41話★準備開始!!
さて、2章開始です!
風が優しく自らの髪を揺らす。周辺にある草木もふわりと揺れる。花々はないが、草木が多く、空気も綺麗なような気がする。気温も暖かく、この気候独特のほわほわとした空気が辺りを包んでいる。
今、私、レベッカ・アッカリーは、アンディ・マーク様とウィル先生ことウィリアム・ルキア様、そして、ジェニーことジェニファー・オルティスとリリことリリア・レイシーと共に、学校になる予定の小屋にきていた。
ちなみに、先程まで小屋を掃除していた管理者であるルカさんは私たちを見るなりスっと去っていってしまったため、ここにはいない。話しかける間もなかった。
そんな今日は、学校の準備をする為に小屋に来たのだ。国王陛下から何とか許可を頂き、その後机やら椅子やらを受注してもらっていたのだが、それが届いたとマーク公爵から連絡があったのだ。そのため、机やら椅子やらを運び入れ、学級文庫の本棚を設置し、本を運ぶという作業をするのが本日の予定だ。
力仕事だが、業者に頼むのではなく自分たちですることになった。というのも、自分たちでした方が好きに配置できるということで出来ることは自分たちですることににしたのだ。力仕事なら任せて下さい、と言ってくれたリリを含め、みんなが手伝ってくれることになった。
あ、でも、さすがに机やら椅子やらをこの場所に運ぶのは業者さんにしてもらったけれど。
「素敵な小屋だね~!」
小屋を見ながら、ウィル先生が言う。この前の見学の時来たのはアンディ様とリリと私だけだったので、ウィル先生とジェニーが小屋を見るのは初めてだ。ジェニーも小屋をみてどこか嬉しそうだった。
「温かい落ち着いた気持ちになれます」
「ね!私も、とても気に入ってるの!」
「はい!農作物が育ちやすそうで!」
私の言葉にジェニーは違う意味で頷く。ジェニーの言葉にばっとジェニーの方を向くと、目をキラキラさせながら土を眺めていた。「葉っぱとかがたくさん落ちていい肥料になってそうですね」と続ける。そして、それが故に温かい気持ちになったのね。
いや、まあ、いいんだけどね。農作物大事だし。でも、一言いい?
「そこ?!」
「はい!」
私の問いかけに、大きく頷くジェニー。まあ、楽しそうだからいいっか……。
それにしても、農作物……か。生徒たちと育ててもいいかもしれないなぁ。でも、農作物なら家業として育ててる生徒もいるよねぇ。それに、勉強をするならあまり時間がないかもしれないわね。
……じゃあ、せめて、花とか植えたいなぁ……。この小屋には草木はあるから花々を増やすとかすると素敵だもの。お花、育て方とか分からないけど……。でも、まあ、何とかしよう!
「ジェニー!ありがとう!!」
「え、あ、はい!農地がいいとテンション上がりますよね!!」
どこか噛み合っていない二人だが、周りはレベッカの思考が読めるわけではないので、ツッコミを入れてくれる人は生憎といなかったのであった。
★★
それから、小屋内へと入る。小屋はやはり、綺麗に清掃されていた。床や窓、壁がピカピカだ。ルカさんが綺麗にしてくれたんだと思う。
ありがたい。お礼言わなきゃ……。
そこまで考えて、ふと思う。
いや、待って……?
『一言よろしいでしょうか。初対面の相手にそのように接するのはどうかと思いますわ。貴方は私の何を知っておいでなの?それに、ひとつに女性といっても性格は人それぞれです。私は自己紹介しかしておりませんので、嫌いと言われるようなことをまだ何もしていないのではなくて?』
『貴方は馬もうさぎも魚もひとつに動物という括りで、十把一絡げに、皆同じとみるのですか。1面でしかものを見られないなんて寂しい人ですわね』
初対面で色々やらかしてない?
お礼……言えるかな……。私、嫌われてんじゃないかなぁ。初対面で持論みたいなのぶちまけちゃったし……。でも、心を伝えるのは大事だよね……。
もし、会えたらお礼言おう……!
そんな複雑な気持ちを抱えながらも、準備はスタートした。
小屋に入ると、机やら椅子やら本棚やらがざっと置かれていた。これを今から配置を考えて置いていくのだ。
「何から始める?」
アンディ様が問いかける。
「そうですね。まずは配置を考えると言うのでどうでしょう?」
私が言うとみんなは頷いてくれ、リリに至ってはどこからか大きな紙を取り出した。それから、人数分のペンも。え、どこから出したのよ、それ。
「こちらの紙をご使用くださいませ」
「おおー!リリちゃん、それ、どこから出したのー!?」
ウィル先生が、驚いたような顔をして、私の頭に浮かんでいた問いと全く同じことを質問した。ウィル先生、気が合いますね!私もそれ、思ってました!というか、随分前から思っていました!
ウィル先生の問いに、リリは静かに、企業秘密です、と返される。えっと……ツッコミどころ多すぎる……。
企業秘密とは……。もしかしてリリはこちらの国の出なのかな……。魔法使えるとか……。あれ、でも、スミス王国の男爵令嬢だって聞いてるけど?
私とウィル先生が不思議そうな顔をしているが、リリは構わず、
「では、ペンを配っていきますね」
サッサとペンを配ってしまったのだった。
では、気を取り直して!
ひとまず、運びこまれていた机を5つくっつけて、小学校とかで給食の時にしていたように班の形をつくる。椅子もそれぞれに対応するように置く。そして、その机の真ん中に先程の紙を置いた。
その後、みんなで席につき、会議を始める。
「黒板が、あそこにあるから、机と椅子は向かい合うように並べないとだね」
アンディ様がペンをサラサラと動かし、黒板の位置を紙に書いてくれる。黒板の位置は、小屋に入ってすぐ、出入口の真向かいである。そして、今座っているのもその、黒板の前だ。
それから、アンディ様は、すっとその手前あたりを指してそう言った。
「そうだね。黒板の位置は問答無用でここみたいだからねぇ」
ウィル先生が頷く。ジェニーとリリ、そして私も頷くと、アンディ様はササッと黒板の前に机の絵を描いてみせた。実際の位置で言うと、今私たちが机をくっつけて座っている辺りである、
「こんな感じかな?」
おお!アンディ様って、絵、上手なんだ、と新たな発見。グラフ描くのとかも得意だったけれど、絵もなのね。ほんと、なんでも出来るんだなぁ。リリもだけど。
「では、本棚の設置場所を考えなければなりませんね」
ジェニーがそう言う。
本棚、どうしようかな。普通、学級文庫なら教室の後ろ側とかに置くんだろうけれど、今回は結構たくさん置くからなぁ……。黒板から向かって右隣のスペースとかどうかな…?補足だが、この小屋は横に広く、黒板がある辺りから左右に部屋1つ分くらいのスペースがある。仕切りはないけれど。
「こことかどうでしょう?」
私が言うと、いいね!とウィル先生が頷く。そして、アンディ様によって紙の右側に本棚が描きこまれる。ちなみに本棚の数は身長より少し大きいくらいのものが3つほどだ。小屋の右の壁に沿うようにして置くことになる。
「こんな感じ?」
「素敵です!……あ、思ったんですけれど、本棚の近くにちょっと座れるようなスペースがあればいいなって……そうすれば教室とこの本棚のスペースを行ったり来たりしなくても済むかなって」
ジェニーがそう意見を述べてくれる。
「いいかも!でも、どこから机、持ってくるか考えないとだわ」
教室用の机を持っていくわけにはいかないし……。
「それなら、うちに、使わなくなったテーブルがあるかも?持ってこようか?」
ウィル先生が、少し悩んだ素振りを見せてからそう、言う。
「いいんですか!?」
私が思わず勢いよく言うと、ウィル先生は驚いた顔をしながらも頷いてくれた。
「じゃあ、ここに、本棚とテーブル、だね?」
アンディ様がまた本棚とテーブルを描き足してくれる。
「左半分はどうしましょうか?リリはどう思う?」
思案顔のリリにそう問いかけると、リリは呼びかけかけられたことに驚きつつも、
「では、失礼ながら意見を述べさせて頂きますと、わたくしは、職員室にしてはいかがかと思います」
そうだわ、それ、大事だわ!職員室!
「そうね!それ大事だわ!」
「そうですね!それ必要です!」
「なるほど、職員室…確かに必要だね」
「おおー!」
それぞれが口々に賛成の返事をする。ちなみに、初めが私、次がジェニー、その次がアンディ様、そしてウィル先生である。
「リリ、ありがとう!」
「いえ、お力になれたのでしたら幸いです」
「じゃあ、左半分は職員室にするとして……」
アンディ様がサラリと職員室という文字を紙の左半分に書いた。
「職員室だったら、仕切りがあった方がいいよね……」
ウィル先生が提案する。
そうかぁ……流石に職員室は仕切りがあった方がいいかぁ。
でも、どーしよう?パーテーションとか買うと、また、お金、かかっちゃうし……。
そう悩んでいると、ジェニーが声を上げる。
「それなら、任せてください!」
お久しぶりです!花川優奈です!
2章が始まりました!よろしくお願いします!
ブックマーク、評価、ありがとうございます!
それから、外出自粛が続く中、少しでも暇つぶしになれば……と、2章も引き続き、毎日更新頑張ることに決めました!!(こんなんで楽しんで頂いているのか不安で不安で仕方ないですが……)
……ストックがもうないので、0時にできるかは分かりませんが……。
これからも楽しいお話?をお届けできたらな、と思います!
【次回の更新は、4月12日予定!】
活動報告は、ルルーが担当!!こちらもご拝読お願いします。
ブックマーク、評価〔下のお星様です〕、感想などお待ちしております!してくださると多分よろこんで更新頑張れます!やる気出します笑




