こたえあわせ1-2
「はっ… はぁ…さ 寒…」
これから どうしよう
行くとこなんて ないし…
そう思い始めた時 ぼくは少しよろめいて
傍にあった塀を背にしゃがんだ。
しばらくその状態でいると
目の前で声がした。
「おいっ」
突然の声で ぼくは驚いた。
「おめー迷子?」
歳は…ぼくと同じくらいの子だろうか…?
目の前には黒髪の少年が立っていた。
彼の問いかけに
ぼくは首を横に振った。
「違う?」
今度の問いかけにぼくは頷いた。
「そうか …何してんの 家帰んねぇの?」
「…帰れない…朝まで 帰ってくるなって…」
「…ふーん」
彼はそう言うと巻いていたマフラーを
ぼくに巻いてくれた。
「!」
「じゃ これから暇?」
彼はなぜ突然そんなことを言い始めんだろう
そう思いながらも ぼくは彼に言葉を返した。
「…う うん…」
「よし 立てるか?こんなとこでじっとしてたら
凍えるぜ」
その言葉にぼくは驚いた。
「でも ぼく行くとこ――」
ぼくの言葉を遮るように彼は言った。
「大丈夫おれと行こう ここよりマシな所 な」
そう言うと彼はお店がたくさんあるところに
ぼくを連れていった。
――――――
「これとかどーだ?」
彼はそう言いながらぼくに服を見せる。
ぼくは彼に言う…
「ぼく お金持ってない それに
お 男だしっ」
「?わかってるよ」
その返答に疑問を覚えながらもぼくは続けた。
「じゃ なんでピンク色の服なの?」
「! 悪い そーだよな 違うやつにしよう」
彼は少しびっくりしていたが
すぐに別の服を探し始めた。
「これは? ちとでけーけど」
そう言うと彼は茶色のコートを見せた。
「あ それなら…って お金持ってないってば…!?」
彼はそう言うぼくを無視してお会計を済ませた。
「えっ!」
「ほら これ着とけよ 寒いだろ?」
なんで?
「早く!」
なんで こんな――…
「アハハ やっぱチョットでかかったな
まぁ ないよりイイだろ」
彼はどうして優しくしてくれるんだろう――…
「あ あの ありがとう…えと……」
そういえば…彼の名前知らない…
それが分かったのか 彼は言ってくれた。
「んっ…あぁ おれ真也人 おめーは?」
ぼくは自分の名前を言ってないことに気付いた。
「…り 律哉…」
「律哉 おれも行くとこなくてさ…だから…
遊ぼうぜ 一緒に」
遊んでくれる そう思い ぼくはうれしくなった
「っ…うんっ」