聞いてないよ!3
さて、強制的に親戚の家に連れて来られたミズキ。
だが、今現在その家の門前で待ちぼうけを食らってる。
茜に『バカ親父と話してくるから、いいって言うまで、入ってこないでね!』と言われ、家の外で待ってるのだ。
ーーーあ〜あ。健人くんに電話しようって思ってたのに。、段ボールの中なんだよな。
と今、ミズキが、心の中ボヤいた通り、携帯電話は、段ボールの中だ。
いや、携帯電話だけではなく、ミズキの私物が、全て段ボールの中なのだ。
そうミズキは、怒れる姉に連れられるまま、一度自宅へ戻って、姉によって勝手に纏められていた自分の荷物が入った段ボールと共にこの家にやって来たのだ。
なので、高橋くんに電話をかけるという目的も果たせないでいた。
「もう、いつまで待ってりゃいいのさ」
ふぅっとため息をついた時、ミズキの視線の先に、見覚えのある人物がいた。
今まで着ていた三城中の制服ではなく、この近くにある中島中学校の制服。紺のブレザー、白いポロシャツ。グレーのスラックスという制服に身を包んではいるが、178センチという身長に、がっしりとした体躯に坊主頭に近い髪型。
間違いない。高橋健人くんだ。
ミズキは、駆け寄る。
「健人くん」
「ミズキ、なんでここにいるんだ?」
「えとね」
とミズキは、話し始めようとするも、人影に気付いた。
高橋くんが、大きいのですぐには気づかなかったが、脇に長い黒髪をツインテールにした小柄な女の子がいたが、邪魔してはいけないと思ったのか、すぐにそばを、離れてくれた。
ミズキは、ツインテールっ子(名前がわからないからこう呼ぶ事にした)と高橋くんがなぜ一緒いたのか気にはなったが、理由は、後まわしだ。ミズキは、自分に起こった出来事をまくし立てた。
「僕にもわからないよ。学校から帰ろうとしたら、姉さんに捕まるし。いきなり、唯花に、お別れしなさいとかさ!ああ、もうよく分かんないうちに、このお家に連れて来られたの!」
ミズキと高橋くんの会話を聞こえたらしいツインテールっ子は、即座に回れ右をしてダダっと二人の所へ駆け寄る。
「ごめん。二人の会話聞こえたけど、このお家ってここの事か」
ツインテールっ子の勢いに押されて、ミズキはこっくりと頷く。
ツインテールっ子は、がっくりと項垂れ叫んだ。
「どういう事だ母さん。何も聞いてないぞ。とにかく、二人とも家に入って」
「「ええ!ちょっと待って」」
ミズキと高橋くんが同時に抗議の声をあげるが、ツインテールっ子は無視して二人を引っ張りいれた。
なんか、むちゃくちゃな事が起きそうな感じだ。