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37話♛通達 (国王陛下視点)

深々と頭を下げて部屋を出ていく二人の影を見送ると、納得いかないといったような声音の声が隣から聞こえた。


「宜しかったのですか、あれで」


声の主は、自らの横に立つ、側近__宰相である。ちなみに彼は、私の実の弟だ。


彼の他に、母は違うが、妹が二人いる。……いや、二人いた。そのうちの一人は、マーク公爵のところに嫁いだマーク公爵夫人だ。母は違うが、私やこの弟と妹二人は本当の兄妹のように育ち、兄妹仲は良かった。よく四人で遊んだのを覚えている。


声の方を見やると、彼は不服そうな表情を顔いっぱいに浮かべている。彼は、先程、あの令嬢__確かレベッカとか言っていたな__に掴みかかろうとしたその人である。


あれで、というのは十中八九レベッカ嬢とのとのことを言っているのであろう。私が不敬を見逃したことと、誰でも通える学校づくりという事業を許可したことを快く思っていないらしかった。


「いいんだ。それに、ちょっと面白そうではないか?」


そう言いながら、先程のレベッカ嬢を思い出す。礼儀は令嬢らしくしっかりとしていて、動きが優雅であり、きっとしっかり教育されているのであろうことが伺えた。だが、かと思えば、凛とした空気を纏い、真っ直ぐに私の方へと視線を向け、そして、しっかりと堂々と怯むことなく自らの意見を述べていた。


大体の人は、国王陛下の前だ、ということで恐縮してオドオドすることが多い。そんな中で、だ。そんな少し風変わりな令嬢。その姿をみて、少し面白そうだと思ったのだ。


私の言葉に宰相ははあああ、と大きなため息をつき、呆れたような顔を浮べる。こういう所は仕事の顔ではなく、我が弟、という顔である。昔から世話焼きなのだ、この弟は。


「面白がる事ではありません」


「だって、私にあんなに啖呵を切って進言する人なんて今までいなかった」


「確かにあの心意気は凄いとは思いますが、あれは確実に不敬です」


「まあ、よいではないか」


そう言ってカラカラと笑うと、宰相は眉を寄せて、さらにため息をつく。顔には、もう付き合いきれません!という文字が書かれている。


そんな彼を横目に、私は、彼女のことを考える。


レベッカ・アッカリー嬢。

隣国の公爵家の令嬢だと聞く。


確か生家は、スミス王国の外交大臣を代々務める家で、確か彼女はそこの一人娘だ。


そして、しっかりと周りの国に向けて発表はされていなかったが、流れてきた噂によるとレベッカ嬢は、スミス王国の第二王子(・・・・)……いや、第一王子で、今はスミス王国国王か、の婚約者だと聞いていた。実際に彼が結婚したのは、伯爵のご令嬢だったが。


新国王への挨拶として遣いに出した者の報告では、彼はあの女(・・・)にそっくりであったと聞いている。


あの女(・・・)の子どもである王子の元婚約者が、マーク公爵家にいるとはなんの運命か……


………いや、この話はよそう。


そして、彼女は今、我が国に留学生としてきていると報告を受けている。先程会った姿からみても動きや礼儀は洗練されており、きっと、王妃教育がなされていたはず。普通に順当にいけば彼女は王妃になっていただろう。相当成績も優秀そうだから。


だというのに、王子の婚約者であった令嬢が王妃にならず、こんな時期に我が国に留学……。


それに、留学と言っても、こちらの学園に入る訳ではなく、マーク公爵家に預けられて、生活している。留学ならば、王立サンフラワー学園に行くのではないか。


彼女を疑う訳では無いが、少し気にかかる。


そして、新しく王妃になった女性、クレア妃。彼女は、どこかオドオドして動きもぎこちなかったと聞く。王妃教育を受けて間もないと考えられる。どうして、そんな女性が王妃になったのか。


レベッカ嬢、彼女に何があったのか。

スミス王国で何が起こったのか。


少し気になるな。


「だが、あの子のことは少し気になる。調べておいてくれるかい」


そう宰相に伝えると、さっきの不服そうな弟の顔からすっと仕事の顔へと戻る。


「御意」


「よろしく」

今回少し短めでした。すみません。

色々不穏?かどうかはわかりませんが、少しだけ謎に触れています。国王陛下にも色々あるんですけど…もう少し秘密です( *¯ ꒳ ¯*)


✤次回予告的な何か✤

国王陛下から承認を貰えてほっと一息ついたのもつかのま、あの人から雷が落ちる!?次回は、レベッカ視点に戻ります!


お楽しみに!


【次回の更新は、4月3日予定!】

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