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14話★気分転換

サブタイトルを付けるとすれば、


『アンナとのお菓子作り教室-時々リリ-』


です。


今回は少し学校づくりから離れる、レベッカの休息です( *¯ ꒳¯*)

あの運命の日の翌日。返事はそんなにすぐ来ないとわかっていてもソワソワしてしまう。


だって、不安なんですもの……!


あっち行ってはソワソワ、こっち行ってはソワソワと部屋中を歩き回り、落ち着かない私を見かねたアンナが、


「お嬢様、本日はクッキーを作りませんか?」


と声を掛けてくれた。


「……え!?」


その、「クッキー」の単語に、ソワソワ歩いていた足を止め、思わず勢いよく振り返ってしまった。


リリがアンナの横でクスクスと小さく笑っているのが目に入る。


リリをジト目で見つめてみると、リリは「すみません」と言いながらも笑い続ける。


えーえー、どーせ、私はお菓子に目がないですよぉー、すみませんねぇー。


なんて心の中で言ってみる。


心の中で言ったがリリには通じているらしく、また、小さく「すみません」と謝った。


謝るなら笑わなければいいのにー!!


そんな私たちに苦笑しながら、アンナは続けて、


「以前、わたくしがスープを零してしまった時、お嬢様は、「クッキーの作り方を教えて」とおっしゃられましたので……何もなさらないよりはなさっていた方がお気が紛れると思いますし…」


と言う。


そう言えば、そうよ!


アンナにお菓子作りを教えてもらう約束をしたのよ!


「いかがでしょうか?」


アンナの言葉に自分の目がキラキラしているのが自分でもわかった。ソワソワしていた気持ちなんかどこかへ行ってしまい、二つ返事で即答した。


「とても素敵!作りたいわ!出来たら、アンディ様やジェニーにもおすそ分けにいきましょう!」



★★


前世ではよく作っていたから、ある程度教えてもらえればきっと大丈夫!……なはず!


そんな風に思いながらも、アンナの聖域__普段はアンナしか厨房に入らないためそう心の中で呼んでいる__へと私は足を踏み入れた。


アンナと2人で厨房の調理スペースへと入る。リリは掃除をして参りますね、とさっき別れた。この広い屋敷を2人で切り盛りしているアンナとリリは凄いと本当に思う。


さて、厨房はこの家に来た日にアンディ様に案内されて入ったっきりだったが、来た時よりも心なしか綺麗に整頓されているように見える。


また、料理しやすいようにだろうか、調理器具が取りやすい配置に置かれている、ように感じた。


「勝手に配置を変えたりしました……すみません」


私が厨房をグルリと見回しているとアンナが申し訳なさそうにそう言う。


「なんで謝るの?ここを使うのはアンナが多いのだから好きに改造していいと思うわ!それに、これ、とても可愛いわ!」


私は、厨房の片隅に飾られている花を指して言った。


こーゆーとこ、女子力だと思う。


「本当ですか!料理をする時、明るい気持ちになれば、きっと美味しいものが出来ると思って飾ってみたんですー!」


申し訳なそうな顔から一変してニコニコ笑顔で言うアンナ。


「それはいい考えだわ!きっと今から作るクッキーも素敵な味になるわね!」


「なります!なります!」


そうやって始まった、アンナによるお菓子作り教室だが、基本的には材料も作り方も前世と変わらなかった。


材料を混ぜて、型抜きで抜いたり、形を作ったり。


そんなわけで意外とスムーズに出来て、アンナに驚かれた程だ。確かに、こちらの世界に来てから料理なんてしたことがなかったから、急に出来たら驚かれるだろう。


調子に乗りすぎた……と思ったが、


「お嬢様は、本当になんでもすぐに出来るようになられるんですね!」


と感心したように言われて、アンナ的には違和感はなかったらしいから、良しとしよう。


レベッカは頭良かったもんね。1度聞いたら1度見たらできるなんてこと、小さい頃から何回かあったし。


そんな感じでどんどんクッキー生地を作り、型を作っていく。


ハート型や丸型、花形など多種多様な形のクッキーが出来ていく。


「お嬢様、このハート型、アンディ様にさしあげるんですか?」


私が型を抜いていると横からアンナがそう、コソッと呟く。その声に心底不思議になった私は、


「え?どうしてここでアンディ様?」


と聞き返す。


アンディ様にハートを差し上げても別にいいとは思うけれど、ハートだけじゃなくてほかの型も差し上げたいわ。


頭にクエスチョンマークというやつをたくさんの浮かべているであろう私に、アンナは、小さくため息をついた。


「アンディ様、可哀想……まあ、アンディ様御本人もまだ気づいていないみたいだけれど……。お二人揃って鈍感であらせられるから……」


と呟いていた。


何に気づいてないんだろう?

私とアンディ様が鈍感って何だ……?


その後も、お嬢様は他人の好意に、アンディ様はご自身の好意に疎いのねぇ……とかなんとか呟いていた。


「どういうこと?」


「いえいえ、なんでもないです、続きをしましょう!」


「……?そうね?」


何となく話をそらされた感。


そんな会話を挟みつつクッキーは出来上がっていく。


この調子ならきっと大丈夫と、息巻いていた私だったが、1つ、最後にして最大の難点があった。


それは……


電子レンジ、オーブンレンジがないこと!!!


です。


この世界では、まだそんなに機械は発達しておらず、かまどのようなところで直火焼きだ。


だいたい均一に温まるように出来ているレンジとは違い、火加減の調節によって、また火の位置や生地を置くところ、温度によって微妙な差がうまれるのです。


あーあー文明の機器が恋しいよぉー。


この世界に来てから何度目かの叫びである。


まあ、ないものをとやかく言っても仕方ないので、いざ、挑戦!!


幸い生地は有り余るほど作ったから、多少失敗しても大丈夫!


アンナ先生、レクチャーよろしくお願いします!


とやる気満々でいたら、


「お嬢様、かまどは危のうございますゆえ、わたくしがさせていただきます」


と何処からか、リリの声が聞こえ、ヒョイっと生地が手から消えてゆく。


「……え?」


バッと声の方へ振り返ると、リリが笑顔で生地の入ったバットを持っていた。


「アンナもこんな危険なことをお嬢様にさせて火傷でもなさったらどうするのです」


「も、申し訳ありません……!」


何故リリ!?ってか、掃除は!?


「終わりました。さあ、お嬢様、最終工程に入りましょう」


心読まれた……だと!?


でも、せっかく始めたんだから最後までしたいわ。


「……でも、私、最後までした……」


と抗議の声を上げるが、リリの


「何かおっしゃることでも……?」


という言葉と黒い笑顔で言葉を最後まで言い切ることが出来なかった。


結局最後の焼く工程は指一本触れらせてはくれず、見ていることしか出来なかった。


解せぬ。


アンナもリリに仕事を取られてぼーぜんとしたあと、リリの補助に入っていた。


そして、出来上がったのは綺麗に均等に美味しそうに焼けたクッキーたち。


え、リリって何者!?


リリの凄技に驚いている間に粗熱が取れたようで、もう触っても構わないと、リリからお許しが出た。


焼き終わったので、次はジェニーやアンディ様に渡す分のラッピングだ。


「粗熱が取れたとはいえ、まだ少し熱いかもしれませんからお気をつけ下さいませ」


リリはそう言うと、「では、わたくしは洗濯をして参ります」とまた厨房から出ていった。まさに、神出鬼没……。


リリが出ていくと、


「安全を考えるべきでした、申し訳ありません……」


アンナが申し訳なさそうに眉を下げながら言った。


「ううん、アンナは悪くないわ。私も考えるべきだった……。私の方こそごめんなさいね」


改めて考えると、流石に令嬢にかまどは危なすぎだよね……。リリが心配するのも無理はない。オーブンとかなら大丈夫だろうけど。


私の言葉にアンナは首を横に振る。


「申し訳ありません……」


「そんなに謝らないで。気を取り直して、アンナ、一緒にラッピングをしましょうか!ね?」


私がアンナの顔を見てそう言うと、アンナはやっと笑顔になって、頷いた。


「……っはい…!」



★★


その後、アンナは、厨房の入口付近の壁にある食器棚の下の段にある引き出しから何やら布を取り出した。


どうやらラッピング用らしい。布と言っても、ナプキンのような感じだ。前世で見たもので言うと、不織布のような生地。


柄はチェック柄で、チェックの色は暖色系から寒色系まで勢揃いだ。


「わあ、可愛い」


「実は夕食の買い出しに行った際にこういった小物を売っている店を見つけまして」


雑貨屋さんってことかな?


「そこで可愛いくて、お給金で買ってしまいました……」


えへへ、と顔を少し赤らめて嬉しそうに言うアンナ。


「そうなのね!……でも、だったら、私が貰っていいの?」


そんなに気に入ったもの、私が貰っていいのだろうか?しかも、自分のお給金で買ったものを……!


ちなみに、リリとアンナのお給金はスミス王国いるお父様からまとめて送られてくるらしい。


現代のようにATM振込とはいかないが、銀行のようなものはあるらしく、信頼している委託業者に預けて、委託業者が銀行から銀行へ橋渡しをしてくれているらしい。


ゲームの時はこんな設定知らなかったし、知る必要もなかったけれど、こちらに来てみると色々な設定があって__みんな生活しているから当たり前といえば当たり前だが__裏設定を見ているようで少し楽しい。


「いえ!実はお嬢様のティータイムで使わせて頂こうと思っていたので……」


何故、私!?


「アンナ、お給金は自分のために使うものよ」


「いえ、私がそうしたかったので!」


アンナはブンブンと首を横に振る。それから、「なので!ぜひ!ぜひ!使ってくださいませ!」と訴えるように言う。


「あ、ありがとう……」


私は、若干アンナの勢いに押されつつ頷いた。


そんな経緯があり、私は、アンナに貰った布を使うことにした。


ラッピング用の布と紐を前にして、どうラッピングしようかと悩む。


「可愛さで言ったら、こう、かな?」


布にクッキーを包み、飴玉の要領で布の両端を紐でそれぞれくるりと巻く。紐はリボン結びにすれば、とても可愛い。


「それ、可愛いです!」


くるりくるりとクッキーを包んでいると、横からアンナがそう言って笑う。可愛いものが好きならしく、目がキラキラ輝いている。


「ほんと!?」


こくこくと頷きながら、キラキラとした瞳でこちらを見つめてくるアンナに、ニコッと笑い返して、


「じゃあ、アンナも手伝って!」


「はい!」


待ってましたとばかりにアンナは頷いた。

いかがでしたか?楽しんでいただけましたか?


今回はいつもあんまり出ないアンナさんが出ずっぱりですね!アンナさん出したかったので作者としては大満足です!


久しぶりなので、「誰やねん?」とかなりませんでした?


再度紹介しておくと(誰やねんってなってなかったら見なくて大丈夫です!)


♛人物紹介♛

✤アンナ・カーリー (16)

レベッカの国外追放についてきた、元アッカリー公爵家のメイド。おっちょこちょい。可愛いものが好き。



他にも分かりづらい登場人物とか、こいつ、誰や?!ってなったら教えてくださいね!!



これからもよろしくお願いします( *¯ ꒳¯*)


ブックマークや評価、ありがとうございます!


宜しければ感想とか頂けたら……嬉しいです…!


【次回の更新は2月22日予定!】


めっちゃ2の日やん!!←

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