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122話★会議と商売魂

午後の授業が終わった後、教室にアンディ様、ウィル先生、ジェニー、ルカさん、私についてきているリリ、そして私が集まった。いつものメンバーである。


イベントをどんな風にするか、何をするかを話し合うのだ。


まずこの世界では、どんなイベントがあるのだろう。ちなみに私はスミス王国では、在籍はしていたものの、王妃教育が忙しすぎてほとんど学校に通わせて貰えなかったため、詳しく知らない。クレア嬢なら知っていたかもしれないけれど。


「では、職員会議を始めます。よろしくお願いします!」


「よろしくお願いします」


私の挨拶と共に始まる職員会議。まずは趣旨説明をすると、みんなは考え込む。何かいい案はないかなー。


「なぁ、これってさ、午前と午後のクラスがあるけど、どーすんだ?」


ルカさんがそう尋ねる。そう、私もそれは考えていた。別々に何かをするのもいいと思うが、仲良くなるのが目的ならやっぱり……


「実は合同で何かしたいなと思っているわ」


「そうなんだな」


「ええ。人数が多い方が仲良くなれる人も見つかりやすいと思う」


色んな人と会った方が、もしかしたらアドニスも過ごしやすい人が見つかるかもしれない。まぁ本人が1人でいるのが好きと言うのならばそれはそれでいいと思うが、時折生徒たちの方を見ている彼は寂しそうなのだ。


「なるほど、それはいいね。同じ町の子達なのだから午前と午後の交流も大事だと思う」


アンディ様が賛成してくれる。確かに、将来一緒に商売をすることもある。仲が悪いよりはいい方がいいだろう。


そういうわけで、午前午後クラス合同で行事をすることになった。あとは、今日の最大テーマ、何をするかである。


「そう言えば、サンフラワー学園にもイベントはありますか?」


ずっと気になっていたことを聞く。


「サンフラワー学園にも体育大会や文化祭はあるね。後は、魔法大会とかもあるよ」


ウィル先生が教えてくれた。魔法大会というのは魔法を使って模擬戦をする大会で、毎年とても盛り上がるのだそうだ。魔法が使える国ならではね。


楽しそう。


そして、イベントの詳細を知らなかったジェニーには一つ一つ他の行事も説明する。ジェニーは瞳をキラキラさせていた。


私の隣に座るアンディ様も目を細めて、眩しいものを見るような顔をしていた。何故か彼は学校には通っていないようだった。彼は、ウィル先生に教えて貰って家で勉強をしている。


「そう言えば、話は変わりますが、アンディ様は学校には行かないのですか?」


今まで聞いたことがなかったが、聞いてみた。すると、アンディ様はうーんと少し悩んでから、


「父上から止められているんだよ。何かわけがあると思うけれど……。それに僕もその当時はあまり興味がなかったから」


なるほど。あのマーク公爵が止めるなら何かわけがあるのだろう。


「でも、今のレベッカの学校を見ていたら、ちょっと通いたくなったよ。こんな楽しいなら通っても良かったなって」


「こことサンフラワー学園はだいぶ違う気もするけれどね」


ウィル先生は苦笑しながらそう言った。そして、「さて」とわざとらしく話を変えた。あまり深くこの話をしたくないようだ。


「イベント、どうする?」


「わたしは、さっき言ってらした、文化祭がいいと思います」


ずっと黙っていたジェニーがずっと手を挙げてそう言った。いつになく積極的である。


「どうして?」


ウィル先生が尋ねる。確かに、数ある行事の中から文化祭を選んだ理由が気になる。


「一緒に何かをつくるなら、絆が深まりやすいと思うからです。話すきっかけも作りやすいです」


なるほど、確かに。一緒にひとつのものをつくるなら話はすることになるだろう。私たちはジェニーの意見にうんうんとうなずく。そして、満場一致で文化祭をすることになった。


何を作るかは生徒たちと一緒に決めよう。それに、もしかしたら演劇とかになるかもしれないし。


よし、早く決まった。早速1人でも多く生徒たちが集まれる日に会議をしよう。全員は無理だから、代表生徒達でもいいかも。委員長とか。


あとは何をするにしても、材料がかかるなぁ。予算上がったし、大丈夫かなー?


なんて考えていると、ジェニーが再度声を上げた。


「それで、ですね……実は、父がいたくこの学校に興味を持っておりまして、学校にぜひ関わらせてくれと言っておりますの。多少損をしても構わないと」


彼女の実家は、この街で一番の商家、オルティス家である。オルティス商会という商会を作っている。


そのオルティス商会の長である彼女のお父さんは商人魂に溢れた人で自分が納得した取引しかしないと噂がある。人情と取引はきっちり分けるタイプならしい。いいものにはちゃんと対価を払うが、納得しないものには1フェーリーも払わない。


それは領主であるマーク公爵家に対しても同じらしく、納得するまで話し合うし、納得するまで売買をしない。公正かつ公平。そこがマーク公爵も気に入っている所とのことだった。


前々からジェニーや彼女の弟であるカイトは、お父さんに学校の話をしていたらしい。最初はあまり乗り気ではなかったらしいが、話を聞いているうちに興味を持ったとのこと。


彼が力になってくれれば確かにすごく有難い。


「今回は無料で構いません!ぜひ!オルティス商会に今回の材料調達などを任せて頂けませんか」


ジェニーが続けて、キラキラとした瞳で言う。でも、やっぱり対価を払わないのはいけないきがする。


「お金を払わないのは違うと思うわ」


「いえ、今回は先行投資です。それ以降もお友達価格でご提供させていただきますので、ぜひごひいきに!」


ジェニーが商売魂逞しくなっている。押しが強く、押し切られてしまった。でも、材料が手に入るのはとても有難い。


「それで、その文化祭、いつする?」


アンディ様が尋ねる。


「みんなが集まれる時がいいな。出来れば保護者の方にも見てほしいし」


その旨を伝えると少し驚かれた。サンフラワー学園では保護者が来るといったことはないらしい。あくまでも生徒が楽しむ行事だとのこと。


だが、やっぱり保護者に生徒のみんなの成長した姿を見てもらいたいと思うと伝えると、みんなが、なるほどと納得してくれた。


「保護者か……それは難しいかもしれねぇぞ」


私の言葉に、ルカさんが腕を組み、むずかしい顔をしたまま応える。


「そっか、そうよね。みんな商売があるもの」


やはり厳しいかしら。諦めるべきか……と悩んでいると、今度はジェニーが声を上げる。


「建国祭の時はどうでしょうか?」


建国祭……?といえば、国が設立したことを祝う祭りである。スミス王国の建国祭もなかなかに豪華だった記憶がある。これは私ではなく、転生前の、私の記憶を思い出す前のレベッカの記憶だけど。


大抵建国祭は通して1週間行われる。建国記念日は本祭として豪華な祭りが開かれ、前夜祭と後夜祭もあるが、その前の1週間から準備が少しずつ始まるのだ。


そして、建国記念日の本祭の夜には、豊穣を祈る儀式が行われる。


でも、建国祭ならものを売る商売人は忙しいのでは?と思っていたが、リリと私以外はうんうんと頷いている。


え、なんで?


「なるほど。確かにそれなら保護者も来れるかも」


アンディ様が頷く。それから不思議そうにしている私たちに気づくと説明をしてくれた。


「建国記念日では、午前中はみんな仕事をするんだけれど、午後は仕事を休んで家族と過ごす習慣があるんだよ」


なるほど。仕事が休みになるなら来てくれるかも。


文化祭は建国祭の時にすることになった。

学校といえばイベントですよね!

皆さんは文化祭、何をしたでしょうか?

私が学生の時は劇をしたり食べ物を売ったりしました!

楽しかった思い出です(*´ω`*)

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