はじめまして、こんにちは
夢を見た。
この世界の物語をまるで走馬灯のように。
…あれ?
私ってばもしかして、2度目の死亡ですか?
魔法が使えることに興奮し過ぎて、まさかの暴走!?
チート機能搭載ではなかったのだろうか、失敗した。
そして、夢の終わりを感じ、ゆっくりと目を空けると、そこには見慣れない2人の麗しい男女の姿があった。
「目を覚ました!!大丈夫かい!?どこも怪我はしていないかい。
あぁっ!!なんて愛らしい瞳なんだ!きっと君に似たんだね!!」
「ちょっと落ち着いて。この子が驚いているじゃない!
…ごめんなさいね。こうやって近くで貴女に会えるのが嬉しくて暴走しちゃったみたい。」
「は、はぁ」
なんと答えたら良いかわからず、曖昧な返事をしてしまった。
それよりも気になることが…
「あ、あの。1つお聞きしても宜しいですか?」
「何でも聞いてくれ!!」
食いぎみで声を掛けてきたのは、金髪碧眼の正統派王子様の成りをした20代半ばくらいの男の人だ。
「じ、じゃあ、お言葉に甘えて。
ここ、何処ですか?もしかして、天国だったり…とか…?」
ちょっと不安になって俯いてしまった。自然と語尾が弱くなったのは仕方ないと思う。
「え。
あれ?ここのこと、覚えてない?
じ、じゃあ、もしかして、僕たちのこと も…?」
「はい。
あのぉ、どなたなんでしょうか?」
上を向こうと、ゆっくり顔を上げようとしたら、慌てたような声が降ってくる。
「じゅりー!!ぼ、僕らのマリーが、マリーがぁ~~!!!」
ゴツン!!!
頭上で盛大な音がして、ビックリして2人の方を見れば、右手を握りこぶしにした女の人の傍らに、頭を抱えて蹲る男の人がいた。
「記憶がなくて当たり前でしょ!
私達が何のためにここにやってきたと思うの!?」
どういうことだろう。
私がこの世界での『私』の記憶がないことと何か関係があるのだろうか。
私が怪訝な顔をして見つめているのに気付いたのか、銀髪に濃紺の瞳をした20才くらいの女の人が申し訳なさそうにこちらに近付いてきた。
「説明が遅くなってごめんなさい。
私はジュリエンヌ。ジュリーと呼ばれているわ。こっちはディークリート。ディトよ。
」
「ジュリーさんと、ディトさん。」
「えぇ。貴方は私達の娘なの。」
「そうなんですか。………って、え!!!?」
サラッと重大な秘密を言われ、一瞬聞き流すところだった。
なんだ、そのびっくり話!!
そして、ジュリーさんは、懐から何かを出してきた。それは、先程の夢で見た水晶のペンダントにそっくりだった。
「記憶がないのは、これのせい。
生まれたばかりの貴方はその力の大きさから制御しきれず、暴走してしまった。
そのままでは身体と精神が持たなくて、死んでしまうかもしれなかった。
だから、神様がこの場所につれてきてくれたのよ。」
「神様…?」
なんだか、思い出しそうで思い出せない、喉の奥に骨が刺さったような感覚が、私を襲う。
「今の貴女なら、きっと大丈夫ね。
これは貴女に返すわ。」
そして、そっと手のひらに、そのペンダントを置いた。
その瞬間、私は全てを思い出した。
そうだ、私はあの世界の交通事故で死んだとき、この世界の神様に呼ばれたのだ。
この2人の娘、マリエリア。
そう、マリーとして生まれ変わるために。
そんなわけで、両親の存在がじわじわとわかってきました。
そして、今までで一番会話らしい会話をしている回です!!そのせいか、ちょっと残念な父親像が出来上がってしまいました。
あれ、おかしいな…