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過去に生きる私5  作者: 佐藤朋栄
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自伝

5th story

アタシの心のお姉ちゃん



8年以上前、アタシがまだ通名を使っていなかった頃のお話………


女性で仕事がしたくてアタシでもできる所を探して何ヵ月も経っていた

ようやくあるバーが受け入れてくれてアタシはそこで働く事になった

趣旨が違っていたが仕方ない アタシが女性として働ける所はそう多くはない

面接後ママがドレスを持ってきて「今日から出れるでしょ? それ着てメイクしてきて」

ビックリした まさか今日の今日なんて

芸名を考えドレスはきつめだったがなんとか着れた

店子の先輩にメイクを教わり、いきなりのデビュー

お店は当時テーブル3つ小さなカウンター1つだった

アタシは何も教わる前に接客しにテーブルへ。


入り口付近のテーブルは対面型で既に女性客が座っていた

アタシの初めてのお客様だ

ソファーに座り今日決めた芸名を名乗ると、向こうも名乗ってきた

お客様は栗色のロングストレートで、メイクは黒の瞼全体のアイライナー、黒のロングアウターにショートジーンズと黒いパンスト、ロングブーツだったかな、詳しくは覚えていない

アタシが拙い手で教わりもしない飲み物を作っている間、彼女は好奇心の目でアタシを見つめていた


「アナタ初めて?」

「はい、今日面接したら接客しろって言われて」

彼女はママのやり方を聞いて爆笑していた

「いきなりかぁ、早く慣れてね 楽しめないと、さ」

ウィンクして緊張をほぐしてくれてるのだろうか

その後の会話は彼女が引っ張ってくれる形で楽しい接客になった

終わりの時間が来る頃、ドアからホストが入ってきて彼女と談笑しはじめた

話によると彼女はこれからホストクラブに行くのだそうだ

ホストが去った後彼女はチェックし、「またね、頑張ってね~」と激励し去っていった。

これがアタシの夜の蝶初めての接客。

まさか、この女性が現在でも付き合いのある友人になるとは夢にも思わず。



2回目の邂逅は違うバーでのこと。

働きながら (そういえば彼女の家この近くだったなぁ 会えるかなぁ)

などと考え。 メールしてみる事にした。

すると彼女はバーに遊びに来てくれた

嬉しかったし、見とれる程の相変わらずの女っぷり

彼女はアタシのオフの日に遊びに誘ってくれて、これがアタシ達の付き合いの始まり。


いろんな話をしながらアタシ達は仲良くなっていった

彼女がアタシと繋がってくれた理由の1つが「可愛かった」らしい

確かにあの頃痩せてたしね、ドレス着れてたし


メル友になり、お互いの家を行ったり来たりする仲になり楽しい時間を過ごすようになった

アタシは下がったり上がったりする生活の中で彼女の存在が自分の中で大きくなっているのを感じていた


1年以上前 スマホにやっと機種変したあたしは、ラインの存在を知りその機能に感動し自分のライフスタイルに組み込んでいった

当然彼女ともライン友になり…

新しい生活リズムに慣れていった


そんなある日 鬱った

これがなかなかヘビーで厭世感のあるアタシはクレモナロープを買いに行こうとまで考えた

長い鬱のあとやっと浮き上がると心境が変わっていた

真っ直ぐになった としか言いようがない

考え方と行動は更にアクティブになり。



そんな中彼女の心の中である変化が起こっていた

自分の言動でアタシを縛ってしまったと考え、繋がりを絶とうとした。

彼女は寂しかった。妹とも思えるアタシが遠くに行ってしまったと感じることに

寂しいと思うくらいなら繋がりを絶とう、と


そんな事は露知らず ようやく浮き上がってきたアタシはラインに驚く

彼女のラインの行間を読み心情を知ったアタシは頑なになった彼女の心にどこまで届くかわからなかったが想いをぶつけてみた


しばらくして彼女は答えてくれた

アタシの心のお姉ちゃん いつまでもそうあってほしい

そんな彼女の一言

「共に生きよう」

胸に来た。泣きそうだった

そうだアタシには彼女がついていて支えてくれる

4年と言わず生きれるだけ生きてみよう

その道を模索してみよう

それはまだ始まったばかりの新しくなった道

どうなるかわからないけど、やってみよう



点と点は 線になり繋がり 更に点と繋がる

そうやってアタシは前に進んでいく

いくつもの点の中 アタシの心のお姉ちゃんは一際眩しい光を放ちアタシを照らしてくれる

だからこそアタシは立ち上がれる

これからも一緒に歩いて行こう



fin

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