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第8話 聖剣と勇者

 「ブライ様が眠っていた500年の間に、魔術や剣術について変化が起きています。まぁ長い年月あれば当然なのですが・・・」


「あの、そのブライ様ってのやめてください。勇者とはいえ教えを受ける身だし、500年前の人間といっても、中身はまだ23歳なんですから。」


ブライは茶化しながら謙虚な姿勢を見せる


「わかりました。ではブライ、500年の間にどう変わったのか話しますね」


カイノス曰く、500年の間に世の中は便利になり、簡単な魔法こそ義務教育で習得することができるが、高位魔法を使えるのは一部の人間のみとなった。ラムタ国内に魔物の生息も少なりなり、自衛する人が少なくなったからだ。結果高位魔法を使えるのは軍人、警察、ギルドで仕事を請け負う流れの冒険者、趣味で魔法を覚えようとする者、魔法を使用する専門職人くらいらしい。


剣術も然りで、剣自体は進歩しているらしく、合金など、素材が豊富になり、安価で良い剣が手に入る様になり、肉体を強化する薬剤等も流通した。その代わりに剣技を磨くものも減った。全体的にはレベルは昔に比べレベルは落ちているものの、剣術の流派も増え、鍛錬を惜しまず剣技を磨いている者の中には圧倒的な力を持つものもいるらしい。現在勇者と呼ばれている者や、ブライを倒したフェーブルはその類らしい。


「ふ~ん。確かにあの竜人はまぁまぁ強かったかな~。」


ブライは強がってみせたが、丸腰とはいえ手も足も出ない相手に対峙したのは初めてで、勝ち筋を見いだせずにいた。


その強がりを見透かしてか、セレスが声をかける。


「今回ブライは負けてしまったけど、悲観することないわ。確かにフェーブルは強い。人族至上主義のラムタが唯一、1つの部隊を任せている人外なのよ。でも武器防具共に、装備が本当に重要な世の中なの。それに勇者の力を最大限に引き出せればこんなものじゃないわ。」


「勇者の力・・・?」


500年前、単独では人間最強と呼ばれていたが、他の仲間や、実力者と圧倒的な差はなく、1対1で魔王と戦おうものなら明らかに勝ち目はない。


「そう、勇者の力というのは本来はとてつもない力を秘めている物なの。その為には聖剣ブライアンの精霊の力を借りなければいけないわ」


「精霊ってのは、魔王倒した後に自力でジュベナイルに帰るアレ・・・?」


「そうよ、ブライアンには精霊が宿っていて、ただし簡単には剣から出てきてはくれないみたいね。伝書には存在は確認されているけど、姿を確認した者はまだいないらしいわ。」


「とりあえずブライアンをもう一回取りに行こう!ちょうど霊峰の下にいることだし。」


ブライは立ち上がり、すぐ側にある希望を掴もうと決意する。


しかし・・


「問題があるのよ。数年前かしら、聖剣の湖に頑丈な結界が張られていて、私の魔力でも破ることができないでいるの」


「なっ・・・誰がそんな事を?」


「その頃にマヤノ教団の魔術師団が山を登っていくのをみたからな、恐らくは教団の仕業であろう。ブライの復活を前に先手を打ってきたらしい。」


不満げな顔でカイノスが言う


「ん?マヤノ教って子孫たちで作ったんじゃないの?」


「いや、マヤノ教というのは、賢者マヤノが世界各地を回っている中でどこかの権力者が勝手に作ったものなんだ。創立時こそ人々の為に活動していたらしいが、いつしか金の亡者の集まりになり黒い噂が絶えん。私たちが人里離れて暮らしているのも、教団が私達を利用しようとするもんで、都会から離れることにしたんだ。」


「聖剣の結界を解くには、まずは教団から情報を得るしかない。そこでブライには教団に入ってもらいたい。IDは注文しておいたからな。明日にはできるらしいから、明日朝イチで出ようか」


その時、3人は険しい顔で玄関を見た


「・・・誰かこちらに向かっているな。」


「ブライ、隠れてて」


カイノス、セレスは立ち上がり構える


・・・コンコン


「どちら様?」


「突然すいません。カイノス様とセレス様のお住まいはこちらでしょうか?私は旅の者でして、頼みがあって参りました。」


外の男は礼儀正しく尋ねる


セレスが魔力を手に込め、カイノスがドアを開ける。


「お忙しいところすいません。私達は魔王討伐の旅をしている者で、私は勇者のカイル、こちらは戦士のソドンです。」


そこには10代半ばくらいの少年と、屈強そうな男が立っていた。


『嘘だろ・・・?勇者自ら乗り込んできたのか?』


誰もが勇者の謎を感じていた。ブライの持つ勇者の血は受け継がれない。勇者は世界に1人。たとえ召喚したとしてもブライがいる以上勇者が複数存在することは世界の摂理に反する。


答えは簡単だった。カイノス、セレスの目の前にいる少年はこの世界ではまごう事なく、勇者ではあるが、勇者の力は備わっていないのだ。本人が知っているかは不明だが、ブライのいない世界でラムタ国がでっちあげたのだろう。


「これはこれは勇者様、こんな辺境の地までわざわざどうも。本日はどういったご用件で?」


セレスは笑顔で対応する。


「はい。実は魔王討伐に向かっている中で仲間を探していまして、セレスさんに一緒に来てもらいたいんです。」


3人は口を開けて唖然とした。






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