91話☆恋愛相談 (アンディ視点)
「恋心を分かってもらうにはどうしたらいいか、ですか？」
自らの目の前の大きな緑色の目がぱちくりと瞬かれる。僕は、ジェニファーと共に学校の裏にあるベンチに座っていた。ちょうどレベッカは私用ではずしているため、ちょっと相談してみようと思ったのだ。ジェニファーは僕の心に誰より先に気づいたし、そういうことに詳しいと思ったから。
ジェニファーはうーんと少し悩んでから、
「そうですねぇ。花束を贈ってみるとか……」
と言った。その後、花言葉とかあるかもしれませんし、と続けてから、思い至ったように声を上げる。
「あ、でも、花束と言えばルカ様がレベッカ様に送ってらっしゃいましたねぇ。ルカ様はそういう所、キザでいらっしゃるから」
ルカが……。
そう思っていると、隣に座るジェニファーは、「花束は却下ですね。流石に二番煎じはダメです」と言ってから、少しばかり目を伏せながら顎の辺りに手を持って行き、悩むような素振りを見せる。
それから何かに気づいたかのように顔を上げたあと、瞳をキラリと輝かせた。どこか楽しそうな笑顔を浮かべる。
「では！これは小説とかであるのですが、ぎゅっと抱きしめて見つめるとか！もちろん、甘い目で！もしくは、壁際に追い詰めて、そっと口づけして、「好きだよ、君が」って大人っぽく笑うとか！強引に唇を奪うってのもありかもしれません！ちょっとくらい強引な方がキュンってするかも？それから！それから！」
段々熱が入っていくのがわかる。緑の瞳がキラキラと輝き、嬉しそうだ。いきいきしているとも言える。
だが、内容……同意なしに抱きしめたり口づけたり……それは紳士として、いいのか……？最近の女性向け小説は意外と破廉恥なんだな。
少し困惑していると、それが顔に出ていたのだろう、ジェニファーは少し残念そうな顔を浮かべた。
「あー、でもこう言ったことはルカ様の方が似合いそうですね。ルカ様はきっとアンディ様の1番の宿敵ですよ？」
「うぐ……」
痛いところをつかれて、思わず呻くような声がもれた。だって、言われて思った、僕にそういうのは似合わなさそうだと。自分がそういったことをしている姿が想像できないのだ。
「アンディ様、私、今から本音をぶちまけますが、よろしいでしょうか？」
ジェニファーが少し居住まいを正すように揺れたあと、こちらを向き、自らの膝に手を置いて姿勢を正した。
「どうぞ。遠慮せず言って」
なにこれ、怖いんだけど。そう思いつつも、頷く。多分ジェニファーは身分のこととかを気にして一言ことわってくれているのだろう。本音を聞かなければ何事も本質が分からない。
すると、ジェニファーは小さく咳払いをした後、ムッとしたように口を歪め、眉を吊り上げながら、じっとこちらを見やる。その瞳に少し圧倒されそうだ。
そして、視線は痛い。
「アンディ様はそもそもヘタレ過ぎるんです！うじうじとしているよりはもっとグイグイと！！押せ押せじゃなきゃダメです！じゃないと影が薄くなりますよ？ただでさえ、アンディ様は影がうすいんですから！」
影が薄い……。酷い言われようである。ちょっと自覚があったからなお辛い。やっぱり僕、影薄い？そして、ヘタレはウィル先生にも言われたんだけれど。そんなにヘタレかな。
普段こんなに奥手に物事を進めることがないから、初めて気づいた。
「優しくて朗らかで、いつも笑顔を浮かべてらっしゃるのはアンディ様のいい所ですが、うかうかしているととられますよ？時にはドキドキさせなきゃです！その長所を活かしつつ、レベッカ様を翻弄するとか！」
「翻弄……」
「はい、恋の駆け引きです！押したり引いたりするのです！」
駆け引き……。難しいこと言うなぁ。
「普段仕事の手伝いをするとき、相手と駆け引きをすることもあるでしょう。アンディ様のお家は貿易関係ですよね？」
確かに父上の仕事を手伝う時、真近で交渉の場とかも見てきたし、僕自身も任されることだってある。これでも結構得意だったりするんだよ？
「それはそうなんだけど……」
「それと同じです。相手の心を揺さぶってください！」
なるほど。仕事と一緒ね……。それなら何とかなる気がしてきたかもしれない。出来るかは別として。少し気が晴れたかもしれない。というか、気力がわいた。
「うん、ひとまず頑張ってみるよ」
そう言って頷くと、ジェニファーは今まで以上に圧を込めてこちらを見る。
「全力で頑張ってください！！私はアンディ様とレベッカ様を応援します」
ジェニファーの方が押せ押せだな、なんて思いながらも、
「ありがとう」
皆様！この作品、10万PVを突破致しました！！
ありがとうございます( ु ›ω‹ ) ु♡
本当に嬉しいです。
これからも頑張っていきますので、読んでくださると嬉しいです。
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頑張って作ったので是非、最後まで！見てくださいね。
いいですか、最後までですよ？|x・`)チラッ
そして、宜しければ検討してくださいね。CM内ではDMって言ってますが、リプでもいいですから！
よろしくお願いします。
……1件も来なかったら心折れる苦笑
