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ディーという人

私はとぼとぼと自室に向けて足を進めた。

色々と話を聞いたことで、わかったこと、繋がったことがある。


…でも、気持ちは全くスッキリしなかった。

むしろ、知ったことでますますディーの存在が遠くに感じた気がする。


今までは、王子とは思えないほどフットワーク軽く私に迫ってきて、あれやこれや気付けばお城にまで来る羽目になった。



気さくで、優しいかと思えば強引なところもあって。まるで、友達のような距離感で。

…なのに、ドキドキもさせられて。



惹かれてはいけない人だとわかっていても、嫌いになれなかった。


ここに来て、嫌でも気付かされた。


ディーは…ディースレイドという人は、この国の王太子なのだと。

私なんかとは違う、遠い存在なんだと。





私は…確かに生まれは相当特殊で、しかも前世持ちで。

魔力量も多ければ、4大精霊に祝福されてるなんてチートを発揮している。


でも、私は自分が楽しければそれでいい、と思いながらお一人様生活を満喫してきた。いや、正確には1人じゃないけども!!



ディーに手を貸したのも、森に捨てられた子達を拾ったのも、 ただそうしたかったから。

ある意味自己満足でしかない。


ディーのように、国のことを考えて、だとか、未来を想ってなんて考えたこともなかった。


…こうであればいいな、とか、こうしたら皆で楽しく過ごせるよね、とか。私はそんなに頭が良いわけじゃないから、皆に知恵を出してもらって、前世の記憶を利用して、魔法を堪能して、毎日楽しく生きられたらいいなぁなんてくらいにしか思ってなかった。


「…も、なんなの……っ?」


私は、ディーに相応しくない。

彼には、もっとしっかりと国の未来を一緒に見て考えられる人が隣にいるべきだ。私なんかじゃなく…それこそ、ルルージェさんのような、見目麗しくて、賢い気品にあふれた女性が…。



ルルージェさんは、私とは何にもないのだと言ってくれたけれど、周りが彼女を推した理由はわかる。

彼女なら、確かに未来の妃殿下に、相応しい。



ツキンと胸が痛んだ。



これは、恋じゃない。

…まだ恋なんかじゃない。


だから、だからお願い。

今のうちに、私を見放して。私のことなんか忘れて?

私が愚かな人間になってしまう前に……。





「そこにいるのは、もしかしてマリー?」




ーあぁ、神様はなんて残酷なんだろう。

今一番会いたくない人に会わせるなんてー

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