こんな青春もうやめたい
峡南高校入学初日俺の青春が終わった瞬間だった。
【1週目】なんてことない殺人鬼
峡南高校1年長月 鬱実は、入学式へ向かっていた。
「全然時間に余裕があるな」そう思い近くのコンビニに立ち寄った。
今思うとこれこそが間違いだった。
コンビニに完全に目の逝った男が銃を振り回し入ってきたのだ。
「ある意味奇跡的だな。このご時世こんなテンプレの殺人鬼がいるなんて」
と言っている場合じゃないこのままだど普通に死ぬ。
男はところ構わず銃を発砲しあろう事か俺に向かっていた走ってきたのだ。
「ヤバイ死ねほどついてない」
全力で近くの棚に逃げ込むが必要以上に俺を追う。
仕方ないと思い棚で角待ちしてその男の腕を固めて銃を取り上げた。
ここまでは良かったこれだけなら「殺人鬼を止めたヒーロー」とかで取り上げられるだけだろうしかしその男は自分で口に銃を構えて撃ったのだ。
パシャリ
ああやりやがった。
1人のサラリーマンが俺の事を写真で撮ったのだ。
その写真には多分1人の高校生が男性を撃ち殺したように写っただろう。
そんな入学初日俺は取り調べの為に警官と語り合った。
【2週目】エリートボッチと運の悪い女
あれから1日遅れて俺は入学する事になった。
目撃者もいて俺の無実になったが問題はそんな事じゃない。
あのサラリーマンが撮ったの写真がネット上で出回ったのだ。
俺が教室に入るともちろん教室はざわついた。
ネット上にはあの写真だけが上げられており住所までは特定されなかったがもちろん俺は学校でボッチになった。
べ、別に小中学生の時に友達がいなかったから誰も知り合いのいない学校で友達作りたかったわけじゃないんだからね(ツンデレ)
確かに俺でも思うこんなに黒髪で死んだ魚の様な目をしていたら近ずきたくない。
ともかくタダでさえ人と喋るのが下手なエリートボッチに殺人鬼というレッテルが貼られた時点で俺の青春が終了の鐘を鳴らした。
「この3年間もボッチで過ごさなくちゃならんのか」
思わずため息が出た。
「おい!長月ってお前だよな」
「おお初めて声をかけられた」と歓喜する俺ではない。
目の前の光景を見てそう言える人はいないだろう。
ゴリゴリの不良が3人ほどこちらを見て話しかけてきたのだ。
多分学校にいる殺人鬼とやらをボコボコにして武勇伝として不良仲間に自慢するのだろう「大事なことなかったぜ」とでも言って。
「何でしょうか先輩方長月なんて奴は知りませんが?」ここは知らんぷりするのが正解だろう。
「そんな訳はないしお前が長月じゃ無くても関係ない今日の放課後体育倉庫へ来い」
わーおこんな状況で告白でも期待すれば良いのか多分行っても行かなくてもボコられるのは確定事項なのだろう。
「分かりました」
そう告げると不良の3人は帰っていった。
〜数時間後〜
俺はある者と少し話をして体育倉庫に向かった。
案の定俺は手足を縄でくくられてボコボコにされた。
あばら骨に激痛が走るが折れるほどではない。
その後30分にも及ぶリンチが行われた。
「あなた達何をしているの」
声がした。
体育倉庫の重い扉を開けて勇敢な女の子が俺を助けに来てくれたのだ。
「や、ヤベェ生徒会長だ、にげるぞ」
不良は全力で逃げ帰っていった。
「来ないかと思ったぞ万引き犯」
「よく言ってくれるわ殺人犯」
「あれは冤罪だ」
俺は朝コイツに会っていた。
時は遡ること1日半。
俺は朝の事件の時に同じ制服の女を見つけた。
その女は【タマゴサンド】を鞄に入れて自動ドアを出ようとしていた。
奇跡的だ同じ学校の万引き犯ととんでもない殺人鬼に遭遇するなんて。
「おい!お前そのままその自動ドアを通ると警報がなるぞ」
「君は私が万引きしたとでも言うの?」
「その発言は盗ったという事の証明になるぞ」
その場には沢山の人混みが出来ており「おい!お前」なんて曖昧な呼び止めに反応するのは心当たりがある奴だけだろう。
「だからといって私が万引き犯という証拠は無いでしょう」
やけに落ち着いていた対処で何度も繰り返している様子だった。
「いや俺さっきスマホ撮ったんだよ万引きしてる所」
もちろん嘘である。
だが撮られたと言われたら完全に不利になる。
「別に学校に渡なねーよ」
「じゃあ君は何が目的なの?」
「生徒手帳を見せろ」
「え?嫌よそんなこと」
当たり前だ個人情報のほとんどが載っている生徒手帳を赤の他人に見せるアホはいない。
「じゃあいい。学校側にこれを出しに行く」
「分かった見せるから」
どうやらこの女は3年霧山 霞、生徒会長をしており学校では容姿端麗、成績優秀で通っているらしく確かに万引きなんてしてる事になれば全ての地位が剥奪される。
「分かった後もう1つ俺が連絡をしたら指定の場所へ来い」
「それでもういいのね?」
「ああ」
とこんな感じで生徒会長を脅して助けて貰った。
それより今の状況だ。
目の前の生徒会長は俺の縄をほどかずに俺のスマホを取り出し手際よくロックを解除していた。
あるはずのないデータをさがして。
【3週目】形勢逆転・攻守交代
翌日俺は平穏な時間を過ごしていた。
窓側1番後ろの席で授業中でも常に暖かい日差しが窓から差し込んでくる。
「最高だ」
もともと小中で人間関係には失望していたし高校に入ってもしかしたらと思っていたがどどのつまり人は成長できないし、しようともしない。
3年間1人で何事も無く過ごせれば良い。
そして昼休み、事件は起こる。
「長月 鬱実君至急生徒会室まで」
何故こうなる俺になんの用があると言うのだ。
「仕方ない行くしかないな」
それは唐突だった。
「生徒会に入れ」
「お断りします」
0、1秒もかからずにその返事は出た。
「君に拒否権は無い。もし断れば君の住所をネットに晒す」
俺のスマホをいじった時に全て情報をコピーしたらしい。
「放課後に生徒会室だ必ず来い」
その先は無かったが来なかったら本気でネットにぶちまける気なのは充分に伝わった。
放課後の生徒会室には他の人がいた。
計2人全員が全員知らない人が入ってきて困惑してしているようだった。
適当に会釈して席に着いた。
「今日から生徒会に新しい人員が加わる事になった。各自自己紹介でもしてくれ」
2年年生 会計 服部 京
3年書記 沢辺 麗・会長 霧山 霞
「俺いらなくないか?」
「君には特別な役職に就いてもらう。治安維持だ」
なんだよそれ、そんな役職聞いたかもないぞ。
「君の経験どうりあまりこの付近は治安がいいとは言えないその警備に当たって欲しい」
「あのリンチにあった被害者がそんなことできないだろ。他をあたれ」
「嘘だな。君はわざと抵抗せずに捕まったはずだそして君は殺人鬼を拘束できるレベルまでの強さを持っている」
見られていたのか。
「多分問題ごとを起こさなくなかったのだろう?」
そんなこんなで俺は脅迫され厄介ごとを押し付けられる羽目になった。
翌日早速俺は体育倉庫に呼び出されていた。
告白とかなら胸をときめかしたのかもしれないが生憎目の前にいるのは某不良の3人。
「話ってなんですか?」
「とぼけてんのか○すぞ!」
不良っぽいセリフを吐きながらまたリンチにしようとする。
この場で選ぶべき最良の選択は。
「逃げる」
その場から全力で逃げ去った。
勿論不良達も追いかけてくる。
体育館から出て本校舎へ逃げて不良を巻こうとするが巻けない。
「仕方ない。あの方法を使うか」
俺は一階の教室を逃げ回り目的の教室に着いた。
ゴンッ
ヤバイ。
足を扉にぶつけてこけてしまった。
不良達は息を切らしながら胸ぐらを掴んで殴ろうとした瞬間。
「どうした?何事だ?」
その教室から先生がわらわらと出てきた。
「おい!お前何している!」
ガタイのいい3人がもやしっ子1人をリンチする寸前だったんだ、そりゃあ止めようとする。
その後生徒会長の過去の目撃証言もあり一時的に停学となった。
「なるほどな。その場から逃げ出し、職員室の扉を蹴り、こけたフリをして先生方を呼び押せたのか。回りくどい事をしたな。」
「俺はあんな不良たちとケンカして勝てないからな」
「嘘つけ。まぁこれで不良達の態度も改まるだろう。初任務ご苦労だった」
「この仕事は俺には向いてないと思うぞ」
「不良から逃げ切れるその足。いざ実行に移す度胸。この計画をすぐに思いつく頭の回転。これだけあれば十分だ」
「買い被りすぎだな」
「まぁ次も頑張りたまえ」
こんな運に見放された俺の高校生活が始まる。