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第6話 ドラゴン・デジャヴ

-ダノンの家-


 「ふんふふ~ん♪」


思わぬ大金が入ったダノンはご機嫌だった。


「ん~、しばらく漁出なくても生きていけるよな~。」


と、今後の幸せなライフプランを考えていると、ノックの音が鳴る。


「はいよー、どちらさん?」


開けると身なりのしっかりした竜人族の男と、数人の兵士がいた。


「訪ねたい事がある。先ほどムンバに古金貨を持ってきた者か?」


「ああ、そうだけど」


「非常に貴重な物なのでな、入手経緯など詳しく聞かせてもらいたくてな。」


「ああ、迷子かな?タキシードを来た若者がボロボロなのを助けてやったらお礼にってくれたんだよ。」


「なるほど、その若者の名前はわかるか?」


「ブライだよ。なんでも首都目指してるんだってよ」


「ほう」


・・・書庫前にいたのがブライだったか。戻らねばな。


「貴重な情報、感謝する。礼を受け取って欲しい。外に出られるか?」


竜人の男は笑顔でダノンを外に出るよう促す


「おっ、なんかもらえんの?」


ダノンは嬉々として言われる通り外に出た。


「ああ」ニヤリ


竜人の男は出てきたダノンに素早く剣を振る


・・・


「まだ遠くには行っていないだろう。ブライを追うぞ」


そう言うと竜人の男はダノンの家を後にした。



 さーて、地図も買ったし、バイクも良好!風が気持ち良いな~


ブライはムンバを後にし、バイクをで首都に向かっていた


ムンバより北東に進むと険しい山があり、それを越えなければ首都方向には行けない。しかし。


「ははは、トンネルできてら。罰当たりー」


霊峰ジュベナイル、頂上には歴代の勇者の墓があり、墓中央の湖の底には勇者のみが手に取ることができる聖剣ブライアンが封印されている場所だ。魔王討伐後、剣は意志を持ちジュベナイルへと帰る。偶然か必然か、ブライは自分の名前が冠されている剣に親近感を覚えていた。


俺の墓ってあるのかな?情報は少しでも欲しいな・・・あと聖剣も!


そういうとブライは登山道を登って行った。中腹まではバイクで行けたが、その先は道が険しく、徒歩で行こうとバイクを停めたその時。


「止まれ!」


後ろを見ると数人の兵士がいた。


「何か用か??」


ブライは尋ねる。


「先ほどムンバにて金貨を換金していた男と話していた者だな?」


「そうだけど?」


ブライは上から目線の兵士に多少イラつきながらも、同時に兵士の多さに不信感を抱きつつ答える。


「あの男はどこで金貨を手に入れたか知っているか?」


「それが人に物を尋ねる態度か?偉そうにすんな!」


ブライは乱暴な人間ではないが、気が長い方でもない。


「貴様!ラムタ王国軍にそのような態度を!」


兵士側も怒りを露にする。一般人と軍人では身分の差があるらしい。


「捕まえて吐かせればいい。総員、構え!」


号令がかかり兵士が陣形を取りながら近づいてくる。


「素手だからって舐めんなよ・・・!モブを一掃するくらいの魔力はあるんだぞ?」


ブライは両手に魔力を込める。


勝負は一瞬だった。


ブライが両手を地に着くと、兵士たちのいた場所の地面が隆起し、次々と兵士は吹き飛ばされた。


「へっへーん、なめんなよ!」


「くそ!こっちが勇者ブライだったか・・・」


「あれ?もうラムタに俺の事バレてる?」


ブライは自分の存在がこの時代の物に知られている事に焦りを覚えた、しかし、それ以上に気になる事があった。


「お前ら・・・ダノンさんにも手荒な事してるんじゃないだろうな?」


近くの兵士にそう問い詰めようとした時、上空にいる翼の生えたお男が声をかけて来た。


「部下たちを随分可愛がってくれたみたいだな。勇者ブライよ」


「フェーブル様!申し訳ありません!捕らえようと思ったのですが思いのほか手強く・・・」


フェーブルと呼ばれるその男はゆっくりと地上に降りてくる。


「あれは・・・竜人族だな。本には今のラムタは人族至上主義って書いてあったけど、他種族の兵士もいるんだな」


「はじめまして勇者ブライ。王からの命令な。貴様を捕らえるか、殺めなければならない。」


「王国軍人風情が言ってくれるぜ。簡単にいくと思ってるのか?」


「あと、先ほど話していたダノンさんとやらだがな・・・」


そういうとフェーブルは包みをブライの方へ投げた。


「ッ・・・・・」


包みは地面を転がり、ブライの手前で開いた。中に入っていたのはダノンの頭だった。


「ダノンさん・・・・!ちくしょう・・・なんで・・・おい!この人は関係ないだろう!」


「勇者ブライを知る者に生きてもらっていても困るのでな。深い付き合いではないのであろう?気にするな!ハッハッハ!」


ダノンとは長い付き合いではなかった。しかしブライは一宿一飯の恩は絶対に忘れない。何より、自分のせいで巻き込まれてしまった事に深く後悔した。


「ダノンさん・・・俺が軽はずみだったッ・・・本当にすまない・・・」


悲しみは怒りにもなる。


「この野郎・・・絶対許さねぇからな・・・ぶっ殺してやる!」


そういうとブライは全身に魔力を込め飛び掛かる。


しかしフェーブルは動きを完全に見切り、確実に剣を首元に運ぶ。


ギィンッ!!


鈍い音と共にブライは吹き飛んだ。しかし首は繋がっている。魔力で全身の強度を上げていたのが幸いした。


「ほう、今の一撃を耐えるとはな。」


「クッ・・・強ええ・・・グルケトの非じゃねえな・・・魔王くらい強いんじゃないか?」


距離を取るブライはいつのまにか崖際まで追い詰められていた。


「あれ?デジャヴ?ま~た崖か。崖に追い詰められるの好きだな俺。って、冗談言っている場合でもなさそうだな」


「フン、どんなものかと期待したが、500年前の勇者など、所詮はこの程度か、もういい、死ね」


そういうとフェーブルは剣に炎を纏わせ地に刺した。


「業火に焼かれて死ぬが良い!爆炎轟竜!」


すると地面から炎の竜巻が起こり、ブライを巻き込んで爆発し、ブライは燃えながら吹き飛んだ。


「クソッ・・・今回こそ死ぬかな・・・ダノンさん、オグリのじいさんすまねぇ・・・」


ブライは炎に包まれ崖の下に消えていった。


「爆炎轟竜を喰らって生き延びる者はいない。そしてこの高さだ。死体すら残らぬだろう」


「よし、王宮に戻り報告だ。」


そういうとフェーブル達は山を下りて行った。

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