ゲームなら、断罪イベント後、ただ1文「レベッカは国外追放された」と書かれているだけだもの。それで、はい終わりだもの。


でも、ここでは現実で私は生身の人間だから、その後がちゃんと存在する。ここは、ゲームの世界じゃないから。


「お嬢様、大丈夫でございますか?」


私の前の席に座るリリがそうこちらの様子を伺うように尋ねる。アンナも隣で心配そうだ。


この2人も運命に翻弄された2人だ。私のメイドじゃなければこんなことにはならなかった。


「私は大丈夫。私のせいで2人を巻き込んでしまってごめんなさい」


私が謝ると、リリもアンナも大きく首を横に振った。


「昨日も申し上げましたが、わたくし達はいつでもどんな時でもお嬢様の味方です。何があってもお供します」


そう笑顔で言ってくれる。

自分達だって辛いのに励ましてくれる。


それなのに、私がくよくよしていたらダメだわ。


今までの悲しい気持ちを忘れて、これからのことを考えることにする。


もうくよくよしないわ。


レベッカらしくは無いかもしれないけれど、私らしく生きてみせる。


「よーし!どうせなら、この旅、を楽しみましょう!」


だって、国外に出るなんて初めてですもの。


「その意気ですわ、お嬢様。きっと向こうでの生活も楽しいです」


そうよ、きっと楽しいわ。

だって、今まで王妃教育のため、ろくに外に出たこともないんですもの。


「そうね」


私、レベッカ・アッカリーは、異世界の国外追放生活、めいいっぱい楽しむことを決めました!


「そう言えば、向こうの国はどんな感じなの?文献では、スミス王国の東どなりにある国で、こちらよりは発展していない、と書いてあったわ。それから、王政なのだけれど、国民との距離が近いとも」


王妃教育で読んだ本に書いてあったわ。


「はい、そのような国だと聞いています。そして、自然が多い国だそうです。自然の神様の御加護を受けた国だと聞いています。神様を祀り、その恩恵を受けると」


リリが答えてくれる。リリは貴族の娘なので教養はそれなりにある。


自然の神様の御加護かぁ。それは凄い……。


それを聞いたアンナはその隣でキラキラした目をしていた。


「きっと素敵な国ですね!」


「自然の恩恵か……。だから、隣国は天災が少ない国なのね」


スミス王国では、たまに、洪水や竜巻などの天災が起こる。だが、隣国の文献には天災のことは触れられていなかった。


「それから、スミス王国にはないけれどケイラー王国には魔法が存在するって聞いたわ」


「そうなんですか!?」


アンナの目がキラキラする。私も魔法は、前世でも今世でも見たことないからとっても楽しみ。


それから、3人で隣国での生活の話に花を咲かせていた。困難もいっぱいありそうだけれど、3人なら何とか乗り越えられそうだわ。




★★


それから、ガタンガタンと馬車に揺られること、数時間。


「ここが、国境です」


馬車を運転してくれている使用人さんがそう教えてくれる。ついに、故郷を出るのね。


「そう……」


「これから国を出て、マーク家へと向かいます」


「わかったわ、ありがとう」


ここで、私の新しい生活が始まる。

改めてぐっと決意を固めた。


そう思いながらふっと先を見ると、こちらより緑が多い土地が広がっていた。ケイラー王国は自然の多い国だと聞いていたがそれは本当のようた。見えない一線を越えるだけでこんなにも違うのかと少し驚く。


春のような気候だから、こちら側、つまりスミス王国側から見ると色とりどりの花々や草木が多く見える。


所々ヒラヒラと蝶が舞っているのも見える。


そんな、母国とは違う景色を見て、胸が少しチクリとしたけれど、もう過去は振り返らない。


国境を超える瞬間に目から温かい何かが零れたのは見ないふりをした。




★★



それからまた数時間。

漸くお父様の知り合いだというマーク家に着いていた。長旅だったため少しおしりが痛い。だが、そんなことは微塵も感じさせず馬車を降りる。


令嬢である私はこれくらい平気ですことよ、ええ。


すると、玄関にはマーク家の当主であろう人とその奥様かなと思う人、2人の男の子が立っていた。


え、公爵自らお出迎え……?普通、こういうのって執事とかメイドとかが待っていて、「領主様がお待ちです」とかするんじゃないの……?なんて思いつつも顔には出さない。


公爵なりの歓迎と受け取ろう、うん。と早々に納得することにする。


私はすっと近づき、ドレスの裾を手で持ち上げ、一礼する。貴族の礼である。


「お初にお目にかかります。アッカリー公爵家が娘、レベッカ・アッカリーでございます。こちら、私のメイドのリリア・レイシー、アンナ・カーリーです。」


すると相手方はニコッと笑ってくれる。そして、声を発したのはその3人の真ん中にいる栗色の髪に男性。


「私はこのマーク公爵家の当主、アンドリュー・マーク。スミス国でのことは聞き及んでいるよ。大丈夫だったかい?」


当主マーク公爵は心配そうに言った。それに合わせて髪と同じ栗色の眉毛が下がり、その下に配置された赤茶色の瞳も伏せられる。


お父様とはまた違った美形だ。お父様は威厳がある雄々しき感じだけれど、マーク公爵は若々しい好青年という感じ。


「大丈夫ですわ。お気遣い、ありがとうございます」


私が一礼すると、それでもなおマーク公爵は眉を下げたまま、


「君のお父様からの手紙は読んだよ。何も心配いらないよ。もう泣かなくていい」


どうやら、お父様からの手紙で事情を知っているらしい。めっちゃ心配されてる。


なんて書いてあったんだろ、そのお父様からの手紙。公爵を涙させるほどの内容だったのかな。もしかして、お父様、引退後小説家でも目指しているのかしら……?


「ありがとうございます……」


「婚約破棄されて悲しかっただろう……」


………ん?


婚約破棄されたことは別に悲しくないんだけれど。


「それで君は倒れて部屋に引きこもったって聞いたよ……」


ま、まあ、倒れたのは本当よ。理由が違うけれど。


「それで何日もご飯を食べなかったって……」


……んん?


やっぱり手紙の内容がめっちゃ気になる。あることないこと書いてない?大丈夫?内容偽装してない?


そんなことを思っていると、マーク公爵の目にキランと光るもの。それからマーク公爵は手を顔に当てる。


マーク公爵は泣き上戸らしい。


「わ、私は大丈夫ですわ」


そのままおいおいと泣き始めたマーク公爵に驚きつつもそう言う。一向に泣き止まないマーク公爵。


え、どう扱うよ、これ。

流石に私は大人の人をあやす方法なんて知らなくてよ?


すると、隣に立っていたこれまた栗色の髪、そして、深い青色の瞳を持つ青年がマーク公爵の肩をポンポンと叩く。


「父上、レベッカさんが困っておいでですよ」


父上と呼んでいることから彼のご子息だということが分かった。彼はおいおいと泣いている公爵そう優しく言う。


公爵は青年に言われ、はっとした表情をした後キリッとした表情に戻りながら、


「すまない。少し取り乱してしまった」


と言う。その表情は、先程の泣き顔とは違ってこれぞ公爵といった表情。変わりようが凄い。


「い、いえいえ、大丈夫ですわ」


謝る公爵に平然とした態度で返事を返す。令嬢たるもの、いくら目の前の人がちょっとくらい変わり様が凄いと思っても、父の友人は変わり者なのかなぁって思っても顔に出さないのが鉄則だ。


……本当に平然と出来ているかはさておき。目が泳いだのはご愛嬌なのよ。

異論は認めませんわ。


そして、その後立て直したマーク公爵により、彼はこの家の次男のアンディ・マーク様だということがわかった。


彼、アンディ様は私と同い年だそう。優しそうな雰囲気を醸し出しており、一目で「ああ、いい人なんだな」ってわかるような人。裏表なさそうだなぁが第一印象だ。


他のふたりは、マーク家の公爵夫人と、長男であり次期当主アンドレア・マーク様だと紹介された。マーク公爵夫人は凛とした感じの……少し冷たい感じのイメージで、長男さんは孤高の狼っぽい。あくまでもイメージですが。


そして、マーク公爵夫人は現国王の異母妹であるらしい。つまり、公爵夫人と現国王は半分だけ血が繋がっていて、アンディ様もアンドレア様も王の親戚ってことだ。


それから、アンディ様もそのお兄様も栗色の髪に青い目をしている。そして、公爵夫人は銀髪に青い目をしている。


つまり、2人は公爵から栗色の髪、公爵夫人から青い目を受け継いだんだなぁと思いながら紹介を聞いていた。


でも、アンディ様は髪色瞳の色は公爵や夫人だが、どこか雰囲気は違う。三人に比べ、瞳がタレ目なのだ。おじいさんやおばあさん似なのかしら。


……この雰囲気、でも、どこかで見たこと……


あるわけないわよね。気のせいね。初めて会ったのだもの。


紹介が一通り終わると、マーク公爵が再び口を開く。


「外で話すのも何だから、一先ず屋敷へ入ろうか」

少しシリアス目ですが、いざ新天地へってかんじですね


読んでくださってありがとうございます。



次は、来週の土曜日、12月21日になります!




情報まとめのこーなー( *¯ ꒳¯*)


♛レベッカのメイドさん♛

✤リリア・レイシー

✤アンナ・カーリー



♛マーク家♛

ケイラー王国の公爵家。レベッカの実家、アッカリー家と仲良し。


✤アンディ・マーク

マーク家次男。

✤アンドレア・マーク

マーク家長男。次期当主。

✤アンドリュー・マーク

マーク家公爵。


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