ヒーローは遅れてやってくる
タイトル考えながら、遅すぎだろと突っ込みを入れた作者です(笑)
誰か、この状況を説明してください…っ!!
私は心の声を盛大に発した。
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突然部屋に突入してきて後ろから私を羽交い締めにした彼は、咄嗟のことで力加減が出来ていないのか痛いくらいに私を捕らえて向かい合うレイニー様を見ている。
その溢れる冷気と先程の発言で怒っているのが伝わってくる。それに対して、レイニー様はこちらを見てにやりと不敵に笑んで見下ろしてくる。
でもね…よく考えてほしい。
何故!!
私がこんな目に遭わなきゃいけないわけ!?
「おい、レイニー。黙ってないでなんとか言ったら…」
「……じゃあ、私が発言します。
…っいい加減この腕離してってば!!
苦しいのよっ、乙女を羽交い締めとかどういうことよ!?」
そうよ!!
言葉の通り、羽交い締め。
抱き締めるとかそんな生半可な優しさじゃないのよ!!
ディーってば、ほんとに私のこと好きなわけ??
普通好きな人相手にこんな仕打ちしないわよね…。
私の言葉にようやく状況が理解できたのか、バっと腕を離した。と同時に先程の迸る冷気も消え失せた。
私はやっと息苦しさから開放され、淹れたての紅茶を一息に飲みきると背後に立っているだろう人物を思いっきり睨み付けてやった。
「ちょっと、ディーてば。
どういうつもり?何に怒ってるのかわからないけど、怒りたい気分なのは私の方なんですけど…!?」
「あ、いや、その…別にマリーに対して怒っているわけでは…っ。
お、怒っている…のは、 やっぱ指輪のこと…だよな…?だが、あんときはああでもしないと、お前は俺に見向きもしないと思ったから…っ!!」
「ふ~ん……そう。…で?」
「…………悪かった………っ。」
ディーはしどろもどろになりながら必死に弁解しようとしている。私は沸々と今回に至るまでの経緯を思出し、怒りが沸き上がってきた。
そんな私達の気まずい空気を掻き消すような笑い声が部屋中に響き渡った。
何事かと振り向けば、お腹を抱えて涙目になりながら笑い続けるレイニー様がいた。
「…レイニー様、笑い事じゃないですよっ。」
「いや、これ笑い事以外の何物でもないでしょ!!
…いやぁ、まさかほんとにこんな光景が見られる日がくるなんてねぇ。
あの無気力無関心だった坊やがこんなに取り乱す相手に出逢えたなんて、陛下方が見たら咽び泣くんじゃないかしら…」
「……は…?」
「レイニー!!!その話は止めろっ。
……父上にはもう報告済みだ。
…あの光景はもう1度で充分だ……。」
「ぶふっ。
やだ、もう経験済みとかウケるんだけど…っ」
「…へ………?」
一体この二人は何の話をしているのだろうか。
聞き捨てならない台詞がいくつか聞こえてきた気がするのは気のせいだと思いたい…。
「それより、レイニー。
先程はつい取り乱してしまったが…本当にマリーを泣かせていたわけではないんだろうな?」
気を取り直したディーは、改めて話を戻した。
レイニー様に問いかけつつ、ガタガタと椅子を動かして座り始めた。…何故か私の隣に…。
…ちょ、ちょっと、わざわざ椅子を移動してまで隣来なくてもいいんですけど!?
「フフッ。ほんと嫉妬丸出しなのねぇ。
そんなに警戒しなくても、泣かせてなんかいないわよ。
…まぁ、ある意味で泣かせたのは私かもしれないけど…」
「…っなに!?」
ガタッ。
動揺するディーをものともせず、レイニー様は静かに思いを馳せるように言葉を溢した。
「…例のね、【契約】に縛られていた魔力持ちの話をしたのよ。
マリーは彼女達を想って、怒って泣いてくれたのよ。……優しい子よね。」
「……っ。
そういう、ことか…。
マリー、ありがとう…。」
「あ、えと、…どういたしまして…?」
なんだかこの空気が居たたまれなくて、疑問系で返してしまったわ…。
隣からの視線が痛い…。
そろそろ見つめるのやめていただけると嬉しいんだけど……。
「……っあ!!!
そうよ、指輪のこと!!」
なんだか、違うところで怒ってしまったのですっかり忘れちゃったけど、そうよ!!
ディーが帰ってきたんだから、ここに来た目的を果たさなくちゃ!!
「さ、ここまで来たんだから、はずしてよ。」
「…残念ながら、それは無理だ。
…今は、まだ。」
は、……はいーーーっ!??
な、なんですと!!????
恋に発展するのかと思えばやっぱりコメディ路線にいってしまうのは、きっとマリーが鈍感なせいでしょうね…。
ディーよ、頑張れ!!
早くしないと、他の男にとられるぞ~(  ̄▽ ̄)




