ミズキと真央の秘密 4
昼休憩。真央はミズキに、渉との会話の内容を伝えた。
「そう、やっぱり早いほうが、いいよね」
「そうなるか。棚上げしたかったけど、そうもいかないな」
だが、ここで一つの問題に気が付き、二人同時にため息
――橋田くんにどう説明しよう
――高橋くんにどう説明したらいいんだよ
真央達が、渉達にどう説明するか頭を抱えている一方、渉は、さりげなく健人を誘いだそうとしていた。
「健人、お前、放課後ひま?」
「暇だけど。何かあるのか?」
「真央が、聞いて欲しい話が、あるんだとさ。俺だけじゃなくて、健人にも聞いて欲しいんだと」
「ふーん。何だろな話って」
「さあ?俺も質問したら、その時分かるって言われちまった」
最後の授業を終えて、帰りのショートホームルームの後、真央が、ミズキを連れて渉の席まで、やってきた。
「渉。朝話した通りに、うちで、話聞いて欲しいんだけど」
「ああ、健人。真央の家に行くぞ」
「分かってるよ」
真央は、家に着くと、ミズキに頼んで、
渉達には、リビングで待ってもらい、真央は、そのまま自室へ突進。
鞄を放り投げ、代わりにお気に入りのクッションで絶賛お昼寝中のそらを脇に抱えて、リビングへ戻る。
「ちょっとーなによ?お昼寝してたのにー」
そらは、急に起こされた挙げ句、鞄のように扱われてる為、ブーブー文句を言った。
「黙れ、お前も協力しろ。高橋くんに俺の事説明するんだよ」
「それから、ミズキの事を渉くんに説明するわけね。分かったわよ。もう協力するわよ」
そらを連れてリビングに入る。
「わりぃ!待たせたな」
ひさくな
「いや、聞いて欲しい話って何?」
「俺の秘密の事」
「はっ?」
高橋くんは、思わず間抜けな声を出してしまう。
知りあって間もないクラスメイトから、急にそんな事言われば、びっくりした声を出すなというのは、無理な話だ。
だけど、高橋くんは、冷静に訊いてきた。
「長谷川さんの秘密ってどんな?」
「あのね。健人くん。真央も僕と、同じような体験してるんだよ」
真央の代わりに、ミズキが答えた。
「ミズキと同じような体験って、まさ
か、一度死んで、男から女に生まれ変わったとか?」
「ご名答!」
今度は、そらが答えた。
「猫が、しゃべった!」
「そら、お前いきなりしゃべるなよ。高橋くんびっくりしてるだろ!」
「だって、手っ取り早いのよ。こうしたほうが」
そらは、しれっと言う。そらのマイペースぶりに呆れつつも、真央は、話を続けた。
「あのな、高橋くん。今から話す事本当の事なんだ」
真央は、渉やミズキにした説明と同じ内容の事を説明した。
「なるほど、長谷川さんはそうやって、女の子に生まれ変わったわけ。そらさんは、猫かあ……楽しめてるの?猫生活は」
「いいわよ。ニャンコライフ。特に、ゴロゴロしたい放題。今の季節はね。ウフフ。柔らかくて、暖かい真央の側で寝るの最高よ」
「ごほん。話それてるから、あと、渉、妙な想像するな。」
若干、ニヤケてた渉の頭を軽く叩く。真央は、ミズキに説明するよう促す。
「橋田くん。さっき真央の事説明するときも言ったけど、僕も真央同様にね、一度死んで、女の子に生まれ変わったんだ。ただ、僕にはもう少し、ややこしい事情があってさ」
ミズキは、昨日、真央に説明したように自分の事情を説明した。
「佐藤さんは、事情も事情だから、こっちの生活に慣れるのも大変だったろ?」
「うーん、そうでもないかな。毎日、バタバタして大変って思う暇なかったからな」
と、渉とミズキの会話が終わったところで、真央が、ひとつ提案する。
「なー今思ったけど、名字で呼びあうの堅苦しくねーか?」
「そうだね。せっかくお互いの秘密もしゃべちゃったし。名前で、呼んじゃだめかな?」
上目遣いで、お願いするミズキ。健人は、可愛いなと口に出して言いそうになるが、確実にツンデレなミズキに怒られる。
「いいと、思うぜ。ミズキ」
「ちょっと渉。人の彼女気軽に呼び捨てにするなよ。」
「ひぃ。健人の目が、こえーから分かったよ。じゃあ。ミズキさん」
「はい。はい。」
「真央さん、それとも、ちゃんどっちが、いいですか?」
「どっちもやだ。呼び捨てで、いーよ。」
「 あっ俺も、呼び捨てでな。くんは、いらない。くん付けていいの、ミズキだけだから」
真央達の秘密について説明するはずが、お互いをどう呼ぶかの論議にいつの間にかなってしまった。