ミズキと真央の秘密その2
ミズキが、長谷川家で、生活をはじめて数日たったある日。
真央が部活を終えて、家に帰ると、先に帰ってたミズキに捕まった。
「着替えたら、すぐに僕の部屋にきてくれないか?話があるんだ」
と言ったミズキの顔には、不安と希望という相反する気持ちが、表れていた。
ーーーなんかスゲェ重大な事みたいだな。まぁ、例の事言わなきゃなんねぇし。
「 分かった、丁度よかったよ。俺もミズキに話さきゃなんねえ事があるんだよ」
真央は、自分の部屋に入るとすぐに、制服からグレーのプルパーカと紺のキュロットに着替え、猫用ベッドで、丸くなっていたそらを呼ぶ。
「ーーーという訳だからな。来てくれないか」
「わーったわよ」
そらは、ベッドからのそりと起きて、部屋を出ていくが、そらは、ミズキの部屋の前で少しの間、スタンバイだ。
ミズキの部屋のドアをノックすると、すぐに返事があった。
「いいよ。入ってきて」
真央が入ると、ミズキは部屋の中心に置かれた小さなコタツ机の前に正座していた。
真央もそれにならい、ミズキの正面に正座し、真央から話を切り出した。
「で、話ってなんだよ?」
普段は、明るくおちゃらけた真央だが、今は、そんな普段の態度から想像つかない程、真剣な顔だ。
そんな真央に、一瞬怯みつつも、口を開いた。
「唐突だけど、真央。君は、異世界とか信じるか?」
「あっまあ、異世界は、信じてるけど、なんだよ」
ーーーまさか、『この世界の人じゃありませーん。とか言うんじゃないだろうな?
「僕は、この世界の人間じゃないんだよ」
「はっ?どういう事だよ?」
思った通りの事を言われた為、思わず訊いてしまったが、話を遮らたミズキは、一瞬ムッとしながらも、佐藤家に来るまでの事を話した。
「つまり、お前は、異世界では、男で軍人だった。訓練中に死んだはずだけど、性別変わって、年も10才若返って今の姿になったんだな。どうりで、他の女より話しやすいわけだ」
「そう」
ーーーなーんか、あっさり受け入れたな。姉さんや唯花と健人くんは、かなりびっくりしてたのに。こりゃ、真央のヤツも、僕と同じかそれ以上の秘密を抱えてそうだな。
「ミズキが、自分の秘密話したんなら俺も話さねえとな。その前に、そら!来てくれ!」
「わかったわよ。まったく、いつまで普通の猫のフリしてなんなきゃいけないのよ!」
と甲高い少女の声で喋りながら入ってきたのは、真央の飼い猫のそらだ。
数日前に聞いた『起きるにゃー』と言っていた声と同じだ。
あの時は、気の所為だと思ったが、今は、普通に話してるではないか。
「今、そらしゃべったよね」
「そうよ。だって、元人間だもの。当然よ。そして、人間だった頃は真央の双子の妹だった。真央は、私の兄貴だったわよ」
「兄貴って事は、男だったって事だろ?」
「順を追って話すよ」
真央は、ミズキの反応に苦笑いしながら、トラックにひかれて一度は、死んだ事。もう一度人生をやり直す権利を得た事。その際、姿を決める時に、そらが勝手に『私、そっくりな女子中学生』とリクエストした事を説明した。
「ようするに、そらのわがままで真央は、女の子になったんだな」
「うっそうね」
ミズキの毒舌な発言にそらは、素直に認めた。
「今更そんな事は別にいいけど。ミズキは、この秘密知ってるやついんの?あっ茜さんや道春さんは、別としてな」
「健人くんに唯花。緒方唯花っていう僕の親友の女の子だけ」
「へぇ、健人くんって高橋くんの事だよな。確か、付き合ってるんだよな高橋くんと」
「今関係ないだろ。それより、真央の秘密知ってるのは、誰かいるんだろ」
ミズキは、顔を真っ赤にしながら質問した。
「 未希と波奈は知ってるよ。未希の兄貴と俺が親友だったからな、二人に協力してもらって何とか学校生活送れてるからな。あとは、渉。橋田渉だよ。色々あって告白したあとに、渉に話した」
「へーそうなんだ」
ミズキは、ニヤリと笑い。
「もっと、その時の話聞きたいな」
「えー嫌だよ」
「そんな事言わずに!」
最初は、二人の秘密について話てたはずが、いつの間にか、だたの恋ばなになったのは、言うまでもなかった。