表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

第7話 真実

「ゴボボボッ・・・ガボッ・・・ガハアッ・・・」


ブライは意識朦朧の中、ブライはデジャヴだなと思った。


1つ違うのは、川の冷たい水ではなく温かいお湯、そして眼前にはマヤノがあられもない姿で立ち尽くしていた。


「おお、マヤノじゃないか・・俺も・・・死んだ・・・のかな」


悲鳴と罵声がマヤノから飛ばされていた気がしたが、ブライは意識を失った。


・・・


次にブライが目を覚ました時はベッドの上だった。


見覚えのない場所。自分は炎に包まれていた筈だが、大きな火傷もなく、治療されていた。


「目を覚ましたようですね。痛むところはありませんか?」


ドアから初老の男が入ってきた。ブライは不振がりながらも尋ねる。


「あの、ここは?」


「ここは私の家です。霊峰ジュベナイルの麓に位置しております。」


ニコニコと男は答える。


「申し遅れました、私はカイノス。あなたが我が家の風呂に落ちてきたのでね。手当てさせて頂きました。」


「風呂に・・・!そうだ!マヤノがいるんですか?」


ブライは意識を失う前の記憶を思い出した。


「そのことについて聞きたかったのですが、あなたはもしや、勇者ブライ様ではないですか?」


ブライは名乗ることに慎重になっていた。先の戦いも自分を狙う者からの襲撃であった為だ。


口をつぐんでいるブライを見たカイノスは心情を悟る


「安心してください。私はラムタ王国関係者でもないですし、あなたを狙う理由はありません。あなたが見たのは私の娘のセレスでございます。賢者マヤノは私の祖先にあたります。」


「そう・・ですか・・・そうです。俺はブライです。500年前から来たみたいで・・・」


マヤノもこの時代に来ているのかと思ったブライが事実を知り少しショックを受けていると、部屋のドアが開く。


「お父さん、変態覗き男は起きたの~?」


「こ、こらセレス!」


見れば見るほどにマヤノそっくりな女性が入ってきた。ブライに罵詈雑言を浴びせようとするセレスにその変態が勇者ブライであること、覗き行為ではなく、襲撃に合い崖から落ちてきたことを説明し、部屋から追い出す。


「勇者様申し訳ない、セレスも悪気があったわけではないので。」


「いいんです。入浴中の風呂に入ってしまったのは事実ですし、治療までしていただいてありがとうございます。」


紳士を装っているが、ブライにとって母親以外の女性の裸を見たのは初めてで、心の中ではセレスにお礼をしていた。


「目を覚まさなかったらどうしようかと思いましたよ、なにせ8日も眠ったままだったので。」


「8日!?いてて・・・そうだあいつ等・・・ダノンさんは・・・」


「ダノンさんというのは、お連れの方でしたか?先日襲撃をうけたであろう場所を見に行ったのですが、その・・・生首が落ちていて、私が埋葬しておきました。」


「この時代に来て色々助けてくれた方なんです。それなのに巻き込んでしまって・・・埋葬していただいたんですか、あとで案内してもらえますか?」


「お安い御用です。」


痛む体を起こし、ブライは立ち上がる。


 「ブライ様に少しお話がありまして、とりあえず出発前に食事をとりながらでも」


そういうとカイノスはドアを開ける。


「改めて紹介しますが、娘のセレスです。この子も賢者マヤノ、オグリの血を引いているので優秀な回復術死です。ブライ様の怪我もセレスが治療致しました。」


「先ほどは勇者様とは知らず失礼な態度をとり申し訳ありませんでした。セレスと申します。」


先ほどとはうってかわって礼儀正しく挨拶され、ブライも応える


「いえとんでもない。治療ありがとうございます。ブライです。」


3人は食卓を囲み、カイノスが話を始める。


「私たち一族はブライ様の目覚めを500年まえよりずっと待っていました。」


そういうとカイノスは一枚の古い紙を出す。


紙にはこう書いてある。


【マヤノよ、この手紙をお主が読んでいるという事はワシはもう死んでいるだろう。ラムタ王はブライの命、もとい勇者の血を狙っておる。わしはブライを助けに行くが、うまく助けられないようであればブライに500年石化の呪いをかける。勇者の血を悪しきものに渡すわけにはいかんが、絶やすわけにもいかん。ブライが500年後目覚める時、魔王復活の際にワシの子孫が勇者の助けにならなくてはいけない。マヤノよ、この事を子、孫、何代にも渡り語り継いでいくのじゃ。そしてマヤノよ、この事は決して外にもらしてはいかぬ。ラムタ国に漏れた場合逃げ切るのはむずかしい。グルケトやライシャも含めて誰も信用してはいかんぞ。そして、強く、正しく生きてくれ。】


「オグリのじいさん・・・」


ブライは全て思い出した。タイムスリップしたのではなく、絶体絶命の状況で石化の魔法をかけられ、谷底に落として逃がしてもらったのだ。次の魔王討伐を託して。


「この手紙の通り、我々はあなたの助けとなるため、お待ちしておりました。ですが、世界は変わりすぎています。魔王も脅威ですが、ラムタ国も大きな脅威です。」


先のフェーブルの様な敵だらけなら魔王軍以上の脅威であることは明らかだ


「ありがとうございます。俺には知らなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことがまだ沢山あります。それに、強くならなきゃまた負けちまう。これ以上世話になった人を死なすわけにはいけない。こちらこそよろしくお願いします。」


ブライは固く決意し、カイノス、セレスと固い握手をする。


「しばらくはここで修業をしましょう。私も魔法、剣術共にできる方ですので。あとは、生きていくには勇者ブライのままでは不可能です。偽造IDが必要ですね。この近くのドムス街というところでそういった物を取り扱っている者がいるので、作りにいきましょう。」


・・・


ブライはダノンの墓前で固く誓う。オグリが守ってくれた命、マヤノが残してくれた仲間と共に悪を打ち倒すと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ