幼馴染みの…?
何故、どうして。
いくつもの疑問が脳裏を過る。
まさか、出会いから全て仕向けられていた?
あの優しいルルージェさんは嘘の姿だったの…?
不信を露にする私の心に反応するように、ルイ達が警戒を強く示すのがわかった。
わかってる。本当は私が冷静にならなくちゃいけないことは。
でも、先程のご令嬢の一件から胸がざわざわとして落ち着かない。
困惑する私の様子を気遣うように、一歩引いた場所で立っていたルルージェさんは、ゆっくりと私に近付き、声を掛けてきた。
「色々と聞きたそうな顔ですね。
私も貴女と話したいと思ってここに来たの。
…とはいえ、ここは話をするのに向かないわ。
少しお時間を頂いても宜しいでしょうか、マリエリア様。」
そう言って、優しい眼差しを向けて手を差し伸べるルルージェさん。そこには、計算とか策略とかは感じない。真っ直ぐな誠実さが感じられた。
うん。グタグタ悩んでいても、解決しない。
私は、私の直感を信じよう!
…それになにより…ルルージェさんの背後では、あの時の精霊ちゃんが心配そうにこちらを見ているから。
きっと、ルイ達が怖いだろうに、必死で主を守ろうとしているのがわかった。だから、私はルルージェさんは大丈夫だと思った。
私の背後で今も警戒しているルイ達に私は一度視線を送るとこくりと頷く。
それで察してくれたみたいで、ふっと和らぐ気配を感じた。
「ルルージェさん、突然のことで取り乱してしまい申し訳ありません。
ぜひお話させて頂きたいです。…でも、少し待っていて頂けますか?そのことを今の保護者に伝えなくちゃ。」
「…保護者?」
ルルージェさんがキョトンとしている。
どうやら、レイニー様のことはあまりご存知ではないみたい。
「ええ。過保護なお母さんみたいな人が。」
「…風の精霊様よりも…?」
今度は私がキョトンとした。
次いでクスクスと笑ってしまった。
「ふふッ。ルルージェさん、言いますね~。
いやいや、流石にルイには敵わないですよ!」
『…おい』
後ろで嫌そうな声が聞こえたけれど、それすらも楽しくなって私はルルージェさんと顔を合わせてさらに笑ってしまった。
笑いが収まると、ルルージェさんは早速行動に移した。
「…では、一先ずその保護者さんに許可を取るところから始めましょうか。
私は、先に部屋に戻り準備をして参ります。
客室の一室をお借りしていますが、マリエリア様付きの侍女に訊ねればわかると思いますので、案内して貰って下さいませ。」
「あ、はい。わかりました。
では、また後程!」
「えぇ、また後程お会いしましょう。」
そう言ってそれぞれ別れた。
てっきり付いてくるかと思ったけれど、そこはしっかり線引きがあるのかも…と思った。何しろ、私は『最重要機密』らしいので。…なんか重々しいな。
それに、魔研は部外者厳禁といった雰囲気があるし、何より城から遠い。むしろ付いてくると言われたら、戸惑ったかもしれないからこれで良かったのかもね。
そうしてレイニー様の元に戻り、事の顛末を話すと、はぁ~っと長い溜め息をつかれた。
な、なぜっ!!!
「…あんた、何のための護衛だと思ってるのよ。そういういらない諍いを避けるために付けてるのに、自ら遠ざけるって自覚足りなさすぎよ。」
「…わかってますよ。
でも、あの時は……っっ」
一人になりたい気分だったんだもの…。
私の落ち込んでいた気持ちを宥めるように、頭をぽんぽんと撫でられた。
「…わかってるわよ、何か事情があったんでしょ?それを責めるつもりはないわ。
ただ、あんたがここでは重要人物だってこと、忘れんじゃないわよ。もしどうしても護衛や侍女と距離を取りたいんなら、あんたの精霊様達に頼みなさい。
マリー付きの侍女や護衛として話を通しておいて上げるから。」
「…レイニー様…。
何から何までありがとうございます。」
「しおらしいマリーなんて、調子が狂うのよ。
さっさと元気出して、私の手伝いしてちょうだい。」
突き放すような言い方をしているけれど、私の為に言ってくれてるのがわかって、私は嬉しくなった。
「レイニー様って、いい人ですよね。」
「…っはぁ!?何言ってるんだか…っ。
いいから、さっさと準備しなさい!!
ルルージェを待たせてるんでしょ!?
今日はもういいから行ってらっしゃいな。」
「はーい!
…って、レイニー様、ルルージェさんのことご存知だったんですね。」
「まぁ、同じ公爵家の人間だしね。
…幼馴染みのようなものよ。」
「へぇ~。」
なんだか、不思議な感じだ。
色々と聞いてみたいけれど、ルルージェさんを待たせてしまうのは本意ではない。
私はすぐに私付きの侍女さんに声を掛けて、ルルージェさんの元へ案内してもらうことに。
レイニー様の提案を早速取り入れ、事後報告という形でアリアに顕現してもらい、護衛としてついてきて貰った。…ルイは目立ち過ぎるので今回は姿を消してついてきて貰うことにした。
正直、私の守護精霊は隠密に向かないのよね。。
見目が良すぎるのよ、皆して!!
アリアはまだ母様の侍女経験があるから紛れることが出来るけれど、あとはどうしよう…。フェイなら護衛として、なんとかなる…かなぁ?
そんなことを思いながら、私はルルージェさんの元へ向かったのだった。
またまたお待たせしております…。
煮詰まっているというか、プライベートが詰まっているというか…( ̄▽ ̄;)
執筆の手をやめて、ここ最近は読み専になっていたのも原因の1つでしょうね…。読者様には申し訳ないです…。
その癖、同時に3作品あげるという暴挙(笑)
最初の作品である今作。
なんとか先に進展させたいところですが、気長にお待ち頂ければ幸いです…っ。




