話し合い
正直、どうしていいか、全くわからない。
どんなことをしても取れないのだから、ここはおとなしく従う他ないと頭ではわかっている。
でも!こんな騙し討ちで連れてこられて、今更チャンスを欲しいとか頭を下げられても……っ。
……って!!そうだった、王族に頭を下げさせてしまったわ!
「あ、あの、ディー。
…この手離して…?」
「………………なら……」
「…へ?」
「突然、逃げ出したりしないと誓ってくれるなら…」
そう言いながらこちらを切なげに見上げてくるディー。
………なんだろう、この物凄い罪悪感。。
目の前で跪くこの人が、なんだか捨て犬のように見えてきた。うぅぅ、私こういうのに弱いんだってば!!
「……~っわかった!
ちゃんと話聞くから、とにかく立って!!」
王族に跪かれ続けるなんて、心臓に悪すぎる!!
ディーはホッと安堵の息を洩らしながら、スッと立ち上がった。
こうして改めて目の前にいる人を見上げると、本当に綺麗な人だなぁと思うんだよね。麗しい見た目だけでなく、王族の風格も備え、凛々しさすら感じる。
初めて、というより2度目ましての時から、どうにも王子様然とした様子を見たことがなかったから、なんだか不思議な気持ちになる。
そんな風に客観的に見れば、見惚れてしまうわけだけど、だからと言って、婚約とか、ましてや結婚なんて考えられない!!
……なんで、私なんだろう。
だって、ディーの周りには、もっと綺麗で素敵な女の人いっぱいいそうなのになぁ。
私は見た目は確かに可愛いのかもしれない。
でも、中身は只の魔法大好きド庶民だよ?
子供の頃の出会いがきっかけだって言うけど、そんなのヒナの刷り込みとそう大差ないんじゃないかな?
「……?
どうした、マリー。具合でも悪いのか…?」
「……え、…っひゃあ!!」
ちょっ!!!!
いきなりイケメン顔近付かせないで!
気付いたら目の前にディーの顔が迫って、額に手を当てられていた。
「…熱はないようだが、少し顔が赤いな。
風邪の、ひき始めだろうか…」
あ・な・た・のせいです!!!!
と、声を大にして言いたい!!!!!
私はぐいっとその手を引き剥がし、否定の言葉を告げた。
「大丈夫です!!
風邪なんて引いてません。
ちょっと考え事してただけですからっ!」
納得いかなさそうな表情だったけれど、なんとか退いてくれたので、私はディーには見えないように俯きながら安堵の息を吐き出した。
「………何これ、痴話喧嘩……?」
「…っ違います!!!!」
しまった!隣に人がいたことをうっかり失念していたわ!
今までのやりとり全てを見られていたのかと思うと羞恥で顔がさらに熱くなってきた。
隣でどこか嬉しそうに笑ってるディーの足を小突き、私はどうにか気持ちを落ち着け、結論を告げることにした。
「…わかったわ。
チャンス云々は置いといて、3ヶ月はここにいる。」
「…っ!ほんとか!?」
ディーがぱぁと微笑んで近付いてこようとしたのが見えたが、私は右手で制して言葉を続けた。
「……ただし!!
条件があるの。」
「……っ条件……?」
ごくりと唾を飲む音が聞こえるくらい、真剣な表情でこちらを向くディー。
うぅ、なんだか私まで緊張してきちゃった。
「そう。…それを飲める…?」
「承諾すれば、帰らずにここに居てくれるのか…?」
「えぇ、3ヶ月はね。」
まるでずっと居てくれるのかとでも言うような言い方をするから、私はきっぱり期間内ならと伝えた。
だって、言葉は1番簡単な【契約】。だからこそ、簡単には反故には出来ないものでもあるから。
コクりと頷くのを見て、私はさっき考えた条件について、いくつか提示したのだった。
…とても、かなり複雑そうな顔はしていたけれど
、なんとかディーに納得して貰った私は改めて、次の日から王城に仮住まいすることになったのでした。
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その様子を影で見守っていたルイは、今日も呆れた溜め息を吐き出し、やれやれ、相変わらず甘いな…と呟いたのだった。
なかなか更新スピード上がらずすみません!(>_<)
ようやく、王城でのお話を進めていくための基盤が見えてきました。
ここからどうなるか、二人な仲は進展するのか気長にお待ち頂ければと思います!




