第13話 勇者、復讐を誓う
男2人の二日酔いでまる一日休養をとることになり、ネイサンとの約束の日を迎えた
合言葉を伝えネイサンの部屋に入る一行
「ようこそ、よく来たね」
ネイサンが笑顔で迎える。
「何かわかったか?」
「ああ、だいたいの事は掴めた。」
「代金は持ってきた。話してくれ」
「ああ、まずは聖剣の封印だが、教団で間違いないだろう。封印した理由が、どうやら勇者カイルは勇者の血を引いてないらしくてな、本物の勇者の手に渡らない様にする為らしいな。その本物の勇者の名前がブライという名で間違いはないな?」
「もうブライの招待を知ってしまったか、お前さんの情報収集能力には脱帽するのう」
「これくらいは朝飯前ってもんですよ。で、続きですがね、封印した人物なんですが、1人じゃないんですよ。教団7幹部のうち3人、エルム、ザイーグ、ロレンの3人でね、回復術をメインにしている教団の中でも呪術に長けた3人の仕業でした。」
「ほう、よく聞く名前だな、解く方法はあるのかい?」
「2つあります。1つは3人が再び封印を解く術をかける事、もう一つが・・・」
「3人の術者が死ぬ・・・か。」
「ご名答です。呪術は常時発動型なんでね、術者が死ねば封印は解けます、ですが3人ともかなりの実力者、一筋縄ではいかないでしょうし、裏でも表でも有名人ですからね、簡単には会えないでしょう」
「ふーむ、居所は掴んでいるのか?」
「エルムはちょうど近くの支部に来ているみたいですね、キュリオ地方の教団支部で教徒への講演を行っているみたいです、ザイーグはガルバディ共和国の方へ布教活動へ出発し、ロレンに関しては教団本部にいるらしいです。」
「そうか、ありがとうよ、ホレ、残りの代金だ」
カイノスは成功報酬をネイサンに渡す
「毎度、そうそう、今回の封印の件ね、恐らくラムタ王国政府が関わっている事は間違いないと思います。くれぐれも気を付けてください。頼りになる調査員や情報屋も何人か行方不明になってしまってね」
「そうか、すまなかったな。お前さんは大丈夫なのか?」
「まぁ、私は用心してますからね、ここが割れることはないでしょう」
「今回の件が片ついたら美味い物でも食べに行こう、世話になったな」
「死亡フラグ立てないでください」
ネイサンは笑ってツッコむ
「カイノスさんは上客さんですからね、まだまだ使ってもらわないと」
「現金な男だな、とにかく世話になった。またな」
4人はレストランに移動し、作戦を練る
「キュリオか・・・距離は遠くないが教団と構えるには戦力的にちと厳しいの」
「そんなやばい奴らなの?」
「教徒全員がある程度鍛錬しているので一般人よりは強く、信仰心も厚くてな。マヤノ教の為なら命も投げ打つ様な危険な連中だ。さらに幹部が7人いてな。それぞれが王宮師団の団長と同等くらいに強いという噂でな。これから相手にする3人は剣士ではなく魔術師だが、どちらにせよ強敵だ」
「説得して解いてもらうってのは?」
「おそらく無理でしょうね。ブライに剣を渡さない為なんだから」
「さて、正面突破は無理だろう。教団に潜入して内部からエルムまでダイレクトにたどり着く必要がある。しかし私とセレスは顔が割れている。そこでブライとミロクの出番な訳だが・・・」
「ミロクはなにすればいいのー?」
「こんな戦闘狂連れてって大丈夫?」
「まぁ、作戦がある。長くなる、宿に行こう」
作戦会議は深夜まで及んだ
翌日・・・マヤノ教団キュリオ支部前
「うわぁぁぁん、お兄ちゃんが・・・グス・・・誰か助けてぇ」
ミロクは大きな声で泣き叫び、ボロボロのブライを運んでいた
「あらあら、小さな子が泣いて、どうされましたか?あら、後ろの男の人、ひどい怪我じゃない!治療するわ!2人とも中へ」
ブライはアバラが折れ、裂傷もあり、重傷であった
「どうしてこんな怪我をしたの?」
「うぇえええん、武器をいっぱい持った人に囲まれて・・・みんなでブラ・・・お兄ちゃんをなぐったのー」
前日の出来事だった
「ここまでが侵入の作戦だ。質問はあるかな?」
「いや、怪我するって・・・俺がだよね?どうやって?」
ブライの後ろには杖を持ったセレスがニコニコとしていた。
「え・・・いや、嘘でしょ?」
「ブライよ・・・すまんな。教団なら優秀な回復術師がたくさんいるはず。少し我慢してくれい」
「もっと他に方法とかあるんじゃ」
「ないわ」
マヤノは肉体強化の魔術を自分にかける
「なるべく痛くしないから、我慢してね」
「ブライ、がんばってー!」
「ちょま・・・・あああああああああああああ!」
時は現在に戻る
・・・ぜってぇ許さねぇ・・・この件が終わったら絶対セクハラしてやるからな・・・
治療室へと向かう担架の上で意識朦朧の中ブライは復讐を誓う